エーテライトと呼ばれるそれは、青い光を宿し。
(そなたは我と契約を求めるか?)
キャンプ・ナインアイビー。
森林の先にあるキャンプの中でも、それなりに力が無ければたどり着けない。
「やったあ・・・。」
なんとかたどり着けた達成感で、その場で腰をつけてしまう。
ふわふわした金髪は、ここ2,3日ですっかりしおれてしまい、できれば湯浴みをしたいところだが。
「ああ。そこの君。冒険者かね?」
いきなりの声に。
「うぇええ?あ、その。」
「今から、周辺の魔物の駆除をする。よければ参加しないかね?」
甲冑に身を纏い、いかにもな警備(隊長だろうか?)員は、少し表情を緩ませ。
「ああ、そうか。ここに来たのは初めてか。それは失礼した。」
と、去っていく。
遠のいた警備隊員の声がさらに呼びかけをする声が耳につくが、自分はおそらく「部外者」なのだろう。
ちょっとばっかりへこんでみるが、実際はそうなのだから仕方ない。
そんなことより、へこまないように力をつけなければ。
「うん。」
ふわふわした金髪を支えるアイテム、カチューシャに手をやる。
「お兄ちゃん。」
真っ赤なカチューシャは、兄が買ってくれたものだ。
とりたてて、何かの魔力がこもっているわけでもない。しかし。
気持ちを落ち着かせてくれる。
母からもらったものは、大事にカバンにしまいこんである。
改めて、キャンプを見渡す。先ほどの警備員らしき人影はもういない。
そして、先ほどまで居たはずの冒険者達も。
目の前の青い石。
エーテライト、と呼ばれるこの石。
不思議なことに宙に浮き、周りにも青い石が浮かんでいる。
さらに不思議なことに、この石に近づくと、頭の中に「声」が届く。
キャンプ・ベントブランチで一度体験したが、やはり違和感は否めない。
深緑の街、グリダニアにも同じくエーテライトはある。
ついでに言えば、この「契約」らしきものも交わした。
が・・・・。
「うーん・・。やっぱり慣れないかも・・。」
人生の半分近くを、岩窟の中で過ごしてきた少女は、かざした手を引っ込める。
この「契約」さえすれば、頼まれた、というか、やらなければ、というか。
その「依頼」が終わるのだが。
「なにしてんだよ。こんなの。ちゃっちゃ!で終わらせちゃおうぜ。」
かざしたけれど、引っ込めた手をもう一度。青い石にかざし、というか、手を持たれ。
ヒューランの長い黒髪の、おそらく自分よりは年下の少女が。
「え?」
「いいから。どうせ、初心者なんだろ?よくもまあここまで来たね。僕が居なければそれこそ死んでいるね。」
契約を終える。
「あの?」
「あ?」
沈黙。
自身の。ふわふわした金髪は、少しくたびれているが。
向かいにいる少女の黒髪は、長いくせにそんなこともなく、つやつやしている。
さらに、その髪にはいろんな花飾りがつけられている。到底、走り回ることなどできないだろう。
だが、現にここに居るということは、つまりは。
「どうしたの?僕がどっかヘン?」
こういう格好でも、このキャンプまでどうともない、ということだ。
「ううん。その。言葉使いがね。少し・・その。」
「あー。やっぱりそーっかあ。皆言うんだよなあ。でもまあ、あれだ。そうそうあれ。コセイってやつだよ!」
それこそ黙って立っていれば、おそらくは誰も放ってはおかないだろう黒髪の少女は。
「ま。コイツがあれば、今のところ問題ない。」
背中から、というか、見えてはいたが。大きな弓。
あらためて取り出されると、目を見張る。どこから見ても業物だ。
「あ。そうだ忘れてた。僕の名前はフネラーレ。リムサから来たんだけどね、リムサってわかるよね?」
一方的な自己紹介。
「あ。その。私は、マルグリット・コリーナ。ええと、よろしくね。」
年下の少女?についお辞儀。
「ん。気にすんな。僕だってこれは本名じゃない。そんなものは親と一緒に捨ててきた。海賊稼業も楽じゃないってね。」
あっけらかんとした黒髪の少女に、声もない。
「ああ。そうだあんた・・ああ。マルグリット?だっけか。その訛り、名前、アラミゴか。大変だな。まあ、こちらも大変だけどなあ。」
「えっと?」
赤い、真っ赤なカチューシャに手をあてるが、答えはない。
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一人前になったらカチューシャ触る癖もなくなるんじゃろか~?w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年07月30日 19:17
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>しゃくなげたん、いらっさいww
そうね~wたぶんw彼女にとってのひとつの「逃げ道」だから、案外いつまでもなおらないかも。
そして、まさかの新キャラ登場!
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月30日 20:46