172書き物。海賊船の5

夕暮れ時。

目的の港町にたどり着き。


一日、強行軍で来たものの、途中のキャンプではチョコボを隠しつつ休憩はしたが
(一般人が乗ってるはずもなく、なお外国からだ)かなり疲労はある。

パールのついたリングに念を込め、相手を呼び出す。
「こちら山猫。今、港についたわ。ちょっとだけ休憩しちゃっていいかな?」
「こちら、森。まあいいだろう。だが今夜が仕事だぞ?」
「りょーかーい。」
「手配してある船は月が中天の時にと言いつけておく。それまで休め。」
「ありがとー。」
「君は本当に仕事を理解してるのか?」
「してなきゃ、ココにいないわ。」
「ならいいが。場所はパールで連絡してくれ。成功を祈る。」


私掠船アスタリシア号強襲のミッション。
目的は、グリダニアから難民及び、国民を乗せた船に海賊行為をしたか否か?と。
密約でウルダハから、船を沈めて欲しい、と要請があったからだ。
少女には建前しか言っていないが、メインは船を沈める、もしくはしばらく活動できないようにする、というものだ。



「ふぁーぁ。」
グレイの髪の少女はあくびをして身を起こす。
そろそろ、月が中天に差し掛かる時間だ。
仮眠と軽く軽食(お菓子)を摂った後、目的の場所に行く。
パールで確認するまでも無く、目星の船はあった。

「で?これで行くの?」
目の前には小さな手漕ぎ船。

「まあ、そこは色々とありましてね。簡単に言えば定期便に引っ掛けちまうんですよ。
で、相手の航路に来たときに外して待ち伏せ、ってトコロですかね。」
「なるほどー。」
小柄な密偵兼船員が言う。

「で、帰りは?」
「デジョンか何か、おありでは?」
「あ、そーか。」

月が中天に差し掛かる。

「じゃ、行きますよ。」船員は定期便に張ったロープが引かれるのを確かめる。



ちゃぷ・・・。

ちゃぷ。


「この辺り、に今夜くるはずなんですがね?」
「来なかったら帰るわね。」
「そりゃかまいやせんが、ウルダハの情報は確かだと思いますね。」
「ウルダハ関連なの?」
「情報も商品ですぜ?お嬢ちゃん。」
「覚えておくわ。ありがと。」



果たして、船はやってきた。


「んじゃ、お仕事しますか。」
「師匠。」少女は髪を縛る紐をもう一度締めなおす。

呪を紡ぎ始める。

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