879セブンス。進撃の隙間。

「ふん。」
「おや?お気に召さない?」

土の結界の隙間からあの場の戦闘を眺めていた二人。
本来ならば、そんな芸当は不可能だ。
ただし、「本来ならば」だ。
そうじゃないことができる者であれば、十分に可能だ、とも言い換えれる。

「ネロ殿。何か言いたそうですね?」漆黒のカウルに、赫く輝く光の仮面。表情は・・伺えない。
「いや、アシエン・ラハブレア。貴殿こそ何かいいたそうじゃないのか?」深紅の鎧の将軍。

「そうですね・・順調に光のクリスタル、この星の意思を汲んでいる・・・・。ハイデリンごときが我ら天使いを排除しようなどと。片腹痛い。」
「そういえば、ハイデリンの意思とは一体何だ?帝国としては、蛮神なる存在の完全なる排除も一つの目的。そのために貴殿達と組んでいるわけだが?」
「この星、ハイデリンは、我ら闇を駆逐するために、その辺のクズ共に力を与えるべく「意思」を解き放っている。
その馬鹿げた妄想にとりつかれたクズ共がこうしてあちこちで動いている、ということだ。」
「ほう。確かに俺はそんな意思など聞いたことがないな。ただ、連中が蛮神どもを殲滅してくれるなら、使い勝手のいいコマが、くらいか。
ただ、反帝国の意思を持っているのなら、使い切った後で殲滅してやるんだが。」
「いい話だ。」
「で。この後どうするんだね?サンク・・いや、ラハブレア。」
「しばらくは様子を伺うとしよう。それにつけても・・・」
「どうしたのだ?」
「ネロ殿。言葉には注意したまえよ?  ただ。」
「それは失敬したな。で?」
「いや。ハイデリンの意思が笑えてな。失笑を禁じえない。」
「というと?」
くっく「光でもって、我らを駆逐しようなどと。ありえない話だ。」
「ほう?」
「いいかね?我らは「闇」だ。全ての光が、その闇の存在を肯定する。陽の光に己の影を持たぬ者がいるかね?その陽すら、落ちれば闇の領域になる。
いかに月が照らそうが、その背後には必ず闇が存在する。これが笑えなくてなんとするのかね?」
「なるほどな。面白い考えだ。」
「そうだ。ついでにもっと面白い話を追加しようか。」
「まだあるのか?」
「ああ。奴らが十二神などと崇め、奉っている「神」とかいう存在。」
「ある程度は知っているが・・」
「今のタイタンなど小神。コボルド如きが崇めるクラス。もう少し上のクラスになる。奴らは「人」が崇める蛮神だ。その神話すら、奴らが勝手にでっち上げたな。」
「ほう。興味深いな。陛下に報告しておかねば。」
「アイツはその事くらい知ってるさ。だからこそのエオルゼアの討伐作戦を展開しているのだろう。」
「詳しいな。」
「ああ。ただ、末端部分にはこの手の話は極秘らしいからな。」くす「いい話を聞けただろう?」
「俺が末端だとでも?」
「だから知らなかったのさ。」
「・・・。」
「ネロ殿?気を落とさずともいい。要は結果を出せば、ね。この話はガイウスあたりでも知ってるかどうかだ。ネールは知っていて、自爆したがね。
さて、君はガイウスくらいは超えれるんじゃないか?」
「団長を・・」
「そのくらいの野心はあるだろう?」
仮面の下でほくそ笑む。
「・・・リウィアが何と言うか・・・」
「ほう?あのガイウスの飼っている小鳥か?」
「彼女は!」
「自分の手にしたいのであろう?」
心の闇に染み込んでくる。
「・・・・そうだ。俺は・・・彼女が・・・」
「では、そうすべきだ。それがニンゲンのあるべき姿。彼女を手に収めるためにすべき事は何か。もう一度よく考えることだ。」
「・・・・・」
「おっと。そろそろこの結界も時間切れだな。また会おう。「深紅の将軍閣下」。」

「あの野郎・・・」兜を脱ぎ、放り捨てる。ネロは・・・「やってやる・・・」




砂の都、ウルダハの一角。
「お!やってるじゃない!」何故だか、戦勝会に参加しているミコッテの女性、エフェメラに。
「ココ・・マユさんが・・んぐ!」喉に肉をつまらせ、胸を叩いている。
「うん、美味しいでしょ?」
「マユ殿。いい店を紹介いただいた。」串を頬張りつつ、一流企業の社長が。
「ですよへしゃひょー」「エリス。しふれひだほ。」双子そろって肉を頬張り、あまつさえ例のチーズまで・・・
「おいおい、お嬢さん方、もう少しゆっくり食べないと殿方にモテないぜ?」店主の言葉に。
「そこの兄ちゃんは、すでに相手がいるからいいんです。」とは社長。
カップルを指差して。
ミコッテの青年は「はは。」と。隣のエレゼンの彼女は頬を赤らめ、無言でワインを。
「いいですねー。」白魔道士の少女はグビグビとワインを煽りながら。
「まあ、バカップルや。楽しませたれ。」ブロンドの少女。「お姉ちゃん、遠慮あらへんわ。」
「今回は賛成かもしれへんな。」黒髪の女性が姉妹の会話に。
そこに。「よう!やってるじゃない。っと、おやっさん、コレ差し入れ!」包みを。
中のビンを受け取り、主人は「主役は遅れてやってくる、かい?レティ。」
「はん、なに言ってるの。主役はこいつらだろ?」「ま。いいや。今日はもう店じまいだ。俺の料理を好きなだけ食ってくれ!」

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