832セブンス。幕間・・・少し先の話の幕間。

ん。
夜空を見上げる。
「にゃん。」
最近飼い始めたクァールの子。
首に鈴が付けてあり、ちりんちりん、と音をたてながらあっちこっちをイタズラするために走り回る。
が、夜になると自身のもとに寄り添うのが好きらしく、座っていれば膝元に、寝ていれば枕元に寄り添って来る。

黒雪は、この子に「ヨル」と名づけ、独りの夜も寂しくないよ、と。

今宵は。
いい月だ。
「魔女の家」の裏庭。小川のせせらぎに。


そう、あの夜。妹が嫁ぐ決意を話して。
自分が舞い。
妹が吟じた歌が、雪月花。

いい感性だな。
私の妹だけの事はある。

とけ、落ち、散る。
ゆえに、「今」愛でるのだ。

「私は・・な?」傍らのヨルを撫でる。にゃあん・・

・・・・「月はいいな・・・満ちては欠け、また満ちる。落ちてはまた昇る。」少し欠けた十六夜。

「ヨル、わかる?」頭をなでてやると、にゃぁん!と元気よく。
「よし。私も少し吟じてみるか。白ほどにはうまくないがな。」ヨルを撫でる。にゃぁん。


「花は散り、その散り際を魅せ・・

鳥は舞い、其の様を空から謳う・・・

風は踊り、鳥達の宴を・・・

月は満ち、その姿を皆に魅せる・・・・」


「ふ。柄でもない、か。」
ヨルを抱きしめる。

そこに。

「いい歌だったよ。黒雪。」
後ろから抱きしめられ。
「あ。」

「うん、ありがと。」
抱きしめられた手を抱きしめ返す。


月は恋人達の逢瀬を見守る・・・・・・・

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