482書き物。冒険者達の日常・・・。凱旋。

「あっけなかったなあ。」
まさしくあっけらかんとした台詞はこげ茶色の髪の青年。
「ファーネちん、容赦ないにゃあ。」と銀髪のミコッテ。
「ソレ、言うかよ・・。」とウンザリ顔
ダンジョンの奥にいたノートリアスモンスターこと、NMを討伐し、とりあえずの結果は出したわけだが。
「まあとりあえずは結果オーライ、かな?」と金髪の少女に笑みを向け、親指を立てる。

「でも、なんだな。グリュック。」リーダーの青年はルガディンの相棒に。
「おう?」
「おもったよりは落し物がなかったな。」
「おう。」
「小銭はたまったにゃー。」と白魔道士の参謀。
「うーん、こういう積み重ねなのねー。」と金髪の少女。
「地味だけどなー。貧乏になってやっとわかったよ。」と皮肉な笑みの青年。
「さ、とりあえずは戻ろうか。NM討伐したのは事実だし、
それに祝杯の一つも挙げれないようではLS風見鶏の名にもとる。行くぞ。」黒髪の青年の声に。
「はーい。」「おう。」「にゃ。」「はいよ。」
青い光が包み込む。

ぽんっとエーテライトの前に。
「じゃあ、カフェまで走るぞ。最後に着いた者が奢る、ってのはどうかな?」
「いいな。乗ったぜ。」にっとするこげ茶色の髪の青年。
「おう。」
「えー、女子はそれ回避だよね!?」
「マリー、あまいにゃ。」
「よし、いくぞー!」
「え、まじー!?」
全員がダッシュする。

意外と足が早いのはルガディンのグリュック。
「はや!」とは青年の声だが、一声出せるだけ余裕がありそうだ。
そういう意味では、弓使いならではの足使いを使わないリーダーのベルはとてもフェアだといえる。

そして。

「ふにゃああ!」という声と、べちゃり。と音がしそうなコケかたは白魔道士ルー。
後ろを振り返り、ブービー確定な少女は助け起こしに行って。
起こされた瞬間を狙ってダッシュをかましたミコッテに最後尾をゆずられて。
「あー!こらああ!卑怯だーー!」と叫んでみるが、後の祭り。
策士は策を練るのが当然にゃー!と。
こうなれば、とぼとぼと帰るしかない。

「あー。やられた・・。」
カフェの前に着いてみれば。
「マリーは素直すぎるにゃん。」とルー。
「まあ、そこがいいところじゃないかな?」とファーネ。
「え?」
「じゃあ、3人で割り勘にしようか。」ファーネが笑う。
「そうにゃ。もともと私達のためのPtだからにゃ。」ルーの笑顔。
「そうね。ありがとう。」にっこり。

「やあ、おかえり。君たち。」とミューヌが出迎えてくれる。
「いらっしゃいませ!」とエレゼンの少女カナルと、ミコッテの少女オーアも出迎えてくれる。

「おーい。こっちこっち。」とグリュックが大きな手を振っている。

「じゃあ、行くか。」とファーネと共に。

一つの冒険と、一つの凱旋。

こうして冒険者達の日々は過ぎていく。




カフェの一角。

「なあ、レーゲン?」
「どうした?珍しいな。お前がここに来るなんて。」
「いや、な。アルフレートのトコの娘さんなんだが。」
「ああ、ミーか。」
「冒険者になりたい、んだそうだ。」
「ああ、知ってるよ。メーヴェさんからも聞いたし、止めてくれと言われている。」
「おいらも、そうは思うけど、この先どうなるか分からないだろう?」
「それはそうだ。」
「で、だ。お前、師として彼女を引き受けないか?」
「はあ?」
「できない、か。」
「ユパよ。旧友のよしみで話は聞くだけはきいたぞ?後の責任はお前が持て。」
「あー、やっぱりかあ。」
「教授(プロフェッサー)としての責任を果たすべきだな。」
「おいらに懐いてくれればいいんだがなあ・・。」赤い肌がいかめしいルガディンは頭をかく。
「俺もかわらんよ。」と苦笑い。
「そうかもなあ。」と笑いあう。
向うに見えるPtだろうか?和やかに歓談しているのを見ると二人とも気持ちも前向きに。
「いいなあ。ああいうの。」「そうだな。」

二人はこのあと昔話に興じ、エレゼンの術士までも呼び出して、娘の教育にアレコレと話を続けていく・・。

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