684セブンス。家庭の事情。

「そうか。」
執事のヒューランの男性は、面を下げたまま沈痛な言葉を。
「親父が逝った、か。」
黒髪、黒い肌、金色の瞳のミコッテの青年は、感慨があるでもなく。
ただそう言葉にした。

リムサ・ロミンサ。その中でも有数の豪商である彼の家。
彼自身も商売を展開しており、それなりの実績と、有望である、と株も高い。
そして。
総帥でもある、彼の実父が他界した、と。そう執事が彼の職務室に告げに来たのである。

リムサ・ロミンサでの葬儀は、基本的に海葬。
棺に遺体を入れ、海に流すのだ。
稀に土に還してくれ、と遺書を残す者も居るようだが、今回は普段の通り海葬らしい。
病んでいたようだが、壮健な父親がこうも容易く去るとは。

笑みがこぼれる。

「アドルフォ。葬儀はいつからだ?」
「はい、クォ様。中天に陽が上り次第、でございます。」
「そうか・・あと二刻ほどだな。」
「はい。」
「喪服の準備は?」
「ご用意しております。」
「抜け目無いな、お前も。」
「いえ、決してそんな・・・・。」
「シックス!」
小麦色の肌の金髪のミコッテの女性。
「はあい?」
「俺達の出番がくるぞ?」
「そーなの?」とダイスを振る。
腰に下げた袋から、ランダムに取り出したダイスは、8個ほど。
その全てが6だ。
「わお!」
ダイスの「目」で、ほぼ全てを決める女性は、奇跡的な出目に感動し、黒いミコッテに抱きつき、キスをする。
「こほん。」と執事が咳払いをするが、気にせずキスを続ける。

そんな女性を引き剥がし、黒いミコッテは。
「いい時代が来そうじゃないか?」
「そうね、クォ。」と、もう一度キスをねだる。
「あとで寝台に来い。相手してやる。」
「うふ。」





「そーいえば、マユさん。」
宿屋「砂時計」にて。
エレゼンの少女、いや、女性か。
さりげない、というか疑問。
「あの、赤ちゃん、アクィラくん、だっけ?一人で大丈夫?」
オレンジ色の髪だが、光の加減で赤く染まる。
「ああ、大丈夫。」
こちらはブルーグレイの髪を以前よりは少し伸ばし、近い年齢ながら大人の女性としての魅力がある。
もしも、後ろに小さな女の子を連れて歩いていなければ、声がかかること間違いないだろう。そのぐらいに魅力的だ。
さらに母であるところの魔女は並んで歩いていれば姉妹と言ってもおかしくないくらい。
少し、いや、かなりうらやましい。
ウルダハの街並みを歩いて周る。
相棒の黒髪の女性、エレディタも髪を伸ばし、綺麗に着飾れば引く手数多な容貌と言えるだろうが。
彼女は髪を短く乱雑に刈り、女性としての空気を自分から否定しているかのよう。
詳しくは聞いていないが、かつて恋仲であったチームのリーダーを追い出した時、そう決めたのだ、と。酒の勢いで語った彼女はとても寂しそうだった。
そんな感慨にふけりながらも。


コロセウムまで。
洋上のではなく、ギルドまで。
それほどの距離があるでもなく、寄り道をいろいろしながら。
「この辺に美味しい屋台があったんだけど・・・」
「ママ、お腹すいた。」
「うん、ターシャ、もう少し待ってね?」
「マユさんって、そういえば、ウルダハ暮らしって結構あったんですよね?」
ミーランの問いかけに。
「そうね、まずココからが出発だったわね。最初は宿も無かったから、雑貨屋さんのところで寝させてもらったわ。もちろん、部屋じゃなくて、カウンターの裏側でね。」
さらっとした過去話しだが、うら若き乙女がそんな生活を普通にしていたとは。
翻って、自身はなんと豊かに過ごしていたのか。
「ママ?」
淡いグレーの髪の少女は、空腹を訴える。
「はいはい、到着ですよー。」
屋台には香ばしい香りが立ち込める。
「うん、さすがにまだあったか。」満足げな母。

「おう!」とは、黒髪の女性。
恐らくは見たことも無かったのかもしれない。
以前に一度だけ来た、とは言っていたが。こういう屋台めぐりなどはしていなかった、ということか。もちろん、初めて来た自分としては、なにもかもが新しいのだが。


「おっちゃーん。おっひさ~。娘のアナスタシアよ。覚えておいてね。」
と、わくわく顔の娘を紹介すると。
「お、べっぴんさんだね!サービスしないとなあ!」と。
「よろしく、です。」と頭を下げるミーラン。
「おう、嬢ちゃん、ここじゃあ、そんな面倒はいらねえぜ?美味けりゃ笑顔だ。そんでもって、コッチはお代を頂戴する。シンプルだろ?」
「そうですね・・。」呆気にとられ。
「ミー、田舎すぎ。」と相棒。
「まあ、マズはコレだろう?マユ嬢ちゃん。」
吊るした肉を炙りながら
そぎ落としていく。
それを野菜と一緒にパンに挟んで渡してくる。
「うん、これこれ。ターシャの分はお肉細かくしてね。ミーちゃん、エレちゃん?もどうぞ。ここのは逸品だよ!」
「はは、女性に囲まれて腕も鳴るぜ。」
店主はハーブを利かせたミルクティーも用意して。「サービスだぜ?」と。

お腹を満たし、4人でコロセウム剣術士ギルドに。

クセ毛の金髪を短くした青年が指示を出しながら、汗をかいている。
自身も剣を振りつつ、構えや型、捌き方、その他を指導している。
おそらくは昼食も摂っていないであろう、愛する夫に。
「ウルラ。」と、邪魔をしないように控えめに声を。

(さすがだなあ、私だと絶対大声で呼んじゃうけど。)と、内心。

その声を逃さず、振り返った夫にも(さすがだ。こういう人を巡り合えたらな)とか、つい。

「すまん、少し席を外す。各自、鍛錬は休憩していていいぞ。俺だけ休憩なんてのは反則だろ?」「はい!師範代!ありがたく!」

「マユ、ターシャまで。それに、ミーラン、エレディタさんまでか。」
「豪華メンバーでしょ?はい。差し入れ。」先ほどのパンを。
「ありがとう。あそこのは昼を過ぎると売り切れるからな。ほとんど食べれない。」
「お弟子さんに買いに行かせれば?」
「その場合、全員にオゴるハメになる。お前、それでもいいのか?」
「う、家計的にはご遠慮したい・・・。」
「だろ?だから、ありがたいね。コレ。」パンを頬張る。
「パパ、品がない。」
全員が絶句し、この娘に教育を施したであろう、魔女に脅威した。


----------コメント----------

ターシャが第二の魔女になりそうな勢いw

久しぶりにのんびりとした空気でいいですね。
ゲームの方はやる事多過ぎて忙しいんですけど。
Akatuki Reo (Durandal) 2013年08月31日 13:11

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>レオさん、確かにw
まだ10歳にも満たないんだよね、実はw
でも、才覚の片鱗を見せているターシャは、母のマユを超えるかもw
軽く見られがちなマユだけど、実は対人戦では不敗を誇っています。
ウルラとはやりあってないかな?
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月31日 14:35

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0θΘ日しーた
β4からこのかた、あんまり新生地に赴いてないので、邂逅できませんね(^_^;
アカツキさんはウルダハエーテで立ちんぼのトコをつついておいたんだけど。
ま、機会あればいつかは出会うでしょうね。
ケバブ美味しそ♪
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年08月31日 15:20

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>エフィさん

多分ログアウトしないで放置している時に
突っつかれたんですね…。

週明けにはサーバー強化あるみたいなので、
安定したら会えるかな?
Akatuki Reo (Durandal) 2013年08月31日 16:34

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>えふぃたん、じつは。
eも混じってますw
ケバブ、おいしいよw屋台のって、なぜだか美味しいwあれ不思議w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年09月01日 08:46

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>レオさん、ありがちw
サーバ、どうなんだろね?
さすがに新生ロドストまで落ちちゃって、どうなの?ってツッコミはしたいw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年09月01日 09:04

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> e !? うゎホントだ
> 放置? 残念。もうちょっとイタズラしとくんだったw
> サーバ、先週はずたぼろだった様ですね。
4日に増強らしいから、以降落ち着くと良いですね~
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年09月02日 22:07

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>えふぃたん。eは気がつかなかったかw
そして落とされて、はいれませんw
最近は「まゆり」じゃなくて、リッラ(フネラーレ)でイチからやってますw
サーバ、なんとかしてよねwほんとw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年09月03日 02:17

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