目の前のガラクタ野郎。
「ふン。」
呪眼。
この「眼」を使えば、どんな小さな的でも射抜くことが出来る。
帝国製ガラクタは、正真正銘のガラクタになりつつある。
「僕の出番、ってこれだケかあ。」
キャンプから少し離れた場所。
見れば、隊長と、魔女がいる。
十分じゃないカ。なんで僕まで・・。
周りには隊士達が寝っころがってるが、その相手とは・・。
「棺桶の準備くらいしとケ。」
皮肉を込めて、独り言。
フネラーレの名は伊達じゃない。
「まだ生きてるじゃない。」
振り返る。
天魔の魔女レティシア。
「祖は縁ゆかりしもの。」
言霊が紡がれる。
レイズ。
一人、二人と息を吹き返す。
が。
「レティ・・・。」
隊長となり、初の任務であたった今回。
スウェシーナは、仮面をとって涙を隠さずにかがみこんだ。
「3人。」
「なんだよ?」魔女が振り返る。
「3人、消えた。」
「あ?」
「え?」
神隠し。
そういわれる森の粛清。あるいは・・。
僕自身も見たことは多分初めて・・。
「で、サ。」
何がどうなのか・・?
「ああ、フネラーレ。ありがとう。」
いいけどネ。べつに。
隊長殿が頭を下げる。
「なんなの?そしてこの魔女がなんデ?」
「あたしは、まあ。助っ人よ。ソレもかなり遅めのね。」
グレイの髪を後ろに括った魔女はそっけなく。
「部隊を連れて、捜索に行ったのはいいのだけれど・・。ああ、もちろん先に偵察に行った部隊から報告を受けてね。」
「ふうン。そういう時ってサ、トップは動かない方がよくなイ?」
「お前、クチ悪いけどマトモな事言うな。」
「ウルサイ。海賊ってのは実利主義だからな。」
「へーぇ。今度アスタリシア、沈めに行こうかしら。」
「コロスぞ?」
「やってみな?」
「まって、まって。ちょっと、あんた達。なんでそんなに仲が悪いの?」
隊長、そりゃ悪いにきまってるだろウ。
「ま。いいや。僕はこれで帰るよ。ただし。アスタリシア号に何かあれば、僕は容赦しない。この眼を使ってでも。必ず。」
「おーこわ。あたしもイージスに狙われたら死んじゃうからね。孫の顔見るまでは大人しくしておくわ。」
ふー。
宿に戻る。
結局は大したことが無かった。
左目を抑える。
少し疼く。
大弓を寝台の傍に置くと、そのまま寝台に。
金色の瞳。
手鏡を持って。
なんとか、見てみる。
あの時以来。
鏡を見るのが怖い。
前髪を持ち上げる。
一房の銀髪。
魔力を全て吸い上げられて、こうなった・・。
たぶん、「眼」に全てを持っていかれれば、髪はすべて銀髪になるのだろう。
「カルヴァラン。」愛おしい人の名を・・。
「早く、逢いたいよ・・・。」
寝台に身を投げ出し、眠りをむさぼる。