136書き物。ウルダハにて。の6

コイツ、本気。
二人の女性は本来の目的を忘れて、対戦に・・・。

ウルダハ。栄光と挫折。勝利と敗北。その二面性はこの街の特徴でもあり、冒険者を惹きつけてやまない。

大金を手に入れるか、どん底に堕ちるか。

全ては己の腕次第である。

まさに冒険者の街。

だが。

ここ一角だけは、ちょっとばっかし違っていたようで。
中央の噴水公園。普段はカップルや、ちょっとした催しものなどで、使われるスペース。
大きい塔のような建物の中は、吹き抜けになっており、花火すら打ち上げることが出来る。
さらに上のフロアには、飛空挺の発着場まであり、昇降機も用意されている。

そして、その上部には、吹き抜けの公園を見渡せるベランダ状の通路があり、この国を取り仕切る議会場まであったりするのだが・・。


パンッ!という音と共に、目の前の空気が爆ぜる。
慌てて、というよりも反射的に目を瞑る。
続いて、来るであろう衝撃に耐える。
槍を持つ手をそのまま見えないまま振るう。当たらなくても距離を取るにはこれしかない。


風の魔法を発動させながら、続いて魔法を唱える。
その前に羽根のように受け流す歩術の準備もする。あまり派手な魔法は今はできない。
拳を主力とするスタイルだと、どうしても高度な魔法は使えない。が、このくらいはできる。
石の壁。自身が受けるであろうダメージを土の精霊に肩代わりしてもらうのだ。

槍は振り回され、それを避けると魔法が発動する。



「「あれ???」」二人の主婦は、目標であるところの子供達を見失っていた。









「あー・・・あぶなーーーー・・。あんなのに巻き込まれたらレイズがいくつあっても足らないわ・・・。」
ウルダハのエーテライトの近くでため息交じりでへたり込む少女。
バトル開始後、スグに逃げる算段を立てて、同じく災厄に巻き込まれた知人にアドバイスをした後、
スグにデジョンの術式を発動させたのである。(殴るのは次回にしよう。)
この時間(夜更け)にキャンプなんて、まっぴらゴメンだ。なんのために街に来たのだか。というわけで、テレポはなし・・・。


「マユ。」

ぽん。

肩を叩かれた。



「え?」



振り返ると、母がいた。



「だめじゃなーい。ちゃんとお話聞かせてくれなきゃ。」
(スウェシーナさん・・・。もっと耐えて・・・。)
切実な願いは儚く・・・。
「ね?」と、迫力のある笑みで抱え込まれ・・・クイックサンドに・・・。今日は寝れないのかなあ・・・。






「ネールケー!もういいから出ておいで!」と吹き抜けのある公園で声を飛ばす。
大きな声ではないが、張りのある声は女性らしさが溢れるものだ。

一人で逃走を図ったものの、不案内な青年は結局この大きな公園の中に潜んでいたのだが。
先ほどのバトルが、思ったより早く終わり、魔女が消えたこともあって危機感は減っていた。
(まあ、母からあの子との事を聞かれそうだが・・。もともとなにもないのだし・・。)


「ああ、わかったよ。逃げてゴメン。」と手を挙げて下のフロアから上を見る。

「せっかくの旅が台無しねぇ。」とすぐ横から出てくる、母。
「いつのまに?」との答えに、
「そのくらいは、アレの相手をしてたら身につくわ。弟子入りさせたいくらいだけど。あの娘が居なければ。」と本音。

「ああ、その、逃げるときに、その酒場で、こう、目の前にね。その。四つんばいだったし。その。」

「見惚れたんかっ!」とゲンコツを振るう。
ネルケ轟沈。





「あー、けっこう話題になってるわよー・・。鬼ごっこー。」
とは、目の前の親子達に。

酒場のカウンターでは当事者相手にニヤニヤと・・・。


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ネルケは尻派とメモメモφ(@@)
Bob Dalus (Hyperion) 2012年01月25日 15:17

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>ぼびー、やっほー。
尻派の意味があんまりわかんないw胸派と尻派?
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年01月26日 08:25

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