375書き物。Where the streets have no neme(名も無き道に)

「おい。」
「はい。」
「本当にコッチでいいんだな?」
「ええと、、たぶん。」
「多分じゃダメだろ!」
「どうしてですかあ?」
「俺がフネラーレに殺される!」
「いいんじゃないんですかあ?」
「お前が殺されろ!」

キャンプ、エメラルドモス

二人の捜査員、神勇隊の暗部に関わる二人。

銀髪の青年キーファーは、部下のミコッテの少女フュ・グリューンこと、「ショコラ」と行動を共にしている。

名前は「緑」なのに、褐色の肌に茶色い髪。
なんともな名前についたニックネームが「ショコラ」だ。むしろこっちの方がいいだろう。といつも思う。

内偵の情報や、その他情報など、そういう所に長けている。
まあ、戦闘能力はかけらほども無いあたりは自分も同じだが、天然というか・・。のんびりとしている。

今回の作戦プランでも必須の戦力として呼び出し、探りを入れさせていたのだが。
なんとも頼りない情報をぽかーんと放り投げてきた。

「はあ・・・。」ため息が出る。
「あ、でも、キーさん。向こうじゃ二人墜としたんでしょ?」と尻尾をフリフリ、耳をピコピコ。

「だからー!キーさんって呼ぶな!上司に対して!」
「えー、キーさん、いやなのー?」
「お前、減給な。」
「えーーー!!!!!ありえなーい!」
ヘタリ。尻尾と耳が萎える・・。
「ショコラ。少し黙れ。多分、ヤツだ。」
探していた相手が見つかる。おそらく。

危険な薬物の製造の主犯格の男らしきヒューラン。
似顔絵から見るに、おそらくそうだろう。
帽子をかぶってはいるが、背格好、顔の輪郭など、特徴はおそらく間違いない。

「さて・・。このまま逃がす手はないが・・・。」とパールを持つ。

「フネラーレ。見つけたぞ。」



「あァ。分かった。」


まもなく葬儀屋がやってくるだろう。ヤツの棺桶も用意が居る。
しかし、ベントブランチのど真ん中で二人も射殺するあたり、もう声もない。
どういう神経をしているのか・・・。

「なにお考えですかー?」
ショコラが聞いてくる。

「ああ・・・。この後の対応だよ・・・。」
「ほう?」
「あの死神葬儀屋は、無鉄砲を通り越して、もう例え様がない。
キャンプのど真ん中で犯罪者をハリネズミにしちまったらしい。一般の冒険者や、商人達の目の前で、だ。」
「おーう、それはすごいですね。」
「頭が痛いよ・・・まったく・・・。後始末する俺の身にもなってくれ・・・。」
頭を抱える。
「で、あの男はどうなるんですかね?」
キャンプに居れば大丈夫と思っているのか。あちこちうろうろはしているが、出て行くそぶりは無い。
戦闘スキルはほぼないらしい、とは、このショコラの調査で分かっているので、遠目に見ているくらいだ。

「そりゃ、お前。ハリネズミだろ。」
もうあきらめた顔の銀髪の青年。

「へーえ。あ、そういえば、その葬儀屋さんの素っ裸とか、毎回見てるんですよね?」

ぶばっ!

「な!な!なにをっ!!」
「知ってるんですよー。」にやけるミコッテ。

「いや、あれは・・!その!」
「その度に自腹でペイに上乗せしてる、ってんでしょ。」

「ちょっとまてええええ!!!なんで!!!!」
「ふふん。わっちは、情報屋ですのよ。知らないワケないでしょ?」

「お、お前そのことを・・・。」
「黙っておく代わりに、わっちにもペイの上乗せ、よろしく~。」

「今月、すでに前借りしてんだぜ・・・。」
うなだれる青年。


「えらく和やかジャないか。」
長い黒髪の少女。フネラーレ。

「あ。」青年は沈黙し。
「ひゅう。」とミコッテは口笛を吹く。

「デ?後始末する俺の身にもなってくれ、じゃない対応はどうすればイイ?」
大弓を掲げて、詰め寄ってくる少女。

「あ・・・。聞いてました?」と情けない声の青年。
真正面からにらみこんでくる。
(こうやって見ると、綺麗なんだけどなあ・・。)
長いストレートの黒髪に、白い肌。整った顔立ちに黒い瞳。
ただ、少し不自然な角度で真っ直ぐ切られた前髪が左眼を隠す。
その奥の金色の瞳を知らなければ、すぐにでも求愛したくなるような。

ただし・・・。
「で?どうして欲しいンだ?矢は選べる。この前みたいな人形にされたいカ?」
恐ろしく口が悪い。

人形、というのはつい先日アジトで二人、生存者が居たのだが・・。
頭に矢を突き刺されたまま、ただ歩くだけで会話もできなく、回復も不可能な状態の男達。
あんなのには絶対なりたくない。
「いや・・。あの。すみません。」
「キーさんの人形状態ってみてみたーい。」
ショコラの提案に、「お前がなってみろよ!」
「和やかだナ。おイ。」

「あ。」青年は顔を青ざめさせる。
「どうしたのー?」とショコラに。
「あいつ、どこかに消えた・・。」
「えー、キーさんバカ?」
「オマエな・・・。」

はぁ・・。

「僕がさっさと来ておいて正解だったネ。ペイ上乗せだ。」
「えー・・・。」

「僕が視た獲物は絶対逃さない。もう捕らえたよ。殺しテくる。」






半時間ほど後。
戻ってきた黒髪の少女は、「あっチ。」とだけ言って移動術式で帰ってしまった。

「キーさん、あの人彼氏いるのかな?いないなら、どう?」
「居るよ・・って、お前、どうせ知ってて言ってるだろ!」
「あ、ばれた?」
「情報屋がその程度知らなくってどうするんだ。」
「まあねー。」
「まあ、いなくてもあんな物騒なのはごめんだけどな。」
「綺麗な子なのにねー。」
「見た目、だけじゃなあ・・。彼氏に敬意を表するよ。」
「ううん。無道の境地を往く美少女かー、かっこいいなあー。」
「お前は食欲まみれだろうが。」
「あ、そうそうキーさん。今回の報酬にプラス食事ってあるんですかねー?」
「ああ・・・もういいよ・・・とりあえず、報告と、後処理だ。今日一日は帰れない気がする・・・。」
「え・・・。ご飯・・・。」尻尾が萎える・・。


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キーファーと言えばサザーランドだけど、こっちのキーファーはかわいそうな中間管理職ですかね?w
Jonathan Jones (Masamune) 2012年10月14日 12:44

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>ジョジョさん、まいどw
まったくその通りですw
一応フネラーレと接触できるのは彼だけで、いつもボロクソにされていますw
部下のショコラもかなり好き勝手に動いているので、心労たるや・・・w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月14日 13:25

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