151ZERO書き物。F

岸壁に打ち寄せる波だが、比較的穏やかだ。

西端にある港町。

穏やかな晴天と。突然の豪雨。気まぐれなザナラーン地方だが、今日はどうも穏やかに過ごせるみたいだ。

昼前にここ、フェリードックに着いた老ミコッテは、月に一度は来る露店の料理をとても楽しみにしている。

リムサ・ロミンサに住んでいるのだが、どうしても此処での食事は欠かせない。
(ま、楽しみはこれだけじゃないのだけどね)

一人、潮風に吹かれながら。

(こういう食事もいいものよね。)
故郷では味わえなかった景色も、味付けも、今となっては馴染んだものだ。

すると。
「お待たせしましたっ!」と、ブルーグレイの髪を肩あたりにそろえた少女が料理を持ってくる。
(この髪が長いと・・・泣いてしまうかもしれない。)毎度思うことだ。
「ありがとう。」と微笑む。

料理に手をつけようと。

「ちょっと!マユ!アッチのお客さん呼んでるっ!」と母。
「もう!母さん行って来い!こっちも忙しいんだからっ!」と少女。
「もう、今日に限ってあの子が来てないんだから!」とグチ。
「しょうがないでしょっ!アイツ、デートとか抜かしてやがった!!」憤懣やるかたない少女。


微笑む老ミコッテ。
料理に手をつけつつ。

「私の後に、大変な目に遭われたのね。」
そっと、誰もいない向かいの席にお辞儀をする。

「お話もこれで最後なのかしら?」と首をかしげる。
目の前には、銀髪の老ララフェルが視える。

ひょい、と料理に手を出そうとするのを、ミコッテが止める。

「案外楽しかったのよな。ですって?」

「もちろん、私も楽しかったんですのよ?」と口に入れた料理を飲み込む。
ここの魚料理は絶品だ。

「妹も来れば・・・。呼べれば、いいんですけど。あの子は。辛い思い出しかないかもしれないから。」と悲しげに・・。

「そうね。」
頷く。

「今のあの子、それとあの娘。二人を見れば、自身が成した事を喜ぶでしょうね。」

「それは自分もな!ですって?」
「そうね。私にはできなかった事。あの子は本当に奔放で・・。あなたに似てるかもしれませんわね。」と微笑む。

「私も。そう遠くないうちに、そちらにお邪魔することになると思うから。」
食事を一度止めて。

目の前からの風に眼を瞑る。

「え、まだ早い?」周りには潮風など吹いていない。凪という無風だ。が。

「気長に待っているのよな。って、」苦笑。

「こんなお婆ちゃんがいいのかしら?」さらに苦笑。

「俺は「妖怪」だからな。って。」微笑み、「ありがとうね。」

「じゃあ、お料理が冷める前に頂くわ。」


「あ。」


「また、ご一緒しましょうね。」と満面の笑みを空席に向ける、老ミコッテ。


----------コメント----------

爺まだ生きてるかw
Bob Dalus (Hyperion) 2012年02月06日 13:07

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>ぼびー、いらっはい。
とっくにお亡くなりにw一人で食事中なのwちゃんと読むようにw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年02月06日 13:32

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やっぱりこの回はええ話です…。
ん?!お兄さんデートですかっ。
Alto Springday (Sargatanas) 2012年02月12日 18:01

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>アルトさん、いらっしゃい♪
この回はあたしも特に大好きです♪
で、デートに行ってるのはアルバイトの女の子。最初の時に出てきた村の娘ですねwマユが出て行くきっかけになった、あの。
この時点では、マユは冒険者ではありません。念のため。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年02月12日 22:54

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