880セブンス。進撃の終わり。(そして・・・

「お。なかなかいいチーズ食べてるね。ゴブリンチーズでしょ?それ。」
とある屋台での一幕。
蛮神なる、ある意味エオルゼアにおいて、やっかいな、というか、もの凄くやっかいな。
そんな問題にケリをつけた勇者達の晩餐。
だが、優雅に会食、というわけでもなく、普通に「美味しい」ところでやろうと。そんな提案の下、この屋台に、というわけだ。
そして、かの蛮神討滅のために必要な情報を聞くために集めたのが「食材」その中の「チーズ」が大変気に入ってしまった女性が一人・・・いや、妹も気に入ったらしい。

「おねえひゃん。ちーずたべすひ」「おまへ、ひゃんとしゃへれ。あ!」
ミコッテの双子達に「天魔の魔女」が声をかけて(あー、そのチーズ、中にムシが湧いてるの知ってんのかなー?)なんて。

そこに。
「ばーば!ママ!」
一人の少女。
薄いグレイの髪は少し長めで、くせ毛だろうか。ゆるいウェーブが。
こんな夜更けに、その少女はワンピース姿で一人来たのだろうか?

「ターシャ!」宴たけなわ、の手前の場所にやって来た少女にブルーグレイの髪の女性がうろたえる。
「えーっと?」とは、ミコッテの女社長。さすがに場違いな展開に。
「ああああ!」少女を抱き寄せ、「すみません、ちょっとこれにて。」と「魔女の後継」と呼ばれる女性が席を離れる。しっかり屋台の肉も持ち帰りの用意も・・・

「ターシャ!パパとアクィといっしょにお留守番、って言ったでしょ?」
「でも。ばーばもいるしって。」
「ヘンなのに何か言われなかった?」娘の心配をするマユに。
「ふっとべ。って、構成組んでみた。」
「・・・・」その言葉に声が出てこないマユ。まだ10に満たない子がこんな(といっていいのか?)危ない夜の街で・・・術式でチンピラの始末をするなんて・・・
「だいじょうぶよ。その人たち、あたしが名前を言ったらにげていったわ。」
「どんな構成、編んだの?一応。」確認するマユ
「これ。」応える娘は・・
一瞬で展開されたのは火炎術式の高位とも言える「ファイガ」
「あ、あのね。ターシャ。それは人に使っちゃダメ。死んじゃうから。って、ドコで習ったんだ・・・」呆れ返り、ああ、母さんか・・なんて。
「とにかく家に戻りましょ。二人共心配してるわ。」「うん・・」


「あー。帰っちゃったか。まあいいわ。」魔女が。
あの・・おずおずと。「魔女様のファンです!です!」少しテンションが上がるミコッテ二人。
「あちゃー。そんなに有名だったかねえ・・」自覚はないらしい・・・
最近は弓術や、剣術も上げつつ鍛冶師としてもウルダハで営んでいるエフェメラと、白魔道士として名を上げている少女リトリー。
「服にサインをいただいても?」「ワタシも!」最近の流行りでは、服にマーキングをするのだとか。
「しょーがないなあ・・なんで・・」と言いながら「ペンは?」「ありますよ。」ミコッテの青年。さすがの召喚士か。
「Wich・Chaos」と羽ペンで。(うーむ・・・考えモノよねえ)魔女がサインを終えると。
二人の少女がきゃっきゃと喜ぶ。

「それじゃあ!」
頬を赤らめたままの「剣聖」が、「もう一度!かんぱーい!今回の戦いにアドバイスをくださった、旅団の方達に!そして、魔女様に。
そして・・・みんなに感謝を込めて!!!!!」
(そして、リガルドに。)コッソリ視線を。

ミーランはもう飲むことに徹したようだ。相棒のエレディタは「はぁ、やれやれ。いい加減面倒みろや。」とミコッテの青年を見ながらグラスを干す。
「彼らは彼らで、いい距離感なのだろう。羨ましいよ。」ミコッテの社長。「私は恋愛もしなくはなかったが・・・仕事ばかりで続かなくってな。」
「そうですよーおとこほしー」「エリス。一度はしふひゃ?」「エリス、ワタシもー!」「すごいですね!私も参戦していいですか?」

一人、「混沌(天の清浄さと、魔の穢れを同時に体現したかのような)」そんな表現で言われる天魔の魔女」が居るだけで。
まさに混沌と言える屋台。

だーれが収拾つけんだか。「ま、今夜はいいか。」
グレイの髪の「天魔の魔女」レティシアはグラスほ干す。


その頃・・
「な!」

「悪いな。お前には用事がある。」
白銀の甲冑。そして両手の篭手に仕込んだ短剣。いや。銃。
「だめだふっち!」
仮面をつけた妖精のような・・・が。
「ウザいんだよ!」両腕を向け。
声から、いや、甲冑のデザインからして女性、おそらくはスタイルもいいのだろう。が、そんな事より機能性を重視したのか・・

タタタ・・ザシュ。
そんな音と共にシルフの一人は「砂の家」メンバーと共に・・・床に・・・
「いいでしょう・・・(ノラクシア・・・彼女達に伝えて。)」金髪の女性は。視線は白銀の女性に。
「(あいで・・・ふっち・・・がん・・ばる・・でふっち・・)」
(ごめんね・・)シルフのメンバーを見ることも許されることなく、拘束され。
この後、拷問、陵辱、処刑と決められた道を進むだろうが。
(まだ道はある。そう。彼女達なら。・・・・あ。魔女様には、私嫌われてたな・・)クスリと笑う。
ちょっとした誤解があっての事だった。が。(トリコロール。お願い。今となってはあなただけが頼り。)隠していたパールに伝心を。
(・・・理解しました。正直、二度と会いたくはないけれど。ミンフィリアのためならば、この命も捧げるつもりで。)(もう、誰も死んで欲しくないから!)
(大丈夫ですよ。・・汚れ仕事ばかりしてきました。沢山の命を殺めてきました。そろそろ精算しないと、ですね?)
(ちがう!その精算は私が!)
(あなたは未来を繋ぐ担い手を見つけたのでしょ?じゃあ・・)
「いい加減、茶番は終わりでいいか?」ぱん。白銀の騎士が後ろ手に隠し持っていたパールを手の平ごと撃ち抜く。ぱんぱん。
「あああああぅっぁ!」痛みと共に・・・
「とりあえず生き残ったヤツだけ城に連れて行け。拷問の後、いや、見せしめか。両手足を切り落として派手に犯せ。そのうち口を割るだろう。」

(なーんかキナくさいな・・)そんな予感の魔女の横に。
ローブ姿のミコッテが・・・
「大変失礼なお願いなのですが・・・」
「失礼すぎるな。宴の最中に。」
「実は・・・」
「な!?」
くそ!

「あたしは、ちょっと用事ができた。みんなはそのままでねー。」
(やってくれんじゃん。ラハブレア。)移動術式を・・
天魔の魔女、あるいは迷惑来訪者。人災。「訪れた先に、何らかの災厄をもたらす」と言われた人生だったが。「コレは見逃したら、ただの災厄だろーが!」
レティシアが動き出す。

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