「レティ!」
物語はいきなり始まるものだ。
たとえば、「あるところに。」とか。
が。
「なーにー?」と応える妙齢の女性。相手は人ではなく。リンクパールと呼ばれる通話用の魔法具だ。この時点で物語にはふさわしくない。
ここは、何かしら事件があってしかるべきで、その返事としてはいささか、いただけない。
「ちょっと、どういうこと!?」とは、小ぶりな真珠みたいなパールからの声。
「スゥ?」と、さらにやる気がない。
「ああ、そうですよ、スウェシーナです!!!」と激昂した声。
「うっざ。」
「・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!!!」
遅めの昼食を終えて(旦那の料理は冷めても美味しい!)、洗濯も終え、
まさに昼寝の段取りをしていたレティシアは、突然光りだしたパールに気だるい返事しかしない。
「この!・・・・・・・・!!!!!」
パールの向うでは、幼馴染が顔を真っ赤にしてること間違いないだろう。
はて?何かやっちゃたかしら?と首をかしげる。
うん、してないよね?と自問自答。そして完結。
「なにもしてないのに。そんなに怒ったら老けるわよ?」
「この、魔女め!!!!」続けて怒声。
「わたしの子をたぶらかしたでしょ!!」
「はぁ?あたしが?旦那意外にオトコなんて居ないし。」
「ちがーう!マユちゃんの方!差し金したんじゃないの?」
「ああ、男は選べ、とは言ってあるから。」
「ぐ!」とつまる。
「「見に行く?」」と同時に。
「「行こう!」」
「こんな面白いネタ、なんで言わないのっ!」
「あほかー!こっちが聞きたいんだからっ!」
「そっち行くから、場所の特定しといてねー。」と。
「うう、無関係でも主導権は持っていくのね。。。」とさめざめしたスウェシーナ。
そのころ。
「ちょっと、アンタ!そんなの連れてこないでよ!」
「大丈夫、このくらいなら。」 「うわ!」
「あほかー!」