728セブンス。pt

「そこまでよっ!大人しく武器を捨てなさい!命まではとらないからっ!」
陽光のもと、オレンジの髪の女騎士は蒼い剣を突きつける。

グリダニアの一角で盗賊「イガバチ団」に入ってしばらく、こんな経験は初めてだ。
男は、おそらく自分よりもかなり年下の娘相手に手も足も出なかった。

簡単に言えば、娘の剣戟の速度があまりにも速い。
自分も短剣を扱いなれて、そこそこ使いこなしているとは思ったが。
まず、第一に短剣は軽いので使いこなすとかなりの速度で攻撃ができる。
そして、娘が持っているような長い(細身であっても、だ)剣より小回りが利く分だけ、取り回しもいい。つまり、手数で勝てる。あとは間合いだけの問題。
ところが。
この娘の剣は、あきらかにおかしい。
素手で空気の剣を振り回すかのような速さで、蒼い残像を残すかのように自在に振り回してくる。
こちらが2度振るえば、それを跳ね返し、さらに突き込んでくる。
しかも、無理をして大振りすれば盾で跳ね除けられる。
まだこの歳でとんでもない娘だ。
「わかった。降参だ。」短剣を投げ捨てる。
「ふう。まだいるわね?」
エレゼンの女騎士に。「ああ。けっこう多いぜ。」せめてもの強がり。
「エリ!そっちは?」
黒髪の相棒に。
「まあ、なんとかボコったで。殺さんように加減すんのも手がかかるわ。」

なんだ?こいつら・・。男は自身の怪我が軽いのを幸運だった、とおもった。

「こっちは氷漬けやけどな。」
「お姉ちゃん、加減せなあかんやん。」

見ると向こうには白い霜が全身に張り付いている仲間、おそらく術士の・・・
そして、もうひとりは樹にへばりつくように。
腰あたりがおかしな角度になっているが・・・おそらくあの大斧で吹き飛ばされた、か。生きてるのか死んでるのか、ちょっとわからない。
そう考えると、自分は幸運だったというしかない。

「あ、ユーニさんと、ユーリさん?殺すのナシ、って言ったじゃないですか。」
「死んでへんわ。このままほっといたら溶けて元通りや。」
「あ、うちも殺してへんで?ちょっと吹き飛ばすのに腰に斧が入っただけや。骨くらいは折れてるけど死んでへんって。」

あいもかわらず、やりすぎな二人に少し溜め息。
ミーランは「やりすぎ、です!」
と。
この後にもまだいくらか居る。用心してかからねば。
そして、それだけ多いとなると、この二人はおそらく加減をしないだろう・・・
はぁ・・。


----------コメント----------

黙々と殺し 後始末の責を自らに課す女性組と、殺人に青さ残る少女組。
っていう感じでタイプが書き分けられてますね。
暗部をえがこうとすると、どうしても殺伐とした雰囲気、道徳的に受け入れ難い内容になりますのぉ。まぁ、目を背けても事実は世に存在する訳で。むつかしいむつかしい。うんうん。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年10月17日 00:03

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>えふぃたん、いつになく。
そだねえ。
フネラーレあたりだと、機械的にやっちゃうし、黒雪嬢も今回、初の暗殺。
ただこの二人も、少し違う。
そんでこの4人だと、姉妹はかなり遠慮ないけど、ミーランはお人好しすぎて、ってパターンかな。エリはけっこうドライだけど。
そんな感じでキャラに個性を出して行きたいなっておもってます。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年10月17日 08:02

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コメントし辛い本文だな~なんて思ったから、敢えてコメントしてみました。
架空とは言え、人殺すのに抵抗感無くしちゃ駄目だよね。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年10月17日 13:55

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>えふぃたん、そうだよね。
やっぱり倫理感ってのは必要だね。
SAO(ソードアートオンライン)とかでもこのテーマは語られています。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年10月18日 05:16

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