418書き物。悪運 5

「おー、居タ。やってるナ。」

露店の多い広場、その中でも奥まった赤い屋根の露店で二人の女性の奇異な謁見が行われている。

声は聞こえないが、大体の予想はつく。
(お嬢様!)(な!なんで?わっちの場所が!)(お嬢様のために、参じました。)(ウザい!)(そ、そんな!)
あたりだろう。

かなり遠目で、しかも夜だが彼女の「眼」はそんなものを気にしない。
「暗視望遠(ノクトアイ)」ただ、音声だけは想像するしかないのだが。
「まァ、そんナとこだロ。」
黒髪の美少女はゆっくりと近づきながら、寸劇めいた動きの二人を笑いながら見ていた。



茶色い髪、褐色の肌のミコッテの少女。通称ショコラ。
彼女はこの屋台祭りが今夜開催される情報を察知して、こうやって屋台めぐりをしていたのに。

「え?」

目の前には、給仕姿のエレゼンの女性。エプロンドレスが地面に着くのも気にせず、ヒザを折って彼女の前にいる。
もはや驚愕だ。
翻って、給仕の女性は。

「お探しいたしました。フュ・グリューンお嬢様!」と感涙に咽びきっている。

「うざ・・。」
「何かおっしゃいましたか?」
「な、なんでわっちの場所が?」
「お嬢様のためでございます。いろいろと手段を講じました。」
「あー、わかったから、実家によろしく。」
「そ、そんな!」


ようやく声が聞こえるところまで来て、ミコッテの少女が恨みがましくコッチを見つめる。
「よう、感動の対面じャないカ。」
すると。
「はい!フネラーレさん。どうもありがとうございました。」と兵器みたいな給仕の女性からお礼が。
「フネラーレー~~~~~~。」怨嗟の声はショコラ。
「まあ、イイじゃない。ところで、ソレ何食べてるノ?」

ミコッテの手元には、薄い木で出来た細長いさらに、ころころっとした食べ物が乗っている。
ソレを細い串で食べようとしていた矢先の出来事だったらしい。
半分ほど減っているところを見れば、それなりにイケるみたいだ。

「海鮮まる焼き。」
「ふうン。」ひょい、と一個串を拝借して、クチに放り込む。
小麦ベースの生地の中に、なにか魚介が入っているらしい。からまった甘辛いソースもなかなか。
そして、表面はカリっ、中はトロっとした中に、具が入っている。
「お。ウマイな。」
「あ、わっちのなのに!」
「お嬢様、不埒者を排除します。」
「待てマテマテ。味見だロ。もう一皿クレ、おやじ。」

やって来た皿には、8個乗っていた。

「ええと、べ、ベリキート?よけれバ食べる?」ご機嫌伺いは必須かもしれない。
「いいのですか?ワタクシに。」
串を手渡し、自分も串を手にとってショコラの座っていたベンチに並んで腰をかける。
 
ショコラがクスリ、と笑うのが見えた。友情の芽生えを祝福する類ではない、何かが成功したような。

二人揃って、小型の玉のようなこの料理にクチをつける。
それほど熱くもなさそうだ。
そして。


「ぶぼおおおっっっ!」
こちらも二人揃って声に出す。
「お。お。お。おおおお。」

「あ、冷まさないと、死にかけるよ。」とショコラ。
「ああ、あつあああつう!」
「あああはあああはあ!」
中のとろける生地が恐ろしく熱くて声が出ない二人。

イタズラの成功を楽しむミコッテの少女だが、おそらくついさっき、もしくは過去に体験したのだろう・・。

「ところで、キーさんはあ?」

「はッチ。」と指差す。黒髪の少女。ダメージからは幾分回復したみたいだ。
指先には、もう混沌とした乱闘が繰り広げられている。
「あー・・。ベッキィ。回収してきて。」
「はい。お嬢様。」
メガネをかける。
と。
猛然とダッシュして、乱闘現場に行く。

「なァ、ショコラ。お前、ベッキィって呼んでも大丈夫なんだナ。」
「そりゃそうでしょー。わっちのために働いてくれてたんだから。」
「そういや、そっカ。僕もキーファーも死にかケたよ。」
「一人は・・・今、そうなりそうだねえ。」
「アイツ、何もんだヨ?」
「まあ、先に食べとこうよお。」
「だナ。」


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またニューキャラ登場じゃよ~w
普段おとなしいのにドSキャラになっちゃうとは・・・おっかないんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年11月20日 14:36

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>王様、いらはいw
なんかおひさしw
うん、ニューキャラ。萌え度120%のメイドさんw
イッペン、踏まれてみる?www
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年11月21日 01:17

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おお~!wなんともまぁ魅惑のお誘いじゃよ~w
ふふふ、お願いしちゃうんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年11月21日 13:18

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>王様。じつはドM?w
今しばらくは、違う世界のお話書いてるから、また今度ねーw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年11月21日 13:50

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