思えば。
それほどのことではなかった、気もする。
「忍耐」
ともすれば、厄介な。
いや、ほとんど全ての人が厄介な。
そして、厄介な事、というのは、ほぼ全ての人達が嫌がるに決まっている。
自分もそうだった。
だが。
「忍耐」が「厄介」と同意義ではない。
詰まるところ、「忍耐」を強いられた自身にとって、それは「厄介」ではなかった。
それだけだという事になる。
ただ、この経緯を他人に明かすと、誰も彼もが「厄介」事と、決め付けてくる。
そう決められる、決め付けられる方がよほど「厄介」なのだと。
心の中だけで反論し、後悔の理由としてきた。いや、後悔とは・・・少し違う。
腰まである黒い真っ直ぐな髪を途中で括り、東方由来の「着流し」といわれる着物を身につけ。
後ろには商人の親子。
小さな女の子をかばうように、いや、かばっているのだろう。
中年の男性は泣きじゃくる少女を必死に抱きかかえている。
目の前には。
昆虫とでもいうのか。
黒い甲冑をまとったような魔物が3匹。その後ろからもさらに増えつつある。
たまたま。
本当に。
行き先が同じ、というだけで隊商のグループの護衛を買って出たわけだが。
ウルダハからグリダニア行き、という在る意味危険なグループに。
そして、ちょうど渓谷に差し掛かった時にこの有様だ。
同じくして護衛を買って出た術士と剣士はとっとと逃げ出し、隊商もこの親子二人しかいない。
正直な話、自分もこの二人を連れて逃げ出せばそれでいいのだが。
だが。
許せないものがある。
それは何か?
「矜持」
先の二人の護衛には無かったもの。
「・・・不通(通さず)」
左手は鞘の鯉口に添えられ、右手は開いたまま、柄に沿え。
キシャアアアア!!!
黒い両手?のようなカマみたいなものが振り上げられる。
「・・・不笑(わらわず)」
左手が鞘から離れた刹那、右手が柄を持ち。
抜刀。
ひとつ、を数える合間に、ぱちん、と音がする。
左手は鞘に。右手は腰に。
帯と呼ばれているベルトに右手がいきかけ・・もう一度柄の近くまで・・・
シャアアア!!と叫んでいた魔物の両腕は既に無く、頭も垂直に断ち割られ、あまりにも綺麗過ぎる断面に、ただ「ずれた」としかいいようがない。
ただその魔物が倒れこんだ後、さらに3匹の魔物が次々に来て。
商人の親子は、ただただ、泣き叫ぶしかすることができない。
「・・不泣(なかず)」
革鎧でもなく、もちろん金属も使っていない。しかも、胸元もあらわな布の着物。
足元近くあるその服に、ブーツでもなく、軽そうな靴。
だが、黒髪の女性は左手を鞘に添え、右手を平げたまま柄に沿え。
「雪風、月光、花車、乱風。乱れ雪月花。」
ちん。
ただ、そんな音がした。
そして、魔物は3匹のみならず、後続にいた5匹ほどもバラバラにされていた。
しゃらん、と音が伴いそうな。そんな感じで振り向き。
「怪我は?」と。
二人は・・・ただ何が起きたのかわからず、「いえ。」とだけ。
「じゃあ、行こうか。」
「あ、あの!」と商人。
「なに?」
「その、こういうものがありまして・・・・その、もし貴女なら、と・・。」
男は封書を。
「なに?」
「多分、ですが、手違いで私の所に来たのでしょう。内容もサッパリですし、まず、私が行けるともおもえません。貴女ならどうか?と思いました。」
「ふーん。じゃあ、見るだけみておく。」
「おねえちゃん、つよーい!かっこいい!」少女の声に。
「たまたまだ。」と。
こうしてコロセウムチケットを入手する「黒雪」
「ナあ?」
黒髪の美女はかなり不機嫌だ。
「どう、されましたかね?」銀髪の青年。
「ナにこレ?」と蜜蝋で封をされた封書を放って返され。
「その・・・ご招待、なんですけどね。」と、気弱な返事。
「誰かをぶッ殺セ、じゃないンだな?」剣呑な笑顔。
「はい・・・・。」消え入りそうな...
「まァいいヨ。僕に依頼、デいいンだよネ?」にっこり。
「おそらくは・・・・ただ、そのですね。今、ショコラが居ないでしょう?」
「はァ?あいつは自分の都合デしか動かないダろう?」
「おっしゃるとおり。まさに彼女は自分の都合を優先してこの場に居ないんですから。」
「意味ガわかンね。ンだよ、出し惜しみしてっト、ブッ殺スよ?」
「今回の主催、といいますか。その一人に彼女の実兄にあたる、クォ・シュバルツ氏が。まあ、なんといいますか・・彼とはあたらない事を。」
「その前に、コレはどうなンダ?」
「済みません。断ることはできません。」
「ショコラは?」
「あー、そのー。私用、だそうで。(ドレス作りに一心不乱、だなんて・・)」
「ふうん。ベッキィは来るのは確定だロ?あいツ、黒猫しか見えテ無いかラな。」
「そうですね。」
最後の日。
「黒猫メ、スタッブしてやル。」
「リッラ、ね。使える駒を増やすのはいいが。メンタルが弱いな。あのくらいで倒れるようではな。アドルフォ。」
「はい。」
「あの娘からは目を離すな。俺を狙いに来る。」
「はい。」
「ただ、使いようでは十分使える。飼うのは無理だが、誘導さえすれば問題ない。」
「は。」
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675話!!!!
680話に届くかーー!?!?!?
頑張れマユリさん!
Marth Lowell (Durandal) 2013年08月24日 08:08
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>マルスCEO、がんばりまつw
ラプたんもリア充達成したみたいだし、つい気合入れて描きましたw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月24日 09:13
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いよいよ新生ですね! これからもマユリさんの書き物
楽しみにしてまふo(^▽^)o
Akatuki Reo (Durandal) 2013年08月24日 10:07
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>レオさん、がんばりまつw
新生、どうなるかしらんw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月24日 13:17