114書き物。グリダニアでの。。。。9。

グリダニアでの朝は遅い。木々生い茂る街ゆえ、朝日そのものが顔を出さない。
季節にもよるが、ティノルカ(黒衣森)地方は、多かれ少なかれ、朝が遅い。
そして、黒衣にまとわれる夜に早い。

キャンプ・エメラルドモス。
名前だけはとても素敵だけど。と。

ブルーグレイの髪を肩までに切りそろえた少女は、紙に包んでもらったパイを焚き火で温めながら思う。
すぐ横には、毛布を両手で広げて焚き火で乾かす青年が。

今は、おそらく陽がのぼり始めたくらい、だとおもう。靄や木の陰で薄暗いが、上のほうが白く見える。
靄が見える、というこの時点で、陽が昇っているのは間違いない。

「ね。それ乾く前にさ。パイ食べよう。」
「え、もうちょっと。」
「そんなの、宿じゃないんだから。それともご飯はいらないの?」
「あ、いや、そういう意味じゃなくって!」
「要るの?要らないの?」
「いただきます。」
「よろしい。」


先の洞窟だと、天然みたいだったのだけど・・・。なんか倉庫みたいな名前ね。
ムントゥイ醸造庫。。。ワインのアレか。でも?んー。

考え事をしながらの食事は、いただけない。
まず。
「マユちゃん、こぼしてる。」脚にこぼれ落ちた中身を拭こうと手を出す無頼漢に、さらに手を出そうとしてまた中身が落ちたり。
パイ生地はあるけど、中身がかなり欠落していたり。
脚におもいもよらぬヤケドで、赤くなっていたり。(サブリガなんて。)

とりあえず、ラビットパイを食べ終えて件の場所に。


薄暗い石造りの床と壁。じっとりとした、苔とカビの香り。
「ねえ。ここって本当にワインの醸造するとこだったの?」
「ああ、こういうところはグリダニアにはけっこうあるんだ。この湿気と気温がいいらしい。」
「ほんとに?今さっきなんて野良犬とかいたんだけど。」
「僕も詳しくは知らないんだけど、仕込む時以外は放置してるみたいだ。それと。ここで仕込むわけでもない。」
「と、いうと?」
「仕込んだものを、ここで寝かせておく。みたいだね。」
「ふううん。」




「間に合ったかしら?」ローブ姿から着替えた魔女がムントゥイの入り口に。
「モスのキャンプがどうだったかわからなかったのが、痛いところね。」と相棒。
「あれは、ウルスリのハプニングだし・・。」「そうねえ。まあ、仕方ない・・。」

主に、二人の責任だというコトは、暗黙の了解でもある。

「まあ、出るまで見とこう。大したのいないでしょ?」
「ワイトが出てるって報告あったけど。」(人骨が悪霊にとり付かれた生ける屍)
「ワイトかー。まあ、大丈夫じゃない?」
「たぶん・・・。」
「悲鳴が聞こえたら、助けにいこうっか。」
「ちょっ!それって遅くない?」
「だからうちの娘に勝てないのよ。」
「・・・・・・・。・・ぐ・・。が・・・。」

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