682セブンス(第七星歴)。二人の少女、もしくは序章。

あれから、いくばくかの年月を迎え。
不思議と、二人は穏やかに。

「なあ、ミー、本気か?お前」
「エリこそっ!最初は行く気満々だったじゃないのっ!」

穏やかに、とはいかなかったようで。




「第七霊災」と。
世間では、いや、エオルゼアではそう呼ばれた災厄から5年。
各地で被災が起こり、いや、被災どころか。壊滅的な災害。

神聖である月の横にそっと居続ける赤い子星。
誰もが、それを親子のように愛でてきた。
ハズだった。
その赤い小月が落ちてきて、その本性を見せ付けるまでは。
結界術式によって封印されてきた、古の「龍」バハムート。
その檻こそが、かの赤い月だったのだ。
封印を破った怒れる龍は、その魔力でもって世界中を焼き尽くし、エオルゼアは空前の被害に見舞われた。これを「第七霊災」と、人々は呼ぶ事となる。

それから先、奇妙な事が起こりだし。

何故か、人々の記憶から、その「災厄」や、戦った「つわもの」の顔や姿が思い出せないと。
そんな事から、そういう人々を「光の戦士」と呼ぶ慣わしが。
ただ、それは高名ならばともかく。
そもそも、知らない間柄なれば、「始めから知らない人」を認識できるわけもなく。
実際に、商都ウルダハから一歩も出た事の無いバザールの人間が、いきなり森の都からの訪問客の事などわかるわけも無く。
混乱はある程度で。
しかも、同じく肩を並べた面々が死線をくぐりぬけ、次の日には「あんただれ?」にはならないだろう。ましてや親族なら。

なので、一種の都市伝説になり、よく知るが、どうだった?くらいの記憶の混乱からはじまったのである。

ただ。

その記憶の混乱事態は、確かに存在したのだ。

「モモディさん?」
ブルーグレイの髪の女性は、赤ん坊を抱きながらクイックサンドの女将のララフェルに。
「あら?あなた、ウルダハは初めて?そんな小さな子供連れて歩いてたら危ないわ~。それに、後ろに小さな女の子まで。だめよ~?モモディさんが、安全なトコを教えてあげるわ~。」
「えーっと。モモディ・・ナマモノ?」と、女性は柳眉を下げる。
「あら?」
「ナマモノ。」
「どこかで聞いた侮蔑ね~。貴女、どっかで会ったことある~?」
確かに、初めて出会った時は、まだ少女で子共どころか、恋人すらいない危なっかしげなところも多々あって、それをずっとからかわれてきた。が。
たかが5、6年見ないくらいで忘れ去られる、なんて、一般の方ならいざ知らず、このララフェルの女将ではありえない。
やはり、あの噂は本当かしら・・・。夫が剣術士ギルドで師範代を勤めていて、会いに来たのだが・・・。夫も、少しおかしい、とは言っていた。
「新しい師範代の方ですね、お願いします。」と、数年来の弟子に言われたのだそうだ。
何かが。
そう。何かが「ゆらぎ」を見せている。愛しい我が子を抱きしめながら、お邪魔しました、と酒場を出て行くマユ。「ママ、どうしたの?」と。
「ターシャ、あたしから離れたらダメよ?いい?」
「うん。でもママも大丈夫?」
「大丈夫。こう見えてもママはかなり強いのだ!」
「うん!知ってる!」
愛娘の頭に手をやり、なでてやる。
「もし、何かあったらこの子を、アクィラをお願いね。ママがちゃんとするから。」
小さな男の子を。
「ママ・・・・。」
「大丈夫。お姉ちゃんでしょ?」
「うん!」

なんだか、ヘンな空気ね。ほんと。マユは初めて来たウルダハと似た空気を。



「なあ、お嬢さん方。チョコボキャリッジは初めてかね?」
チョコボに庫を引かすキャリッジは、全国的だ。荷台には、貨物だろうが、人だろうが、運べるものは運ぶ。
例え、それが何であっても。
そして、荷台には5人。
一人は、先ほど声をかけてきた中年の商人?浅黒い肌に金髪の髯がなんとも似合う。
そして、不思議な雰囲気な兄妹?エレゼンのようだ。銀髪で顔つきも似ているから兄妹、と勝手に決め付けたが、あるいは違うのだろうか?
そして。
(ミー、なんとか言ったれよ。愛想悪いだろーが。)小声で相棒をコツく。
(エリこそっ、こういうの得意でしょ?)同じく小声。

ちなみに、二人ともキャリッジなんてのは初めてだ。ふよふよとする荷台は少し心もとない。
その間にも商人は・・・
「ウルダハには、何のために行くんだね?いや、話し相手が欲しくてね。そこの二人は返事すらしてくれなくてね。」事実なのだろうが、聞こえよがしに完全にあてこすっている。
(ミー、こういうのは気をつけろ。)
(うん、でもこっちも・・)その時。
「我々は銅刃団である。」
と、外から。
「なんや?やっかいごと?おい、おっさん!」と、黒髪の少女が御者のララフェルに。
「え、そのお・・」「おい!止まれと言ってるだろうがあ!」「ああああ、何事でしょう?」
「荷物検めをさせてもらう。」「はあ・・。」「おい!お前達!」指揮官?が指示を出して。
「隊長!こんなものが!」小さな袋。「ソムヌス香です!」「いかんなあ?いかん。ご禁制の品をウルダハに持ち込んでもらっては。なあ?」
「ま、待ってくれ。そんなものは持ってきていない!」商人も必死だ。が、エレゼンの兄妹は何事も無いようにそのままに。
「エリっ!」「ミー、焦んなや。」

其処に。

ダンっ

荷台に矢が。

外を見れば、アマルジャの兵が。

「クソっ、ここは見逃してやる。」振り返り「おい、お前ら、あいつらを一匹たりともウルダハに近づけるな!」隊長の声に「おっし!」と。

「ふうん、ただのチンピラかとおもったんやけどなあ、やるやん。」
「エリっ!」

エレゼンの兄妹はそのまま、何事も無かったように。

商人は一息つき「助かった」とだけ。何に助かったのかは聞く気も起きないが。

「んじゃまあ、ウルダハまでか。たりいなあ。」
「エリ?」
「ミー、教えておいてやんけどさ。ウルダハで妙な情なんて、出したらあかんで?」
「え?」
「あそこは、街全体がスラムや。貧富の差が見えるリムサ・ロミンサみたいな綺麗なところとちがうで。気がついたら娼館で賞品にされてた、なんて、勘弁やで?」
「え。ほんと?」
「せやし、本気か?って聞いたやろ?この街に来るって。」
「でも・・・。剣術士ギルドもあるし。やっぱり、ユパ様以外の技術とか見たかったから。それに、ウルラさんも師範代をされてるらしいから。」
ふぅ。「まあ、ええけどな。まあ、顔みれるだけでもええかもしれへん。」
二人は納得して、ウルダハの門をくぐる。


----------コメント----------

新生編、ついに始まりましたねw
この二人がどのようにして成長していくのか楽しみですw
Marth Lowell (Durandal) 2013年08月29日 12:32

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>マルスCEO、さてw
新生編、ですが、まだまだ把握できてません。
街の中すらw
なので、じっくりと行かせて戴きますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月30日 06:22

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