146ZERO書き物。7

陽の昇るのも遅く、陰るのは早い街。
グリダニア。

夕暮れに佇む街はとても綺麗で。
そんななか。

一人の少女は、目の前に居ない相手を倒そうとしていた。

「レティシア!」

弟子を呼ぶ声。

振り向くと師匠が居る。
「はい!師匠!」
「考え方は解ったかな?」といつになく真剣な表情。
「はい。なんとなくですが。」
師匠に近づいて、銀髪をナデナデする。少女。
「俺もな。なんとなくこの頭をなでられるのが好きになってきたんだがな。」
「はい♪」嬉しそうな少女。
「お前、いくつだったかな?」とララフェル。
「13です。この前も聞いてませんでしたっけ?」
「そうか、この年になると忘れやすいな。まあ、ちょっと来いよな。」
「はい?」


鬼哭隊。
その本部駐屯所。

「たのもうかな!」ララフェルの師匠が言う。

ここはグリダニア自警団、鬼哭隊
各地、キャンプに見張り番も置き、必要とあらば軍としての機能も辞さない。
その本部に。
「師匠!」と、声を大にする。

「なんだ?どうかしたのか?」金髪の男性が聞いてくる。短く刈った金髪は、いかにもな空気満載だ。
が。
「少しばかり聞いた話だが。こちらにも鍛錬場があると聞いてな。不肖の弟子の相手をしてやってはくれまいか?」
「はぁ?」
困惑する男性とミコッテ。男性はそのままだ。
「ちょっとまってにゃぁ!」とミコッテの隊員が奥に行く。

おそらく、待つまでもないのか。

「どうした?」
鬼哭隊の隊長。
仮面をつけ。
少し長めの茶色の髪を結わずにいる。

夕暮れが近く、朝焼けが遅いグリダニア。
さっきまで見えていた夕日も既に落ち、外はすでに暗い。
この時間、この珍客は?いったい何をどうしようというのだ?
我々、鬼哭隊をなめているのだろうか?
ならば、判らせてやらねばなるまい。

そこで、少年のような見た目のララフェルが。
「どちら様ですかな?俺は、ホラン・ホライズン、というものでな。ウルダハ。デューンフォークの出自なのよな。」
後ろの少女を指し、「この子は、レティシア。少々都合があってな。俺を師匠、とよばれておるな。」

「あの・・。」
正直こんな時間からの迷惑来訪者というのはゴメン極まる。

穏便に済ませておきたい。本音はまさにここだ。
「ご老人?この時間ですと、そろそろ夕餉のお時間かと?お帰りになられては?」一般的な対応。

「ふむ、そうじゃな。」と師匠。やばい。多分。

「はい、この時間でも露店やカフェは開いております。どうぞ、そちらのほうに。」
と丁寧な対応だが。

「無礼な奴だ。」
師匠の表情が変わる。あっちゃー・・。
「俺は名乗ったぞ?お前は何ゆえ名乗らない?」
隊長?の爪先をまず踏み抜く。動けない隊長に連打を当てる。完全な不意打ち。

やばい・・・師匠完全にキレている・・「師匠!」
ヘタすると殺しかねない勢いの師匠をなんとか言葉で止める。
「ああ。うん。やりすぎたかな?」とにっこり答える。

コレは誰が見てもやりすぎだろう・・。

「失礼した。ホラン殿。」とこっちもアレを耐えて。素で返事はすごい。

「私はここ、鬼哭隊の隊長。ネーベル・グリュームヒェンと申します。今夜お越しのご用件はなんでしたか?」

見た目はナンだが、銀髪のララフェルの師匠は。
「うん、いやな。この弟子に見合う相手を探しておってなー。」
と。
「そこの少女、ですか?」とこっちを見てくる。

グレイの髪をまっすぐ伸ばした、細身の少女。

「ホラン殿。先ほどは失礼した。が、あまり我らを舐めるのはやめていただきたい。
今回は自分の失礼に免じてこのままお引取りいただけませんかな?」と隊長。

「そうか・・。面白くないヤツな。お前な。」
「面白いかどうかで、我らの活動は、自警はできません。そこまで言われるなら。誰か相手を。」

鍛錬場には数人か。一人の隊員が。「では自分が。」仮面の向うには表情が見えない。
「あの・・。」と少女「レティシア。戦術の考え方、お前の使える幻術。できるよな?
存分に相手を自分の舞台に引きずり落としてやるのな。」

結果は。

辛勝。

「まさか・・。」隊員が、少女にいいように打ちのめされ。

少女も、何とか立っていられる、くらいか。でも。

「まさか。こんな子が。?」
目を見張る鬼哭隊長。

「俺の弟子を舐めるのはやめてほしいのよな。」と老ララフェル。
体力は見る間でもなく、隊員の方が上だったが、あれよこれよと翻弄されて、気がつけば先にヒザをついていたのは隊員。
しかし、さすがに少女も無傷ではなく疲弊していた。が。勝ちは勝ちだ。

「レティシア。まだやれるのかな?」
「師匠。」全力を出し切って勝った少女は。
「なんだ。ムリか。」
「やります。」目は光を失わない・・。

「次はわたしがやるっ!」

栗色の髪を短く刈った少女が声をあげる。


腐れ縁、のはじまりか・・・。

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