366書き物。Opportunities(金銭的な報酬について)

「なァ?」

黒髪の少女。

その長い黒髪は腰まで届き、真っ直ぐでさらりとしている。
そして、前髪だけが不自然に斜めにカットされ、左眼を隠すよう。

「はい。」
答えるのは、銀髪の青年、キーファー。冴えない顔だが、声も冴えない。


グリダニアの、とある一軒家。

「あのさア。」
少女の問いに。

「はい。」

「少なくなイ?」

「え?」

神勇隊のイレギュラーメンバー。フネラーレ。
それが彼女の「名前」だ。
元は海賊の出だというが、誰も確認したわけでもなく、まことしやかに噂だけが流れている。

葬儀屋、という(グリダニアの発音だと、フネラーレは言いにくい・・。)この少女。

「だかラ。報酬の話だヨ。ちゃんと聞いてる?」

一軒家のリビング。少女はゆったりした寝着で、聞いてくる。


う・・・。
正直、青年は困り果てた、と言っても過言ではない。
この少女は、ミッションの前後だろうが、なんだろうが、自分と会う時には常に下着だったり、
全裸だったり・・それで「見たナ?」とイチャモンをつけられ、給料のアップを押し付けてくる。
今回はきわどい寝着だ。透けていて、ラインがはっきり分かる。
せっかくだから、しっかり見ておく。
「だから、限界ですって!」
正味の話。
この見せてアップ、な給料は、自腹である。
まあ、確かに見た以上はそのくらい払っても、十分なくらいの魅力があるのだが。
イレギュラーな彼女の給料に関しては、全て「ないもの」として経理に申告する以上、
マネジメントしている自分では、なんともしがたい。
ついでに言えば、今回の「見物料」は前借りしてまで捻出したくらいだ。


差し入れのフルーツをほう張りながら、黒髪の少女は、「ふン。」と。


困った・・。
これ以上の申請は通らないだろうし・・。でも、今回は・・。
確かに追加予算でも組まなければ、ちゃんとした報酬には見合わないだろう。


「その・・。フネラーレ?」
「なんダヨ?」
「ちょっと、上に掛け合って来るから、もう少し待ってて。」
「いいヨ。その代わり利子が付くかラ。」
「え!」
「そりゃそうだロ?」
「ああああ、できるだけ頑張るから!」
「当然でしょ。」
少女は優雅にブドウを口に運んでいく。

「行って来ます!!!」
青年は慌てて走り出す。

「カルヴァラン?」
パールで。
「どうした?」
「そっちは大丈夫ナの?」
「ああ。問題ない。」
「こっちは、少し案件があってソレは、始末したンだけド。」
「ほう。」
「実は・・・・。」


「なるほど。気をつけるとしよう。」
「うン。早く逢いたいよ。」


「もう少し待っててくれ。すまない。」
「うン。」
「じゃあな、リッラ。」
「うン、ダーリン。気をつけてネ。」


パールからの伝心を終えると、ウトウトとしてきた・・・・。

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