早朝。まだ陽が岩山の隙間にささる前。
「ラドゥルフ殿。」
「アルフレート殿、でしたか。いかがされました?」
「いえ、我らはこの日、中天をもってグリダニアに帰参いたします。」
「そうか、もてなしも出来ぬまま、申し訳ない。」
「いえ。それは十分に。ただ・・。」
「ただ?」
「かの双子をご存知でしょう?」
「ああ、あいつらか。」
「彼らは所見を広めたい、という理由でグリダニアに逗留したいようです。
実は相談を受けまして。俺の判断では決めかねるので、意見を伺いに。」
「ふーむ・・。」
「駄目ならそうおっしゃってください。たしなめてみせます。
うちの娘も冒険者になりたがっていますが、押しとどめていますから。」苦笑。
「いや、いっそ外に出した方がいいかもしれん。頼まれてくれるか?」
「それほどアテにされても困りますが。」
「ははは、何事もやってみなければな。」
「そうですね。よく師から言われました。「やってみてダメだったときはどうするんですか?」
この質問に「そんときゃ笑って誤魔化すさ。」だった。あの生真面目な師が。」ははは。と笑う。
「いい師をお持ちだ。」「本当に。」「いいだろう、あの二人に許可を出そう。」
「放任主義、とは行かないですが。俺は。」「いいんじゃないか?ここは放任だしな。」「では。」
「ああ、俺の子供を託す以上、しっかりしてくれよ?」
「またか・・・。」「どうした?」「既に一人子守をしてるんで・・。」「ああ、あの子か。知っている。」
(女難の相、というのは東方での占いであるそうだが・・、子難の相というのはあるのか?)一度、占って欲しくなった幻術士。
「でな。俺が聞いた中ではなぁ。気の利いた台詞ってのは、だ。」
リムサ・ロミンサ 溺れた海豚亭。
常連客と、横にいるエレゼンの女性ウルスリに聞かせる。
「寝言は寝てから言いやがれ。」
これはポピュラーらしく、評価はイマイチ。「うっせ!まだあるんだ。」ヒゲの店主バデロン。
「見てわかんねえモノは、聞いてもわかんねえ。」
これには多少の賛同を得られたようだ。「マスター。この辺で・・。」
「何を言う、ウルスリ。ここからじゃないか。」「傷口が広がる前に・・。」
「ふん。聞いておけよ。「未来を託す子らに私は何かできたのかな?」と、老ミコッテが言ったのさ。」
「ほうほう。」
「で、俺はこう言ったのさ。「できなかったらどうなんだい?」ってな。」
「で。」「なんて?」野次。
「そしたら彼女はこう言ったのさ。「そんときゃ笑って誤魔化すさ。」とな。」