859セブンス。青年と女性が・・・

「ねえ!」
「ん?」
ここは港で栄える街。リムサ・ロミンサ。
そこの宿の一角で、二人の女性が寝泊まりしていた。
もう、滞在も半月を過ぎ、街にも慣れてきている。
そこで、寝ていたはずのエレゼンの女性が、相棒の黒髪のヒューランの女性を起こしたのだ。
普段なら、全く逆で、寝相の悪いこのエレゼンの女性、ミーランのシーツを引っペがして、毎日のように驚愕するのだが。悪いどころか、どうやれば?と言いたくなる。
だが、今朝に限り自分から起き出して、しかも起こしに来るとは。
それもまだ明け方だ。この時間なら自分も寝ている事が多い。

「なに・・?ミー・・?」寝ぼけ眼をこするエレディタ。
「ちょっと!お願いがあるの!」必死な表情。
「実はね・・・今日のお昼ご飯に、リガルドさんからお誘いがあって・・・」
「ええやんか。初デートやろ?うちは、その辺で買い物でもしとくわ。」
「えっ!エリ、来てくれないの!?」
「ミー、なんでうちが他人のデートにいかんとあかんのや?二人っきりやから、デートやろが。子供か!」
「そんな・・・叱らなくっても・・・・・」くすん・・・
「まあ、ええわ・・・ほんで?ミー。着ていくものは?」
「うぇっ!?あっ!そうだ!それも何がいいか、聞かなくっちゃ!」
「しゃあないなあ。ドレ着ていくつもりやったん?」
「・・・・コレ。」声が小さくなる・・・
目の前には普段着ている鎧の下に着るようなシャツと、同じくトラウザ。どちらも飾りっけもなく、もちろん色も地味。かつデザイン性なんて・・・
「ミー。あのな。最初のデートやで?なんでそんなん選ぶんや?」
「だって、あんまり派手だと、恥ずかしいじゃない・・・・」声が消え入りそうに。
「ええわ。うちが選んだる。この前の・・・・」
「え!?アレ!?」


ミコッテの青年、リガルドは、いつものローブではなく、少し胸のはだけた船乗りが着るような真っ白いシャツ、
黒のぴちっとしたズボン、ベルトポーチと身軽ながら、スマートさが伺える。
薄桃色の髪をかきあげ、待合場所で海を眺めていた。
「そろそろ、かな。」陽がそろそろ中天に差し掛かるまで、それほど時間はかからないだろう。
塀に肘を乗せ、頬杖をついていた彼は、後ろに誰かが来たのがわかった。耳がぴくりと足音を拾ったから。
振り返ると、オレンジの髪が陽光に映えるエレゼンの女性。先日、彼女に告白したばかり。
「や・・あ。」少し驚きが。
普段の彼女は、鎖鎧にサーコート、盾と剣を身に付け、きりっとしているのだ。
が、しかし。
目の前の女性は、髪は短いまま前髪だけをカチューシャでとめ、少し広めのオデコが。
そして、服装はといえば、赤と白いふわふわしたミニスカートのドレス。足元も膝上まであるソックスそれも白黒のボーダー。
靴も厚底のせいか、普段より背が高い。とはいえもともと背の低い彼女では、彼の顔まで届かない。
「そ・・・の。こんにちわ・・。」もじもじしながら、赤面で挨拶をしてくる。
「ああ・・こんにちは。・・良く似合ってるよ。」にっこり。(こういうのも可愛いね)
「じゃ・・よろしく・・・」「ああ。じゃ、行こうか。」
二人は街中に。

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