334書き物。少女の戦績。

目の前のガラクタ野郎。

「ふン。」

呪眼。

この「眼」を使えば、どんな小さな的でも射抜くことが出来る。

帝国製ガラクタは、正真正銘のガラクタになりつつある。

「僕の出番、ってこれだケかあ。」

キャンプから少し離れた場所。

見れば、隊長と、魔女がいる。

十分じゃないカ。なんで僕まで・・。

周りには隊士達が寝っころがってるが、その相手とは・・。

「棺桶の準備くらいしとケ。」

皮肉を込めて、独り言。

フネラーレの名は伊達じゃない。

「まだ生きてるじゃない。」
振り返る。

天魔の魔女レティシア。

「祖は縁ゆかりしもの。」
言霊が紡がれる。

レイズ。

一人、二人と息を吹き返す。

が。

「レティ・・・。」

隊長となり、初の任務であたった今回。
スウェシーナは、仮面をとって涙を隠さずにかがみこんだ。

「3人。」

「なんだよ?」魔女が振り返る。
「3人、消えた。」
「あ?」
「え?」

神隠し。

そういわれる森の粛清。あるいは・・。

僕自身も見たことは多分初めて・・。

「で、サ。」
何がどうなのか・・?

「ああ、フネラーレ。ありがとう。」

いいけどネ。べつに。

隊長殿が頭を下げる。
「なんなの?そしてこの魔女がなんデ?」

「あたしは、まあ。助っ人よ。ソレもかなり遅めのね。」
グレイの髪を後ろに括った魔女はそっけなく。

「部隊を連れて、捜索に行ったのはいいのだけれど・・。ああ、もちろん先に偵察に行った部隊から報告を受けてね。」
「ふうン。そういう時ってサ、トップは動かない方がよくなイ?」
「お前、クチ悪いけどマトモな事言うな。」
「ウルサイ。海賊ってのは実利主義だからな。」
「へーぇ。今度アスタリシア、沈めに行こうかしら。」
「コロスぞ?」
「やってみな?」

「まって、まって。ちょっと、あんた達。なんでそんなに仲が悪いの?」
隊長、そりゃ悪いにきまってるだろウ。

「ま。いいや。僕はこれで帰るよ。ただし。アスタリシア号に何かあれば、僕は容赦しない。この眼を使ってでも。必ず。」

「おーこわ。あたしもイージスに狙われたら死んじゃうからね。孫の顔見るまでは大人しくしておくわ。」


ふー。

宿に戻る。

結局は大したことが無かった。
左目を抑える。
少し疼く。
大弓を寝台の傍に置くと、そのまま寝台に。
金色の瞳。

手鏡を持って。

なんとか、見てみる。
あの時以来。


鏡を見るのが怖い。


前髪を持ち上げる。

一房の銀髪。
魔力を全て吸い上げられて、こうなった・・。

たぶん、「眼」に全てを持っていかれれば、髪はすべて銀髪になるのだろう。

「カルヴァラン。」愛おしい人の名を・・。

「早く、逢いたいよ・・・。」



寝台に身を投げ出し、眠りをむさぼる。

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