「あーあ。」
「店長、もういい加減にため息をつくのはヤメてもらえませんか?」
クイックサンド。
ウルダハ一の酒場にして、冒険者ギルド。
その主人であるララフェル、モモディは濃いピンク色の髪を弄びながら、ため息を軽く100回はついている。陽が昇る前からだ。
そして、その横でエレゼンの女性、テージはウンザリとした表情で聞いているわけである。
酒場ゆえ、深夜から早朝まで賑わいをみせるわけで、
そろそろ仕事もあがって寝れるというこの時間までため息ばっかり聞かされていれば、夢にまで出てきそうだ。
「だってー。最近、あの子来ないんだものー・・・。」と、さらにため息。
「飽きられたんじゃないんです?」と本音を言ってみる。
その時、一人のミコッテがやって来る。
「あ、いらっしゃいませー。」
ブルーのローブ、ざっくりとした髪は手入れがされてはいるが、ワイルドにも映る。
「あら、ティアラちゃん?」小声で話す。
女主人は眠たげな目でミコッテを見る。
「モモディさん、今はイルマ、です。」同じく小声で返す。
「そう、イルマ。今日はどんな用事かしらー?」今度は普段の声音だ。
テージはこの類の話には関わらないようにしているため、距離をとって客あしらいに専念する。
「実は、少し聞きたいことがありまして。」
「ふうん。珍しいのねー。いつもは情報売りなのにー。」
「はい、今日は買いにきました。」
「実は、魔女について。」
「あんだけ有名なんだから、今更でしょー?」
「いえ、その娘の方です。」
「あ、そっちの方?」
小声でのやり取りが続く。
テージは接客をしながら、二人の会話を盗み聞きしているヤツがいないか注意をはらいながら。
居た。
大した情報はなかったが、そこそこは得るものがあった。少女の人となりがわかるエピソードなどで。
酒場を出て、少しして。明け方なので、まだ人は少ない。
そして、ミコッテの少女は足を止め。声をかける。
「ねぇ。今夜の宿がないの。泊めてくれない?」
前を歩く男は、足を止め振り向く。
「なんだ?いきなり。泊めてやってもいいが、わかるよな?」
「ええ、そのつもり。」
「じゃあ、こっちに来いよ。」
路地裏のほうに案内される。
ニヤけた男はミコッテの左腕をつかんで、「なかなかの美人だな。」
「ありがとう。」
ミコッテの右手には、小さなワンドが握られている。
「人目につかないところに案内してくれて。」
「そりゃあな。」
「では、遠慮なく。」
「積極的な女は好・・・・!!!!」
男の顔に炎が灯る。
「が!ぐあああ!!??」
「ボク達の話、聞いてましたよね?」
冷ややかな声に男は悲鳴しか出せない。
テージから渡されたメモの男。
「どうなんです?」さらに冷ややかな声。
「いや、聞いてないって!」
「そう。もう少し焼いたほうがよさそうですね。」
「や、やめてくれ!」
さらに炎が男の右腕を焼く。
「ひいいいい!!!」
「で?どうなんです?」
「すまん、確かに聞いていた。」男は激痛に声を出す。
「なんのために?」
「それは、それだけはカンベンしてくれ!」
「そうですか。もっと焼いた方が舌のスベリもよくなるでしょう。」
「ヤメてくれ!お願いだ!」懇願する男。
「あ、さっきの炎はボクの腕を掴んで連れて行かれたからです。ただの私怨ですので。」
「そ、それは!」
「で、話す気はない、でいいですか?」
「頼む、助けてくれ。」
「ない、ですね?」
「助けてくれ!」
「ダメです。」
路地裏で爆炎があがる。
朝方、路地裏で焼死体が発見されるが、この街では誰も気にしない。
「ミンフィリアさん、大した情報は無かったんですが、サクセサー(後継者)の人となりは大体わかりました。
今後の方針に役立てるかと思います。」
「ティアラ?そう、ありがとう。」
「今はイルマですね。」
「他には?」
「この情報を、つまりサクセサーの情報が欲しい誰かが居る、ということも分かりました。」
「ああ、あの焼死体はそれなのね。」
「はい。接触される前に焼きました。」
「まあ、その辺はなんとかしておくわ。たぶん大聖堂任せだし。」
「ありがとうございます。」
パールでの伝心を終えたミコッテの少女は、昼前の街で露店で遅めの朝食をどうしようか考えていた。
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朝からバーベキュー!
Bob Dalus (Hyperion) 2012年04月27日 15:04
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>ぼびー。いらはいwww
まあ、食えないケドねw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年04月28日 01:18