488書き物。黒髪の少女の憂鬱。

「はァ。」
綺麗な黒髪を持つ少女は、ベースであるところのカフェから。
酒場兼冒険者ギルドでもある「溺れた海豚亭」へと。

溜め息ばかりの彼女に。
「なあ、なんでそんなに溜め息ばっかりなんだ?」
と、ヒゲの店主バデロンが問いかけてくる。
時間はもう夕暮れ。陽もそろそろ沈みかけで、ようやっと「酒場」としては繁盛する時間帯だ。
カウンターにはウルスリ、彼のパートナーは居ない。休憩中なのだろう。
「うっせェ。」
白磁のような白い肌、絹めいた黒い髪は流れるように腰にまで届く。
そんな人形めいた美貌の少女は、しかし言葉使いは・・流れの海賊と変わりない。
「もう一時間、か。アイツもこんな美女を待たせるなんざ罪なヤツだね。」
ヒゲの店主に鋭い一瞥をくれてから。
「僕はいいノ!」と反撃。
瀕死の重傷から、なんとか回復しやっと逢える最愛の恋人を待つのにどれほどの苦痛があろうか?もちろん、あるわけもなく。
「カルヴァラン。」そっとつぶやく。
早く逢いたい。パールでのみしか逢えない彼には、今回の顛末は正直なところ全てを伝えていない。
第一に、死にかけたくらい、か。次には「銃」の存在と、ソレを渡したヤツがいる。この程度だ。
海賊船、いや、私略船アスタリシアのクルーとして、そして密偵としてグリダニアに潜伏している自分としては、
事の詳細を事細かに説明する義務がある。けれど。
最愛の人との待合はやはり・・。優先事項としては間違ってはいるのだけれど、何よりも優先したい。

「ヲい。ラム。」
右手を差し出し、空いたグラスをひっくり返しながら。(海賊流だな。と店主)
「ヤツが来る前にひっくり返るなよ?」ラムを新しいグラスに注ぐ。
「なめるナ、酒のヤリ方だって、カルヴァランに教えてもらってるンだ。倒れたら寝台まで直行じゃナいか。」
「いいのかね?悪いのかね?」とからかう。
「カルヴァランに限ってはイイ。」
「ああ、そうですか。はいはい。ラムですよー。」
はうぅ・・・。溜め息は続く。本当に倒れてしまって彼の腕の中で眠ってしまいたい。

「フネラーレ!!!」
バンっとドアをくぐり抜け、カウンターまでブーツの足音も気にせず青いジャケットのエレゼンの男性は、まさにズカズカと。
「おい大将。いや、副長、か。彼女、寝てしまったぜ。遅刻にも程があるな。」
カウンターに突っ伏している黒髪の少女を愛おしく見やり、「しくじった、かな。」と。
「さあ?少なくともこの子はお前サンと逢える事だけが何より楽しみみたいだからな。少し位反省が要るのは当然だろう?」
「そうだな。」
「ま、なんだ。とりあえずは一杯、か。」にやり。
「ああ、そうだな。ラム、ね。お前も付き合え。」にやり。


「で。だ。彼女を撃った、そう。銃だ。グリダニアの富豪が持っていたらしい。」
「おいおいおい!そんな話、聞いてないぜ?モモディすら知らないんじゃないのか?」
「そこまでは確認していない・・・彼女に話せばその全てが「商品」になってしまうからな。内内で進めたい。」
「ああ、それは構わんぜ。腐れ縁だしな。それとこの国の暗部も聞こえてくるからな。
守秘義務、ってのは聞こえはいいが、なんともプレッシャーがかかるよな。」
「なるほど。」
「ああ。まったく面倒だぜ。「魔女」と「黒猫」がこの場でやらかしちゃってな。」
「マジでか?」
「ああ全くもって不幸としか言い様がなかったね。胃がすりつぶされる思いだったよ。俺もウルスリも。」
ラムを飲み干し、一息ついて。
「守秘もへったくれもないね。俺はそう思うが。」
「なるほどな。そこにコイツも入ればさぞかし楽しい場だったろうに。」眠った少女の頭を優しくなでる。
「バカ抜かせ、この野郎。」とヒゲのマスターは苦笑い。
「それで。」
エレゼンの男性は海賊船副長の顔に戻り。
「銃はやはり此処から流出したのか?」
「難しい事聞かないでくれよ。俺は「千里耳」じゃねーんだぜ?」
「それは承知している。だが「黒猫」が絡んでいるのだろう?」
「ああ、多分、だけどな。」
「ほう。」
「さっき言った魔女とのやり取りで聞こえた話だよ。なので確証は全く無い。
そもそも「黒猫」が此処に来ること自体がオカシイってば。」
「そりゃご苦労なこった。」はははと笑うエレゼンの男性は、もう普通の客だ。
(ということは、やはり黒猫は一枚かんでいた、ということか。)
「ああ、副長。宿はとってある。そのお嬢さんを運びこんでくれ。」
「ああ。ありがとう。払いは?」
「明日でいいよ。では。旧友よ。」敬礼。海賊式の。
「ありがとう。」敬礼。



次の朝。
隣に眠るエレゼンの男性を見て、黒髪の少女は悲鳴を上げる。

「ちょ!カルヴァラン!な、な、なんデ!」
全裸の少女は、同じく全裸の男性を見てさらに言い募る。
「僕、ちょっと、ちょっと待ってヨ!」
「ん?」とうっすら目をあけた青年は、「楽しませてもらったよ。」
「ぎゃああァ!僕は全く楽しんでなイ!」
「じゃあ、今から楽しもう。」
「うン。」うなづいて体を預ける。


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ヒゲの店主!ヒゲに悪い人はいない。海賊流カッコイイな
バカルディ店にあるだけもってこい!!

って、最後・・・最後ぉぉ(/ω\*)イヤン (/ω・\*)チラッ
Fizz Delight (Hyperion) 2013年03月04日 14:49

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>フィズさん、どうもw
レヴィみたくやってみたいけどwロックのが隣に居ればw
最後は・・・二人の関係としては・・・こうなるだろう、ってw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月04日 19:48

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やったのかΣ(゚Д゚;)
しかもかなりマニアックプレイΣ(゚Д゚;)
Bob Dalus (Hyperion) 2013年03月04日 22:19

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>ぼびーw食いつきがあいかわらずいいネw
二人はとっくにこんな関係だから問題無いw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月04日 22:46

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