479書き物。冒険者達の日常・・・。ダンジョンアタック。

薄暗い、そして湿気とカビ臭のなか。
石段を降りきり、少し広い場所に出る。
そこには、蒼く光る柱があり、「え、コレってエーテライトだったの?」と。金髪の少女はビックリしている。
「知らなかったのかい?」と黒髪の青年は少し呆れ顔。
「うん・・・。」と少し恥ずかしいのか、顔をうつむかせ。
「がははっ!よくある話だな!」とルガディンの青年が大笑い。
いっそう、縮こまるような少女。「あう・・。」
「うん、こういう場所のエーテはなんていうか、簡易型なのかな。キャンプだと大きいから分かりやすいけどね。
マリーもキャンプや街のしか見たこと無かっただろうから仕方ないね。」とフォローする。
「なるほどなあ、経済的、っちゃ経済的だな。コレ。」とこげ茶色の髪を伸ばした青年。
年のころはベルと変らないだろうが、生真面目なベルとは違い、どこか人を食ったようなところがある。
「ファーネちんは、もうエーテの使い方は知ってるんだっけにゃ?」と銀髪の白魔道士にして参謀のルー。
「ああ、昨日教えてもらったよ。」
「それじゃあ、マリーと、ファーネちん。よく聞いてにゃ。」
「はい?」「ん?」
「この、簡易エーテライトには、直接飛ぶことができないにゃ。
なので、このエーテに触れて、登録は必須だけど、モスからもう一回飛ばないとダメにゃ。」
「へー。」
「というわけで、登録だけはしておくにゃ。」
「はあい。」「ほいよ。」
「よし。それじゃあそろそろ行こうか。」ベルの声に。「おう!」と。

ジメッとした地下回廊だけに、魔物も水棲生物が多い。
もちろん水たまりや、ちょっとした地下水の流れがあったり。
たしかにこんな場所で酒樽を保存しておけば、熟成する前に樽が腐ってなんともならないだろう。
とはいえ、ちゃんと管理されている次期も確かにあったはずなので、放置されてからこうなった、ということは否めないが。

ぴちょん。

  ぴちょん。

   ぴちょん。

水滴が滴る音が静寂を壊しているが、数多の魔物達は気にするふうでもない。
後衛に徹しているマリーがカンテラを持ち、灯りをあちこちにぶつけては、
ジメジメとした苔むした壁と、その光に追われた小さな蟲達がニョロニョロと逃げ出す。
そんなものしか見えない。最初こそ「ひゃああっ!」と声を上げて蟲達に驚いたものだが、もう慣れてしまった。
「慣れってコワイね・・。ルー?」「そうだにゃあ・・・。」
女子ならではの会話に、後ろで、ぷっ!と噴出す声。しんがりを勤めるファーネ。

「しかし、コレって本当に酒樽置いておく施設だったんだろうかね?」とグリュック。
彼にしては珍しく、的を射た質問に思える。
なんしょう、細い通路に入り組んだ道順。
確かにコレは効率でいえば最悪と言っていい。
「ま、いいんじゃね?」とはファーネだが。
「確かに、なんらかの意図があってのコトなんだろうね。」とベルは慎重だ。
「とりあえずは。ベルの旦那。そろそろ、だぜ。」と目を輝かすファーネ。
「だね。」矢をつがえ。
放つ。

ぎああああぁぁぁ

魚とは思えない奇声と共に、なんだか得体の知れない魚が矢を刺されたまま泳ぐようにヒレを動かし向かってくる。
「はいはい、コッチですよー。」とファーネがからかうように。前に出てきて剣を振り下ろす。
挑発にのった魚?は飛び跳ねながらファーネに噛み付こうとするが、盾であっさり薙ぎ払われる。そこにグリュックの槍が刺さり、退治される。
「以外と楽勝、じゃない?」とベルを見るファーネ。
「まあ、ね。でもこの先は少しばかりややこしい。できれば音をたてないでくれ。」
「どうして?」
「亡霊がいるんだよ。入り口にもいただろう?彼らはこの醸造庫で今も仕事をしているんだ。できれば静かに過ごしたい、と思うんだが。」
それに金髪の少女が反発する。
「それはダメじゃないかしら?彼らだってちゃんとラールガー様、じゃない、ここだとノフィカ様か。の御許にお送りすべきじゃないの?」
「マリー、じゃあ聞くが、お送りするために彼らの魂の拠り所である、骨と化した体を粉砕するのは気が引けないかい?」
「そ。それは・・。でも、そんな囚われの魂って、かわいそうだよ!」
「ベル、私からもひと言にゃ。マリーに賛成。」
「他には?」ベルは残り二人を見る。
「おう。」
「俺はどっちでもいいけど。まあ、死んでも働く、てのは気の毒だな。休暇くらいは必要だろ。」
「なるほど。了解。では、彼らをノフィカ様の御許に送り出すために、諸君には頑張ってもらおうか。」
「おうっ!」

部屋の中で幽鬼達がうろついている。手には酒樽が、ではなく、酒樽を持っている格好だけ。ただ無意味に「仕事」を続けている。
何故こうなったのかは、本人達しかわからないだろうが、対話もできるハズも無く。

「護りの空!」「石の御霊!」二人の少女の加護。
「まずは、一番槍、ってな。」ルガディンの青年の槍の一撃は重い。
一番手前の幽鬼の頭に当たり、頭蓋骨が吹っ飛ばされる。
「ここからだぜ!」盾を前面に押し出し、ファーネが前線を張る。
「んーむ・・・骨相手だとなあ。」
矢をつがえ、撃ち放つが、骨の隙間を矢が通り抜け、ダメージにならない。ベルが珍しくボヤいている。
(なるほど、だから戦闘回避したかったのね。)と邪推するメンバー。

部屋の中にいた幽鬼は3匹。そのどれもをノフィカ様のもとに送り届け。
「癒しの手」「慈愛の術」と癒して周る二人。

とりあえずの治癒は済み。
ここでファーネが質問をする。
「なあ、どっちも回復術式ケアルだろ?なんで呪文が違うんだ?」
少女二人は顔を見合わせ。
「それは・・。」と金髪の少女。
「センスの問題ですにゃ。」とミコッテの白魔道士。
「ふうん。俺は先生に習った術式に、好き放題「音」を添えろ、って習ったから、結局そういう事かな?」
「やーっぱりセンスにゃ。」「むう・・。わたしも習ったまま言ってるだけだもん。」
「まあまあ。回復できればそれでよし、じゃないか。彼女達の個性も出て、俺はいいと思うね。なあ?グリュック。」
「おう。」

「それじゃあ、そろそろメインイベント。NMの出てくる広間だよ。インプらしいけどね。
討伐されてはまた出てくるらしいから、何匹かいるのか、はたまた生き返るのか。
どちらにしても気を抜かないように。それと、周りにいっぱい魔物も居るから、まずはそっちからだね。いいかい?」
「おう!」
「うん、頼もしいね。じゃあ行くよっ!」
矢をつがえ、放つ。

「護りの空!」「石の御霊!」少女達の声が重なり、戦闘が開始される。


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いつもありがとう。

ベータテストで
ミューヌさんの顔を見た時
色々な小説のストーリーが浮かびました。

この小説のおかげで
世界観に広がりと深みがでました。
重ねてありがとう( ´ ▽ ` )ノ
Yupa Boleaz (Ragnarok) 2013年02月26日 09:11

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>ユパさま、こちらこそw
そう言っていただけると頑張り甲斐がでるってもんですw
今後ともご愛読いただければ幸いです。
ありがとう♪
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月26日 11:37

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おぉーw、豪華二本立てだw
Marth Lowell (Durandal) 2013年02月26日 18:15

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また新たなる登場人物になる方(生贄)が。
どうやってムントゥイで絡んでくるのやら!!

てか、骨とか居たっけ?覚えてないやw
Eraru Control (Hyperion) 2013年02月26日 22:40

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>マルスさん、いらはいw
たまにはやっとかないとw
タメ、が要るとき用にw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月27日 00:20

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>えらーっち。おいでやすw
「贄」かどうかは・・。まあ確定ですが。
ちなみに、ほねほね団は小部屋にアチコチいらっしゃいますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月27日 00:22

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