「お、おじゃましまーす。」「失礼します。」
ウルダハにある、アパルトマン。個人宅よりは広めで、実際に家族住まい
そこに、オレンジ色の髪の鬼哭隊隊士、それとなぜかグリダニアのカフェの給仕娘が二人。
「やあ、我が家にようこそ!」ブルーグレイの髪の女性が出迎えてくれる。
彼女の招待で、隊士のシャンと来たのだけど。それも初めて乗る飛空艇で。
「そ・・その・・?」オドオドとした感じのオーア。彼女は森の国グリダニアから出たことはない。
初めての異国での光景と、その活気、そして混沌とした空気や、ホコリが気になる。
「オーア先輩。せっかくですんで、楽しみましょう。」冷静なセリフとは裏腹に、興奮しているのが尻尾でまるわかりのナオ。ぶんぶん振り回している・・・
(う~ん、ごめんね、キミタチ。)内心そう思いながら、マユは昼食をテーブルに。
ちょっとしたパーティーじみた感じで。
「イーリス、怒ってるかなあ?」「大丈夫です。普段仕事しなさすぎですし。」「ミューヌさん、ゴメンね~ってところ?」「ご主人はこの程度、楽々こなすでしょう。」
(イーリスっ!こっちに! あ、ミューヌさん、オーダーはいりましたー! 少し時間かかるわ、お伝えして!)などと、戦争の真っ只中。
とある荒野
「あー、ミーのヤツ大丈夫やろなあ?」炎のシャードを使って煙草に火を点け、一服。
黒髪の女性は少し伸びた髪を撫でつけ、紫煙を吐く。
コンビで動いていた時は吸っていなかったのだが、いまは独りだ。懐かしいような、寂しいような。
時々現れる、大物を狩るスタイルが流行りつつある中で、傭兵まがいの仕事をしつつ、
エレディタは親友、いや、それ以上とも呼べるパートナーが幸せになれるよう、祈りながら。
「しっかりせえや。」心の中からエールを送る。
(来たぞ)(ああ、了解や)パールから「ほな、しっかり稼いどいたるわ!ミー!」
お祝いの品のレベルを上げる。
「お姉、あのさ聞いてよ!観覧車って、試しに乗ってくれって。」
弟のテンションの高さは今に始まったわけではないが、相当に高い。
「まさか、ひっくり返した、とか言わないよね?」こいつならやりかねん、とばかり。
「違う違う!あまりの高さにさ、すっごく楽しくって、ゴンドラの中で飛び跳ねてたら、止まっちゃって!」
「お前なあ・・」(当たり前だ、そんな無茶をすれば試験段階ならば、当然に安全対処のために止めるだろう・・・)こめかみを押さえるマルスCEO
15メートル以上ある高さから、ゴンドラごと落とされたら、骨折どころか、ゴンドラの中でミンチが出来かねない。
しかし。
「でもね、いっちばん上だったんだけど、そこからの景色って、すっごいよかったんだよ!降りてからイドゥンさんに思いっきり怒られたんだけど、
シドさんは、興味があるって。そんで一緒に乗って、一番上で止めてもらったんだ。」
「ほう。」
「そしたらね、動いてるゴンドラが急に止まって、絶景が観れる。いいプランだ!って、ホメてくれたんだよ!」
まあ、確かにこういうサプライズを天然でやってのける弟だが・・・これは悪くない、かな。
「わかった。とりあえず本社まで来い。」
「へ?」
「要件がある。」「はあい。」
悪夢への階段か、どうかは彼しかわからない一歩。
「ね、エリス?」茶色の髪のミコッテ。
「んー?」黒髪を少し伸ばしたミコッテ。
「そのさ、本社に行くんでしょ?」
「そうだよ。」
「ワタシが行ってもいいの?」
「エフィも連れてきて、ってせねっちから。」
むー・・・現場から呼び戻されて、こ依頼。いまいち把握ができない。なんせ、工期が伸びるかもしれないからだ。
「気にしなけりゃいいじゃない?ボーナス出るんでしょ?」髪を紫に染めたカレン。
「そうだよ、エフィ。」エリスも。
(おそらく・・・おそらくだけど・・・いや、考えまい・・・時を同じくして、エレンも飛び立った。コレは・・ミコッテを集めてる?)
「あ、はは。そう、そうだよね・・・」危険な感じがメチャクチャする・・・
「エッフィー?なにビクついてるの?」カレン・ルイが抱きついてくる。
「えーっと、大企業の本社にお邪魔するなんて・・(それよりも、さらにキツイ予感が・・)」
そこに
「全くよ。堂々としてないと、いい商売はできないよ?」褐色の肌に、銀髪。シックス。
(ああ・・やっぱりなあ・・・予感は確信へと変わっていく。)
そして、午後のアリティア産業の会議室に、数名のミコッテが集まっていて。
「皆様、お待たせいたしました。本日、お集まり頂いたのは、とある事業に関してのサンプルデータを取るためです。マユ殿、どうぞお入りください。」
司会じみたセリフで招き入れる。
「あ、ども。マユ・ヴィルトカッツェです。そして、親友のマルグリット・コリーナ、と子供たちです。」金髪の女性もお辞儀をして、子供にもさせている。
シャンはすでに場内に。
「では、大まかな説明をいたします。」濃いグレーの髪のミコッテ、セネリオ秘書が。
「今回のエンタテイメント施設において、子供用の「おみやげ屋」をすることに。そこで、我が社長が提案された、ぬいぐるみを販売する事になりました。」
おー!
「そして、そのメインは・・・・我々、ミコッテの尻尾です。なので、触り心地を子供達に試してもらい、誰がいいのか、選んでもらいます。
もちろん、社長と私もその対象ですので、恨みっこナシでお願いします。」
「せ・・せんちゃん?まさか?」「はい。当然の帰結でしょう。」
「え?この背中に貼り付けた紙って、そういう理由なの!?」カレンが怯えながら逃げ出そうとし、「ゴメン。カギは外から閉めちゃったんだ。」と苦笑いのマユ。
「うちの子も、気にしてるのかなあ?」とは、マリー。
そして。
番号の割り振ってある紙を背中に貼り付けたミコッテの尻尾を。
時には逃げ回り、忍耐という言葉をかみしめつつ。
(なにせ、トップ3に入れば、ボーナスがつく)
アナスタシア、アクィラ、セレーノの3人は、ボードに書いてある数字に、マークをつけていく。
「ぴぎゃあ!」最初の悲鳴は意外にも筆頭秘書、セネリオ。
3人がかりで尻尾をいじられながら、なおも鉄面皮を貫く彼女に、社長が「ほれ」と脇をくすぐったのだ。効果てきめん、耐えに耐えてた悲鳴が。
膝から崩折れ、荒い息をつく秘書を見ながら、してやったり、と社長。
が。
次に同じ境遇にあう事までは予測できなかったらしい。
この凄惨な有様を見せつけられて、二人の主婦以外は、声もない・・・
数時間にも及ぶ、凄絶な鬼ごっこ。阿鼻叫喚とはこの事だろう。
「スゴイ事になってるね・・」「うん。大丈夫なの?」「一応・・その依頼だし。ちゃんと報酬も出るって。」「わたし達、ヒューランでよかったね・・」「うん。」
果たして、この勝者は・・・
1位、シャン隊士 大方の予想通りではある。
2位、マルス社長 普段触らてないところがイイらしい。
3位、エフェメラ嬢 毛なみがとても気持ちいい、という結果に。
次点、オーア。柔らかかった。