509書き物。戦地にて。

「なア?アンタどう思ウ?」

忌まわしき戦場、と称されるモードゥナ。
その入り口とも言うべき峡谷を抜け、二人の冒険者、というか斥候。
答えを振り分けられ、壮年のエレゼンの術士はこう答えた。

「ロクでもないな。」

自分の娘とそれほど歳もかわらないであろう、黒髪の少女は圧倒的な攻撃力を持っており、見た目ではいろんな意味で判断しかねる。
このコメントにすら反意が感じられたのだとしたら、すぐにでも撃ち抜かれかねない。

「やっぱネ。あーあーホント。いヤになル。」
「というと?」
「そりゃ仲間ウチで殺し合い、ッテ楽しイ?」
「ロクでもない・・・。」本音だ。
「ま、こノ先もうちょっとだネ。本トなら寝れるハズなんだけどネ。寝たくないだろウ?」
「俺は・・君となら大丈夫だ。十分寝させてもらうよ。」
「そうかイ。じゃあ交代で休憩ダ。起こす時は声だけでイイ。触ると怪我するヨ。」
「わかった。じゃあ先に寝ておいてくれ。」
「じゃ、ネ。」うとうと、とまどろみに。

「まさかね。」
目の前の少女は黒髪を一つの装飾としながら人形のような。
先ほどの苛烈とも思えるような容赦ない攻撃はあまりにも。
「あまりにも手に負えない様ならば始末しろ。」
このオーダーにはさすがに応えられない。
「いや、無理だよ。俺には。」
夢見る少女に、自分の娘を重ね合わせ。
「ミーラン。」
今もなお奮闘しているのだろうか?
この少女のように戦いの糧を癒すように眠っているのだろうか?


呪を寄せ、紡ぎ合わせる。


「こっちにおいで。」
蒼い光が二人を覆う。
術式をちゃんとした構成で編み込めば、呪は韻を成す「言の葉」としての役割でいい。
今更ながらの「好き放題」術式だが、師からはちゃんとした術式を言の葉に乗せろ、と言われたものだ。
「まあいいだろう?」と苦笑い。

「おはよウ。」
「ああ、おはよう。オジサンはそろそろ眠たかったんだ。いいかな?」
「術式使えるくらいなラ、眠くはナいだロ。最高位火炎術式、か。悪くはないけド、僕はそのくらいじゃ落ちないヨ?」
「だろうね。使う気もなかったけど。構成を編んでみた。それで気づかないようならとっと逃げてたね。」
「正直すぎルのは美徳じゃなイ。」
「だろうね。」
「寝とけヨ。起きたら頭に矢が刺さってた、なんてジョークはこの際ナシにしといてやんヨ。」
「助かるね。じゃあ、おやすみ。」

やりにくいおっさんだネ・・。昼行灯、カ・・


----------コメント----------

アルフレート氏の本気が楽しみだ。
Fizz Delight (Hyperion) 2013年03月16日 20:11

----------------------------

>フィズさん、うふふw
この時点でアルフレートさんは黒をカンストですのでーw
フレアの構成を展開していますw
ただ彼の娘ミーランとフネラーレが年齢的に近いことから、情に流されています。ミーランは14歳、フネラーレは19ですが。もうすぐ二人とも誕生日ですw
アルフレート自身は昼行灯なのでサッパリですが、実力はかなりありそうですねw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月17日 04:03

<<前の話 目次 次の話>>

マユリさんの元ページ