ジメジメした洞窟は、なんというか気持ちのいいものではない、と改めて実感しているところに。
バァーン、と派手な音が聞こえた。
どうもファイアの魔法みたいだが、だれか別の冒険者PTでもいるのだろうか?
目の前の気持ち悪い魚共をあしらいつつ、ケアルや闘術を駆使して槍使いのサポートをしていく。
で、魚の目玉なるものを取って。正直キモい。ので相手に持ってもらう。
「あれ?」たしか「依頼を受けたのあたしじゃなかったよね?」
「そうだっけ?」
「鬼哭隊うんぬん、ってあなたが受けてなかった?」
「そうだった!」
「ぉぃぉぃ・・。」
「何か言った?」
「いーぇ、なにも。」
「じゃあテレポで帰ろうか。行くよ。」
「ちょっと!レティ!テレポであの子達帰ったよ。」
「見ればわかるーっての。」
「グリダニアかしら?」
「とりあえずあたしらも・・・ってマズイ!」
「どうして?」
「エーテライトで鉢合わせしたいの?」
「・・・・。」
「・・・・。」顔を見合す二人。
「走る?」
「イヤ。」
木工ギルドの裏手にある、公園にて。
銘々遊んでる子供達の中にエレゼンの少年、ニコリオーが居た。
そろそろ日も暮れて帰る前だったようだ。
「やあ、今帰ったよ。」と鬼哭隊の青年ネルケ。
あたしは無言。
「遅かったね、まちくたびれたよー。」と少年。
皮の小袋を取り出して、中の目玉を確認して少年に手渡す。
「あ、ありがとーー」
と少年。そして「うわわ、なまぐさーい。」
そりゃそうだろ。
「何に使うんだい?」
「それは秘密さー。」
「ふうん。」
(イタズラに決まってるでしょ。気づけ、ネルケ。あ、ちょっと語呂がいい!)
「お兄さん、ありがとー。お礼にね、コレあげる。」と。
ふと手を差し出してしまったネルケに。
ボトリ。
青年は何が渡されたのか一瞬わからなかったようだが。
見てしまった。黒い羽のナマモノ。コウモリの死骸。
一瞬の間の後。
「う、うわあああっ!」
思わず後ろにこけてしまう。
「あーあ、やっぱりね。」
「おねーちゃんは知ってたのかなー?」
「そりゃ、あんなもの欲しがるってソレしかないでしょ?」
「おねーちゃんに依頼しなくてよかったかなー。」
「イタズラも程々にしないと、痛い目にあうわよ?」
「うん、わかったー。」
(コイツは絶対イタズラをやめないな。。)
「はいはい、そろそろ起きようね。」コケたままの青年に手を差し出す。
「う、ごめん。ちょっとビックリしちゃって。」と、手を取り立ち上がる。
「もうちょっとシャキっとしないと鬼哭隊の名が泣くわよ?」
「う。」
「じゃあ、あたしは宿に行くから。」と振り向くと。
「それなら、そこまで送るよ。」
(えー、いらないし。)
「あ、大丈夫だから。」
「女性を一人で帰らせるなんて、できないよ。」
(いや、ウザいから。)
「優しいんですね。」
仮面越しに照れてるのがわかる・・・。
結局、付き添われてカーラインカフェに。
「あら、マユちゃん。いらっしゃい。」と、ミューヌさん。
「どうもー。」と挨拶。
「どうも、ミューヌさん。おかあさん、来てませんか?」
「(黙っておけって指示が・・。)いえ、今日は来てないわ。」奥に陣取っているフードつきのローブの怪しい二人組をチラ見しながら。
「では、マユちゃん、また今度。」と手を振ってお店を出て行く。
「あー、疲れた。ミューヌさん、晩御飯ください。」
「また珍しい組み合わせだったね?」
「うん、ちょっとねー。」
「(なるほど・・・そういうことか。)それはお疲れ様。」とローブの二人組を見る。
鋭い視線を感じながら無表情を貫くカフェの女マスターだった。