51書き物~グリダニア~3かナ

「十二跡調査会。」

母さんがなにか言ったけど。

2人の女性は、その単語で言葉を失ったようだ。

「ま、そーいうこと。」

「あの?」
「気にすんなーマユ。今日は久しぶりに母さんと会ったんだし、冒険聞かせろ。おい、ミュー、ワインボトル2,3本もっといで。一緒に飲もう!あ。スゥには水ね。」
「ちょっと!」
「おつまみも用意します!」
「え?」



ざわざわ(あのミューヌさんが、やけにかわいくないか・・・?)とか聞こえてくる。


4人での飲み会で、一番最初にダウンしたあたしは、ミューヌさんの寝室でオヤスミー・・・


「スゥ。あのいけ好かない会は、シルフなんか連れ出して何を考えているの?」
「・・・・。」沈黙の後に。
「なんだか、とってもヤバいことになってるみたい。」
「なに?それ?」
「蛮神、って知ってる?」
「えー、アレだっけ?タイタンだとか、イフリートだとか、獣人の荒神だっけか?」
「そう、そのイフリートを降臨させようって獣人の情報を掴んだみたい。」
「えーーーーーー!!!!」
「ミュー、声大きい。」
あたしは戻ってきた女主人に、クギを刺す。

「まじか?」
「ええ、大マジ。」
「なるほど、ウチの店でもなんだか騒がしいと思ったら・・。」

あの?と。ミューヌが。
「ミューは気にしなくっていいの。こんな荒事は全部スゥが片付けるから。」
「マテ、この魔女!」
「あたし、ただの主婦だしー。」
「わたしだって、一児の母です!」
「あ、そういえば、例のナインアイビーのダンナはどうしたの?」
「今は、クルザスの方に偵察にまわされてる・・・。」
「そうなんですよ、レティさん。少し心配です。」
「アンタ、鬼哭隊仕切ってるんでしょ?スゥ?」
「あの人、やけに張り切るから・・。」
「おーおー、ノロケ来た!」
「レティさん!!」
「ぬっころしたろーか?」
「くる?」
バンっ、とテーブルを叩く女主人。
シーンとする場。

「もう、ちゃんと進めましょう。ええと。二つの案件があるんですよね?」
「ええ、帝国と蛮神。」
「めんどーねー」

で、

「マユちゃんは、帝国のほうの偵察ってリムサから書状がって、ウルスリからだけど。」
「そっちは、あの子がやるでしょ。」と魔女。

「ま、今日見た限りじゃ、一人でも大丈夫じゃないの?」
「大丈夫なんですかー?」
「このくらいでくたばるようには育ててない。」

「で、蛮神のほうは?」 
「ソイツはあたしがいって来る。」
「ちょっと、待った!たしか、そんなの、一人じゃムリでしょう?わたしも行く!」
「まだ、降臨、とまではいかないって、例の会の話?イクサル?なんだか獣人の拠点に、
生贄のために集められた人がいるって?その救出だけでしょ?」
「魔女とはいえ、それはやっぱりサポート要るんじゃないの?」
(いい年なんだし。)(うるせー、てめえもだろ!)(わたしは一人しか産んでないもの)(かんけーあるか!)

「はぁ・・」若いわねー・・・って考える時点でマズイのか・・・
少しがっくり・・。
ミューヌは、戦いなど経験したこともない。だから幼馴染の二人の活躍と、その娘に期待するしかない。
できることは、帰って来る場所の用意と、暖かい食事くらいだ。


事態は進みこそすれ、後退はしない。
ならば、良くするに越したことはない。

二人の母の顔は、すっかり冒険者に戻っている。


「「じゃあ、ミュー。後はよろしく!」」

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