251書き物。双子の日記の番外編。

一人のルガディンは、道に迷っていた。

それは、どうしようもなく、そして、絶望的で、かつ救いが無い。




「あの、いいでしょうか?」

事の始まりは、どこにでもある。それこそ、露店の売り込みや、PTの勧誘など。
最初に冒険者の登録をしたのは、リムサ・ロミンサ。
なんということもない、そこに住んでいた。それだけ。
いろんな「どこにでもある」話の中の一つ。

目の前のミコッテの少女は、わくわくした目で自分を見ている。
「その、なんだ?」
「ええと。その。pTっていうんでしたっけ?あ、Pt?あれ、ぱーりい?」
「なんでもいいが、ぱーりぃ、はマズいな。」
「ああ!そお。ぱーりい。あれ、Pt?ま、なんでもいいや。いいでしょうか?」
「あん?」
「いいでしょうか?」
見た目は、10を半ば少し過ぎたくらい。だがミコッテの少女は態度だけは一人前だ。
「あのな。ああ。自分はレーゲン、という。そのなんだ。自己紹介、というのはわかるかな?」
赤銅色の肌をしたルガディンは、目の前の。それこそ自分の半分ほどしかない背丈の少女に礼儀を教える。
とはいえ、この年齢の少女。それも初対面。正直、何を教えたものか分からない。

「あー。まずは、一応名乗り、というのは礼儀だな。Ptに入りたいのならなおさらだが。」
「そうですか。それでは。ラン・マーレ、っていいます。よろしくね。ゲーレンおじさま。」
「レーゲン、だ。それと家名は無い。ついでに言えば、自分はまだそんな年でもない。」
「はあい。おじさま。」
苦虫を噛み潰したような表情。(まあ、いい。)
「で。ラン嬢はどうしたいのだ?」
「おじさまは、その。」
「うん?」
「冒険者、なんですよねー?」好奇心いっぱいの少女。見る間でもない、というか、左右に振り続けられる尻尾を見れば、誰もがわかるだろう。
「ああ。そうなんだが。」どうにもタイミングというか、調子が狂う。
「術士さん、ですかー?」とこれまた好奇心いっぱい。
「まあ。な。」少し照れながらも。
「ちょっと。せっかくパーリィーなんだし。術士さんいるし、ひゃっほい!外にいこうぜベイベー!」
「君はその。なんだ?どうしたいんだ?」
あまりの展開についていけない。
「そうだね、あっちこっちの草花の恩恵をいただく。」
「ギャザラー、か。」
「そうともいうよね。園芸士。できれば本場、グリダニア、行きたいなあ。」
「そうか。自分も幻術士として名を上げたい。」
ミコッテと、ルガディンは笑顔を見せ合う。


が。

「ここら辺は、ヂッガという魔物がいる。気をつけろ。」
赤銅色の肌の大柄なルガディンが声をかける。

「うん・・。」答える少女は、

「ごめん。」

消え入るような声に、振り返る。

「あは。ヘマしちゃった。」

すぐに治癒の魔術をかける。

が。

失われた生命をさらに吸い尽くすように、巨大な昆虫が少女の後ろに居る。

「この!」昆虫に気を向ける。しかし、「治癒を!」叫びながらの術は・・。

少女の身体からは、体温が失われていくのがわかる様に、顔色が・・。

「うおおおおおぉオオおおおオオっっッ!!!」
自身の雄たけびに、自身の耳が追いつかない。
少女のネコのような耳にはもしかすれば、届いたのかもしれない。

気がつけば。

周りには、巨大な昆虫の屍骸がいくつか。
そして、元気に尻尾を振っていた少女の身体。草原に横たわり、もう動かない。

草原は穏やかだ。

ルガディンの術士は、ふらふらと。「あ?ああ?あああ!」
少女の動かない身体。その背後から。「おお。」少年の声に振り返る。

声の主は少年のような。
しかし。
「間にあわんかったの、かな。それでもワシがいなければ、そなたも危なかったじゃろうな。」
喋り口は少しばかり、年季というか。剣を仕舞う様は堂に入っている。似合った風ではあるのだが。
金髪、髪を後ろに束ねたララフェルは、どう見ても少年にしか見えない。
「その。」
「うん。礼はいらんのじゃよ。その前にそこな娘を。」
「あ、はい。ですが・・。蘇生の術はまだ・・。」
「困ったの。ワシも使えん。」
「そんな・・・。」
「仕方あるまい。こういうことはいつでも起こりうるんじゃ。ぬしも分かったであろ?」
金髪のララフェルは、帽子を取り、もう動かない少女に頭を垂れる。

「はい。」赤銅色の大きな身体を小さく。小さく。消え入りそうに。
少女に頭を垂れる。
「すまない。ラン。ラン・マーレ。君のためにと、偉そうなことは言わない。自分は必ず、君の名を忘れない。」

少女にもう一度、黙祷を捧げると。とぼとぼとリムサの街に。


彼が二つ名を所望する時。「大地の担い手。そして、稚い者の支え、よろしいでしょうか?」
「いいだろう。」



「ああ。レティシア殿。蘇生の儀、痛み入る。」
「いいってことよ。生命って大事よね。今、おなかにいる子にもちゃんと教えないとね。」
「名前は決まっておるんじゃったか?」
「そうね。女の子だったらマユ、男の子だったらどうしよう?ってモメてる最中なの。」
「ワシの名はどうかな?」
「むり。石楠花?まったく。もう。女の子。決めた。今決めた。おなかの子はマユ。女の子。」
「しゃくなげ・・そんなにわるいんかのう?」
金髪の前髪が、ちょん、と跳ねる。


----------コメント----------

おお~wワシがでてるんじゃよ~w
すごいんじゃよ~wありがとうじゃよ~w
これは昔の話じゃな~?w
レーゲンが半人前じゃよ~w

これを読んだワシを知っている連中は
赤いかぼちゃのパンツ(サブリカ)ヤローのくせにかっこよすぎ!
って言うと思うんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年07月23日 13:13

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>しゃくなげさん、いらっしゃいw
はいな、過去のお話。某術士の二つ名はこうして決まりました。
そして、しゃくなげさんもご登場w
時間軸としては、本編の15年ほど前に遡ります。
またのご登場、よろしいでしょうか?w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月23日 17:11

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こんな大事な場面に遭遇できるとは感謝&嬉しいんじゃよ~w

ワシでよければ通行人Aから準主役?あばよくば主役?
なんでも使ってもらっていいんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年07月23日 19:25

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>しゃくなげさん、いらっしゃい♪
彼らのバックグラウンド、という意味ではオイシイ役どころですよねw
さて、この伏線どうしようかしら?w
あ、あと宣伝?「ZERO書き物。」は主人公がレティシアです。この後「海賊編」などがあり、その次の時間軸な今回。
是非とも読み直してみてくださいw
あ、多分しゃくなげさん、再登場しますw過去じゃなくw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月23日 21:41

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格闘の師匠!?とかおもったら
しゃくなげさんでズコー

        ∧∧
       ヽ(・ω・)/   ズコー
      \(.\ ノ
    、ハ,,、 
Eraru Control (Hyperion) 2012年07月23日 22:10

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>エラルちゃん、いらっしゃい♪
ズコーは少し、いかがなものかw
格闘の師匠は、黒衣森でズコーってなってる・・たぶんw
しぶといから出番がまたあるかもだけどw
さておき。まだ、あのお方が出てないから登場予定。
ちなみに、口調とかこういう感じでよかったかな?
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月23日 23:04

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あのお方って、
ツインテの寝落ち浪費家ですか?

口調は当人に確認してくださいw
Eraru Control (Hyperion) 2012年07月24日 01:03

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>エラルちゃん、そうなんじゃよー。
っと、最近ララフェル率が上がる中!あのお方。
金髪率もさらに上げるべく、ツインのヤツがw
あ。それと口調と一人称、それと髪型かな。で人物の区別してるからー。カブったら、もう、誰がだれだかw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月24日 05:09

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