荒野の一大都市、ウルダハ。
その威容と、容赦の無さに住人を選ぶ。
そんな中。
「やっほー!」と。
淡いグレーの髪の少女はいつもの友達と遊びに行く。
「ターシャって、そういえば冒険者目指すの?」と。
「うーん、ママ的にはどっちでもいい、とか。」
「なにそれ?」と笑う。
「いや、ママって、パパと出逢うきっかけが冒険者になったから、って。」
「おー、それってつまり未来の夫探しだね!」
「うん、そうかも?」
少女達は笑いながら。
この街は危険をいつもはらんでいるが。
この少女に限っては、その限りではないらしい。友人も。
なんせ、祖母は有名な「天魔の魔女」母は「魔女の後継」と、さらに父も「血塗れ騎士」と名だたるメンバー。
この家系に手を出そう、などとはよほどの無知以外にいない。
アナスタシアはそんな自覚はほとんど無いが、まだ10歳に満たないが、アルダネス教団の魔術学校で飛び級の首席なあたり、家系を物語っている。
そんなワケで事情を知らないチンピラが絡んできても術式で追い払うのは朝飯前で。
(こんなじゃじゃ馬、結婚できるのかしら?)と友人たちは心配している。
「ふう。」
最近引っ越してきたウルダハだが、霊災の後は少し様変わりしていて。
かつて寝床にしていた場所や、酒場も少し変って。
マユは夫のための昼食の弁当をこしらえて、もって行こうと歩いていたら。
愛娘がチンピラ相手にケンカを売っていた。
「げ?」
「ほーう、このターシャさん相手にケンカですか?」
「なんだ?このチビ。金出せ、つってるだけだろうが?」
「いい度胸ね。この三下。」
「あんだとっ!こるぁ!」
あちゃあ・・・どうしたものか。
ここで手を出すとせっかくの弁当が台無しになりかねないし。
しかし、娘の相手をするチンピラが気の毒でもある。
そして、娘の後ろに隠れている友人達もかわいそうだ。
仕方ないか。
娘の前に割って入る。
「あの?うちの娘がなにか?」
「あ?」
「ママ!」
「あんだ?お前?代わりに金払うのか?それとも宿で相手してくれんのか?」
はぁ。
「ターシャ?どういう事?」
「無視してんじゃねえ!」と掴みかかってくる。
そこで。
娘を見ながら。なので手加減はできないな、とは思いつつ。
すぱあん!
綺麗な流線型を描いた後ろ回し蹴りがチンピラの即頭部に命中。
吹っ飛ばされるチンピラ。
「ターシャ?」
何事もなかったように質問を。
「ママ、えぐい。」
「だから。何かしたの?」
友達はあまりの出来事に驚くどころか硬直したまま。
「べつに。なんかぶつかってきて。それでブツクサ言われたから追い返そうって。」
「もう。気をつけなさいね?」と言ってブルーグレイの髪の女性は去っていく。おそらくは剣術士ギルドに。
「ねえ、ターシャ?今の・・・?」
「あ、うん。ママ。ちょっと手が早いの。困ったものね。」
「すげ・・・・。」
「パパには激甘すぎて、見てるほうが恥ずかしい。」
「うわー。」
「ばーばはもっとスゴイよ?」
「そうなの?」
「うん、じじ相手にさっきみたいな蹴りとか、もっとエグイの叩き込んで気絶させたりするからね。」
「・・・・・。」声もない。
「うーん、あたしも格闘やろうかなあ・・。」
「ターシャ、あなたが言うと真剣にコワイわ。」
「そう?」首席が言う。
「術式だけでもさっきのチンピラくらい。」
「まあねー。さすがにエアロガはまずいかな?」てへ。
「殺す気まんまんだね。」
「あたしにケンカ売るほうが悪い。」ころりと。
「ホント、家系って怖いわね。」
「ま、いいじゃない。今日は何して遊ぼうか。」
「そうね~」
「ウルラ、お弁当。」控えめな声で。
「ああ。マユ。」剣術の指南をしていた夫が振り向き、弟子に休憩を促し
「ねえ、聞いてよ。ターシャがね。」と先ほどの。
「はは、それでマユが蹴り倒したのか。人の事言えないだろう?」
「ぶー。」口を尖らせる。
「とりあえずいただくよ。ありがとう。」
「もう。」だが、笑顔で。
一家の日常は常にこういうものだ。
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この家系はオソロシイw
あ~・・っと。でもこの歳で自分を「このターシャさん」と呼ぶトコロは、ターシャ、鼻っぱしらが高くなってきてるのかなぁ?
レティもマユも尊敬できる師がいたから、身の程を知りつつ自分への尊称を使ってるところが格好良かったけど。
そろそろターシャにもライバルや師が登場?w (とネタ振りのつもり)
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年09月23日 09:33
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>えふぃたん、なかなかするどいw
おませなお年頃ではあるのでw
それと、飛び級首席ともなるとやはり高慢に。外伝でもかなりの高圧的な性格でしたが、この頃からすでにその片鱗がw
師に関してはまあ、学校ですんで複数いるでしょうが、ライバルはまだ未定。
とりまきに近い友人はいるでしょうw
むしろライバルは正統派な感じ?w普通なら主人公はるようなw
などと返してみますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年09月23日 10:26