「ねえ、あなた。」
「ん?」
「マユの式、この2,3日だってさ。」
「なんだとおお!」
ザナラーン地方。
かなり、というか、最西端にとある港町、フェリードック。
というか、その少し離れたところにある村。
冒険者として、名を馳せてきた、かどうかは分からないが一人の少女の産まれた村。
しかしながら、両親は当然として、その少女を慮っている。
この夏、16になった少女は、伴侶を連れてこの家(というか、ドックの店)までやって来た。
思えば手間のかからない子だったが、冒険者になってからは色々と面倒がかかった、とは、母親。
いろいろ死に掛けては、自分が見ていないと駄目だと思うところがいくつもあったが・・。
あの男(夫)が居れば、そうそう、そういう事態にもならないだろう。そのくらいには腕前は認めている。
しかし...
よりにもよって、アイツか。
金髪の少年。
クセっ毛の金髪を短く刈った、この少年は、自分と同じくアラミゴの出自だが。
そう考えれば、血統でいえばアラミゴの血筋を残す、いいカップリングだといえなくもない。
だが。
かの少年は少し特殊というか、変わっている。
そのへんについていけるかどうか?が多少心配・・・。
「ま、大丈夫か。あたしの娘だ。」
と、考えを振り切った。
で、なになに、この2,3日以内に式するから、準備しといてね、だってか。
「そういえばあたし達の式は大爆笑だったね!」と旦那の大男の背中を膝蹴りで悶絶させて、さらにカカトを頭に落とす。
意識があるのかないのか判らない亭主に、さらに回し蹴りをいれながら、崩れ落ちたところで頭部に肘を打ち込む。
トドメといわんばかりに、後ろ回し蹴りを叩き込んで、吹っ飛ばしてから。
「ねえ、式にさ。何のドレスがいいかなあ?」と聞く。
かろうじて意識のあった亭主は。
「お前・・・。」としか言えなかった。
未だに根にもっていやがる・・・と、かつての式を思い出す。
だが、まあ大事な娘の式だ。
どうであれ、なんであれ、ちゃんと祝ってやりたい。
「お前、黒じゃねえ?」
「それが婚儀の色かあああああ!!!!!」
まわし蹴りが連発し、数発肘うち、拳のあと、さらにまわし蹴り、後ろ回し蹴りの綺麗なコンボが成立していく。
この後さらに続くであろうその連打に、さすがに生命の危機を覚え、「ゆるして・・。」と。
が、最後にハイキックがこめかみにヒットして意識が落ちた。
「やーっぱ。うん。紫にしよう。」
手持ちのドレスの中からピックアップを頭の中でしながら、息をしているのだかどうかの亭主のドレスアップを考える。
「ま。黒、か。」
この辺は意外と淡白なレティシア。
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むむむ、なんか旦那に同情じゃよ~w
旦那が不憫で不憫で・・・w
あまり同情すると巻き込まれそうじゃから退散じゃよ~w
同情する。という意味合いでいいね!は押さないんじゃよ~w
話的にはいいね!じゃろな~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年10月20日 08:20
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>しゃくなげさん、いらっしゃい♪
かなり前の回で、この二人の式を書きましたが、旦那がドジ踏んでw
そのことを根にもって、というか、思い出してw
ちなみに蹴り技が多いのはモンクを極めたからですw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月20日 11:11