307書き物。幻術師の・・。導入。

「つまーんなーい。」
薄い緑色のチュニックを着た少女。
緑に覆われた、街の中。

小さな泉のある公園で一人。

白髪、というか銀色。

同世代だと、この色に染料を使って、赤とか青とか染めるのが流行っている。
だというのに。

白髪の髪の中から生えるような耳をさわる。

尻尾くらいなら染めても姉は怒らないだろうか?

ミコッテの少女、サ・ヴィント。

物心ついた時から親はいなかった。

代わりにいたのは姉だけ。

歳も離れていたせいか、今の自分の歳にはすでに、自分の世話をしていたはずだ。

「お姉ちゃん、今日も遅いのかな?」公園で一人。
だれも他にはいない。

「ちょっと。でておいで。」声をかける。
泉から、青い羽を纏った人影がやって来る。
「ふふー。」満足な顔。

「今日は何して遊ぼうかな。」

「ん?もう一人欲しいとな?よし。」

声をかける。

薄緑色の人影。

二人の精霊共に少女は公園で駆け回る。



「ヴィント。」
居住区ではない、幻術士のための宿舎。
二人は、親もいないためここに住んでいる。
そして。
術士のローブを着た歳の離れた姉は、自分に向かって声を大きくする。
「あなたね。自分のしたことが分かっているの?」
いつものお叱り。
「だって。」
「だっても勝手もありません。精霊を勝手に呼び込んで遊びに使うだなんて・・。」
「お姉ちゃんだって、精霊呼んだりしてるじゃない。」
「それとこれとは、全く違います。」
「ふうん。」と唇を尖らせる。

「まあ、いいわ。それだけの事ができるなら、明日。私と一緒にギルドに行くから。」

夕食の片付けをしながら、キッチンに向かうミコッテの少女。
銀髪だけが似ているが・・。

二人の寝室に先に向かうサ・ヴィント。
「わたしも。」
寝台に横になり、尻尾をどの辺にもっていこうか、いや、まずは寝着に着替えるか、はたまた、姉に文句の一つも考えておかねば。

知らない間に寝てしまっていた。


「もう。」
二つ用意してもらった寝台の一つ。歳の離れた妹がシーツそっちのけで寝てしまっている。
「ギルド、か。私にはいいのかもしれないが・・。この子には・・。」
もう一度寝顔を見る。
「ヴィント、か。風が吹く、とはよく言った名だな。私なぞ、曇り空だ。」
おだやかな寝顔の妹を見て、自身も寝床に就く。


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つまり時間も遡った話なんじゃな~?w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年09月07日 15:37

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>しゃくなげさん。うん。
ZERO編で、あまりに出番が無くて、かつ・・・
の彼女を書いて見たくてw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年09月08日 01:06

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