155書き物。少しホラー。

砂漠の街。ウルダハ。

明暗のある街ゆえに、いろんな怪談が出てくる。

いわく、ギャンブルに負けた男が、自殺して。が、次の日に賭場にやってくる。

いわく、未熟な冒険者志望者が確かに果てたはずなのに、露店で並んでいる。

いわく、目の前を自分と同じ顔の人物が通り過ぎた後、事故で死亡。

どこにでもオカルトというものはあるものだ。

中には本当?と言いかねないものもある。

なんせ、場所が場所だと、人骨に悪霊が宿って、襲ってくるのだ。
もっとヒドイと腐乱死体を倒して来い、などという依頼もあるくらいだ。

が。一般人からすれば、オカルトであろうが、なんだろうが、恐怖の対象以外のなにものでもない。

「お願いします!もう!」
と、言い出してきたのは、エレゼンの女性、エレノアさん。
「はい?」とは、あたし。格闘はそこそこ。多少の魔法も覚えて・・そのために呪術士ギルドに・・。

ギルドの手前で、いきなり声をかけられて・・・。

アルダネス聖櫃堂なんかでそんな話はゴメンこうむるので、ちょっと露店で。

(正直、カンベンしてほしいの・・に・・・。)
「どうしたんです?」と、聞いてみた。我ながらバカだったとおもう。
コレを聞いてしまうと、依頼を受けること、まちがいない。
真っ平ゴメンだ。
ああ、あたしのバカ。

「実は。」
思わせぶりの彼女。

「ナイトノッカー、って、ご存知ですか?」

「へ?」
正直、凍りついた。

(母さん。こんなトコまでウワサが広がってますよ・・?)


果てしなくイヤな予感満載のまま、露店でお話を・・。

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