「あー。なんかヒマねー。」
酒場、クイックサンド。
砂漠の商業都市、ウルダハにおいて、情報と冒険者ギルド、ついでにならず者や、
初心者丸出しの冒険者をタカろうとする業者や、それらを駆逐したり、取立て人から逃れてきたり、追い回したり、その他。
ある意味「この街」の縮図とも言えるのかもしれない。
そして、先の発言の主であるところの女将。モモディ。
濃いピンク色の髪を結い上げて、カウンターで頬杖なんかついて。
横にいる助手?のテージにボヤいていたわけだ。
目の前には色とりどりの水晶珠、リンクパールがごろごろと。
冒険者が扱う際には、シールドマークという刻印がなされている。
盾の形に、それぞれの紋様を組み合わせ、リンクシェルといわれる。
各自、指輪なり、ネックレスなり、そのまんまなりと、好き放題で持ち歩いているようだが。
しかし、女将であるところのララフェルのパールは、そういった装飾は一切無い。
純粋に「パール」だけなのである。
故に、いろんなところから、いろんな情報が来る。
千里耳。
サウザンキーパー、として情報は「儲け話」であると同時に「暇つぶし」でもある。
売れない情報など、全く要らない。それが国家転覆の情報だったとしても。
「んー。国家転覆かー・・。」「女将さん?」
主に後始末役のエレゼンの女性、テージが問いかける。あまりにも不穏当な発言に。
「やー、そのくらい愉快なネタがねー。最近無いのよー。」
「あ、あの・・。小月などは・・?」
「みんな、知りすぎ。」
「で・では・・。あの子は?」
「うーん。なにか忙しいみたいだけどー。」
「そうなんですか?」小首を傾げるテージ。
「うん。カレシっていうの?」
「あら。それはいいことじゃあないですか!」
「それがね。出来そうだけど、まだ~っていう。」
「微妙ですね。」
「なので、サクっとこっちに来てくれたらおもしろいんだけどねー。」
ララフェルの女将はニヤニヤしている。上機嫌、とも少し違う。
例えるなら、イタズラが成功した時か、ゲームで完勝した時か。
とりあえず、勝利宣言がしたくて、ウズウズ、か。
(何が愉快なネタが無いんだか・・。あの子も災難ね。)テージはいつも通りの相槌でその場を終える。
「少なくともしばらくは来ない、んじゃないですか?」
「どーしてよ?」
「だって、しばらくグリダニアに拠をかまえるって。」
「あああああ!そうだったああああっ!」
クイックサンドにララフェルの女将、モモディの叫びがコダマする。