203書き物。とあるエレゼンの日常。

カナーリエンフォーゲルの朝は早い。

まず朝食の準備。これは母と一緒にする。神勇隊に勤めている父はこの時間はまだ寝ているが、もうすぐ起きてくるだろう。
卵をボウルに割りいれ、パンを焼く。その間に母がサラダとソーセージの準備をしている。
オムレツが出来上がった頃には父も食卓についている。

「いただきまーす。」
いつもの朝食。この後、カフェでの仕事があるが、余裕があれば水浴びなんかもする。
そして、今日は余裕がありそうだ。

「カナーリ、今朝は大丈夫?遅れない?」と母。
「うん、大丈夫。お母さん。あ、洗濯物干しておくね。」
「あ、ありがとね。」
「そのかわり、わたしが出た後リーベの餌やりよろしく!」
ペットのカナリアの世話を任せ、少女は洗濯されたシャツやシーツを干しに行く。
「まあ、いつものことだけど。」と、自身の名前と同じペットに挨拶。

長い名前だが、自身嫌いではない。むしろ好きなほうだ。
ただ友達や、仕事先で「カナル」と呼ばれる方が少し抵抗がある。
「男の子じゃあるまいし・・。」

今日は昼前までオーアが詰めているから、少しゆっくりかな・・。

洗濯物を干し終えて、水浴びをして。それから髪を乾かすと、今日の髪型はどうしようかといつも思案する。
いつもはピンで前髪を留めているのだけど、編みこみにも挑戦してみたい。
先日、カフェに友人が来たときに見て、これは可愛いと思ってしまった。
淡い金髪の自身の髪を鏡で見ながら、結局は無難にピンで留める。
「編みこみ、時間かかるっていってたしなあ・・。」しかも編みこみの仕方がわからない。

「今日は天気もいいし、コレにしようかな。」とチュニックを選ぶと、後は仕事場に行くだけだ。
「いってきまーす!」「はあい。気をつけてね。」


ステンドグラスからの明りがとても気に入っている職場、カーラインカフェ。
昼前だからか、人は少なめだ。
「おはようございます!」「ああ、カナーリ。おはよう。」とミューヌ。
「おっそーい!」とミコッテの少女、オーア。
「ちゃんと来てるってば。」「朝スゴかったんだからね。」「そんなの知らない。」
「しかも夕方もスゴかったんだから。」「さらに知らない。」
「イーリスは遅刻するし、しかも先に帰っちゃうし。」「まあ、あの子らしいわねー。」「あ!」「ん?」
「じつはね、スゴイのを見ちゃったかも。」「へ?」
「あの3人いるでしょ?」最近で3人と言えば、あの3人だ。
「バトルがあったんだよ!」「ちょ、声大きすぎ。」「君らねえ・・・。」
ミューヌが一声かけるが・・・。

ランチタイムが終わるとミコッテの少女は帰っていった。
「ミューヌさんはどう思います?」と女主人に振ってみる。
「さあ?僕はできるだけ関わりたくない、かな。」
「でもお知り合いなんでしょ?」「まあ、そうだけど。だから余計に。戦争になる前にカタが着けばいいと思ってる。」
「大げさすぎません?」「カナーリは知らないからだよ。」「そういうもんですか。」


夕暮れ時も過ぎ(イーリスはまたも遅刻してきた。)、そろそろ、か。
厨房にお願いして、夕飯を作ってもらい、カウンターで頂く。
母にはパールで食事は要らないと言っておいたから、帰れば何をしようかな?
とりあえず、リーベ(カナリア)とおしゃべりかな?
最近流行の恋愛小説も残りのページが少ないし、取っておきたい。

「じゃ、お先にあがりまーす。」「お疲れ。」「おっつー。」

月光に照らされた少女は家路につく。

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