188書き物。ある日常の一コマ。あるいは母親の心配。

「ねぇ、ちょっとミュー。」

旧来の親友を捕まえてグレイの髪を後ろにくくった女性は、ワインを片手に。

深緑の街、グリダニア。
第二の故郷でもあるこの街に少女のような女性がカフェにて。
「レティさん、言いたいことはなんとなくわかりますけど。」
「ホントに?」
「あの、あれでしょ?マユちゃんがカンパニーに入った、って。」
そこにスウェシーナの息子と一緒、だとか、そんな余計なことは言わない。
「ソコじゃないんだな。」
「え?」
(もしかして既にバレてる?)
「ヘンな組織の連中が絡んでる。」
「そうなんですか!?」
(バレてないけど・・大丈夫かな?それ。)
「まあ、実害のある連中じゃないけど、何考えてるかわからないあたりがうっとうしい。
ウチの娘に手を出すな、ってクギ刺したんだけどな。未だにあきらめてないのか、バカ共なんだか。」
(レティさんの「クギ」に真っ向勝負なんて・・・すごい。。。)
「まあ、なんだ。今更あたしが出て行くのも親バカだし。少しは娘の事を気遣うってコトで。ワインおかわり。」
「はい。(気遣ってる、というか超心配してるじゃないですか・・・。)」



いきなり殴り倒された女性呪術士はそのままかき消すように消える。
おそらく移動術式。
「ん?」
殴り倒した術士は気にも留めず。
「第七の災いを知っているか?」と問いかけてきた。
「何それ?」ブルーグレイの髪の少女は答える。
「知らんのか。すぐに起こるであろう災い。そしてその対応をしていたのだが、先の女が邪魔をしてな。」
「ちょっと!いきなり女性を殴るのはどうかと思うにゃ!」オレンジ色の髪のミコッテ。槍を既に構えている。
「そうだ!」と同じく茶色い髪の少年。
「お前らこそいきなり槍で切りかかってなかったか?」と術士。表情はフードとゴーグルで読めない。
「そ、それは・・にゃ。」「怪しかったから・・。」
「そっちの娘は様子を見てたようだが。」
「相手が違う、とおもったし。」とブルーグレイの髪の少女。
「・・・・・。」無言のソーサラー。
「まあいい。ここは引く。が。」
「逃がすか!」少女が叫ぶ。


呪を紡ぐ。


小さな魔方陣が組みあがる。
「我が盟友と遊んでもらうかな。」
竜族。その中でも小柄な種だが・・。十分以上に凶暴。

それを見て。
「わー、アンタ友達少ないのね。それと選んだほうがいいわよ?」

「うるさい。」
少女のひと言に思わず。
そして移動術式で消えていく・・。
「それじゃ、やっちゃうにゃ。」「はい!先輩!」「かわいくないペットねー。」「・・・。」



「あれ?レティ?なんで?」
鬼哭隊の副隊長(次期隊長確定のはずだが・・)スウェシーナはカフェに午後のお茶を楽しみに来た。
普段、ザナラーンの港町で露店をしている旦那の手伝いをしているはずだが・・。
「なによ。居たら悪いの?」と少し不機嫌。(これは絡んだらマズイ。)長年の知恵というものは役に立つ。とはいえ無視をする気にもなれず・・・。
「あ、スゥさん。実はマユちゃんがカンパニー、それも双蛇党に入ったんだって。それで様子見に来たって。」
「イラン事いうなー、ミュー。そしてワイン。」
「な!」
「どうかしたんです?スゥさん。」
「うちの息子もこの前、双蛇党にはいったあああ!」
(でしたよね。この展開マズかったかしら?まあ、すぐにバレるコトだしいいか。)
「なんだとおお!」
「まあまあ、けっこうな人数も入隊してるんだし、同じ隊になる事ってそうそうないんじゃないですか?気にしすぎですよ。」と二人をなだめる。

「んーむ。」「そうね。」

カフェの女主人は気苦労が絶えない。

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