カチューシャ。
前髪を留めるための装飾品。
だれの発明だか知らないが、子供の頃から愛用している。
自身のふわふわの金髪は、友達からはうらやましがられていたが、
かえって落ち着かない気分にもなった。「わたしって、そんなに・・。」
持ち上げられてるようでいて、実は不安にも。
そんな時、このカチューシャを触って、ふわふわした髪と気分を落ち着けてきた。
「わたし・・。私・・。」
目の前の惨状に、宿からの階段の途中で尻餅をついてしまった。
もしかしたら、腰を抜かす、とかご老人が言うアレなのかもしれない。
宿「とまり木」の階段、その半ばあたり。
ふわふわした金髪の少女は、今まさに足からの力が抜けて、その場に居た。
しばし前。
「ぼ・・・!」と、なにやら男性の声が聞こえ、荷物を宿から取りに来ていた少女は、改めて準備を急ぐ。
もしかすれば、闖入者かもしれない。自身の剣でいかほどの出番があるのか分かりはしないが、やれることはあるだろう。
そう思い、慌てて降りた階段の先。
階段半ば。
ふっと見えたカウンター。その席に見知った顔がある。最近出来た友達の名前を呼ぶ。
「マユちゃん?」
その女性が振り返る。その拍子に後ろに束ねたグレイの髪も揺れる。
「ん?」
「あああああ!!!!!すみません。レティシアさん!!!!」
にっ、っと笑った女性は、カウンター越しになにやら話しかけている。
ああ、なんだって私は。
兄からは、そそっかしい、を通り越して「筋肉バカ娘」なる不名誉な称号まで頂戴している。
言い返してもやり込められてしまうので、剣術で挑むのだが・・。
まず、勝った試しがない。
大体、師に打ち勝つ、というのは、そうそう楽なことではないのだ。
カチューシャ。幼い頃、母に買ってもらった装具だが、自身の気持ちを抑えたり、
感情のコントロールをするために、必要なのだと。リトル・アラミゴというキャンプに行く際にも重宝したものだ・・。
が。
ばうん。
先の会話のすぐ後。
件の絶叫のあとに、さらに。
暴風が撒き溢れる。
その後には、数人の客、それに給仕のミコッテの少女だったか。
その中心には、一人のララフェルの少女。
「ああ・・。それでなくとも出費があるのに。この。」
淡い金髪。自分もそうなのだが、ふわふわした感じではなく、真っ直ぐな。
それを左右に分けて、ピンクのリボンで留めている。
(あ、かわいいなあ。)
と。その時は思えた・・。が。
今の爆風って・・。「あああ。」カチューシャに手をあてる。
今の赤いカチューシャは、兄に買ってもらったものだ。落ち着くように。
現状、何がどうなったのかは分からない。けれど。
椅子やテーブルが多少吹き飛ばされているが、怪我人は居ないらしい・・。
しかしながら、この惨状に参加した気配は満載だ。
「怪我だけしなかっただけ、マシ?私・・。」自身の身体を見やる。
あ。
私・・。あの・・。これは。もしかして・・・。貧乏クジってやつ?
カチューシャをもう一度さわり、階段でへたり込む脚を動かせない。
目を向けると。カウンターの3人の女性はこの場の空気にそぐわないようにゆったりとしながら・・。
気を取り直し、「あの。エラルさん?」カウンターに居るはずのララフェルに声をかけるが。
金髪の男性。「どの口で言う!!!」
さらに暴風。
金髪の男性が、さらに暴風で吹き飛ばされ、店外に。
「わたしじゃないし。悪いのは。」
普段の言葉に呪を織り交ぜ、男性を吹き飛ばした少女?はまったく悪びれず。
階段から立ち上がることもできない自分の脚が、はたして正解なのか、どうなのか?
ふわふわした金髪は、その答えをくれない。
そして、真っ赤なカチューシャも。
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えらまなコンビは二人してフレアとか‥
パンツサンダイジョウフカナ(棒
Eraru Control (Hyperion) 2012年07月26日 12:41
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主人公が二人でも大変なのにさらに1つの場面をいろいろな人の視点で書くとはすごいんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年07月26日 12:50
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>えらっち、いらはいw
このコンビだとなんだろねw
フレア>エアロガ>エアロガ、みたいな?w
パンツサンキットダイジョウブ。アカイハナハサイテナイヨ。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月27日 01:15
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>しゃくなげさん、いらっしゃい♪
ありがとうございますv
はいな、多人数視点のお話w
実は、前にもこういうトリックめいた視点でやらかしてます!
一人称が二人、、三人称、みたいなw
主人公が多かったり、複数視点はじつは好きなんですw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月27日 01:19