42とある一日。後編までの。

ニヤリ。笑みがこぼれる。(釣れた!)だがしかし、その感情は表には出ない。

目の前には、なじみの肩までの短髪の女の子。

用意したエサに、もう興味津々といったところか。

「最新の「コーティー」っていう上着なんだー。これは赤色に染めてあるけど。きっと似合うとおもうわよー」

そして、対になるスカートとダメ押しになるように、ヒザというか、太ももまである白いソックスを見せてみる。このくらいの若い子には、このくらいのサイズの脚装備が大人気なのは、リサーチ済みである。ケケケ。

「え?」

なんだかフクザツな表情だが(確実に釣れた!)と確信。
手に持った服をこれ見よがしにヒラヒラさせてみる。

「かわいいですねw」
もう、隠していた不安?みたいなものはなく、オシャレな服が着れる好奇心と、着た後の自分の想像でもしてるのだろうか?
ニッコリしても、気がつかない。(勝った!)
モモディはさらに追い討ちをかけるべく。

「でも、いいんですか?結構な値段なんだとおもうんだけど・・・?」
ちょっと不安感、金銭ね。それは仕方がないでしょうけど。と。

「もちろん!」
こんな面白い遊びに、多少の出費はそれこそ仕方がない。

そして、少女を連れて空いてる宿の部屋へ歩いて行く。

新しい服にもう気が気ではない少女は後ろでのやり取りが全く気にならないみたいだ。

「(テージ、ドタンバタンって音がしたら、廊下に来て。タイミング見て出すから!)」
「女将さん・・・、もうちょっと、仕事に精だしてくださいってば。」
「(ばか!、声がおおきいって!その精を出すために、ささやかな楽しみを見出してるのー!!)」
「女将さんもけっこう声が筒抜けじゃないんですか?」
「!・・・(大丈夫、うつつ抜かしてるから、聞こえてなさそう。)」
「はぁ。。」
「(あ、カンテラ用意してある?)」
「ええ、一応は。手前から二つ目の部屋ですから。」
「(りょうかい!)」
邪悪な笑みの女将が階段を上がっていく。気の毒な少女はまったく気がついた風でもなく、トコトコと「そっちの部屋だしー」という声に誘導されていく。

「あの子もいい加減、遊ばれてるの分かってるとおもうんだけどなあ・・」年頃の娘、てのはああいいうのに弱いのねえ。(まあ、私だと・・。)少し照れた感じをだしつつ・・ちょっと欲しいかも?とか思ってみたりする。
自身の服装も、大きく胸元の開いたガウンだがコレは着慣れてしまったせいか、それほど違和感がないのであった。


窓からの夕日と、カンテラ(携帯のオイルランプ)で薄ぼんやりとしたオレンジの明かりのもと。

「えーと。このドレス?どうやって着るんですか?」
着てみる、とはいうものの、若干の不安もありそうな問いに。
「えーと、肌着はナシみたいね、上着は。」
少女の顔が凍りつく。
「げっ!マジですか?はずかしー!」
一転、羞恥に表情が変わる。
(おもしろーーーーー!)
「大丈夫、ジャケットの中に下着も縫いこんであるそうだから。」
(おし、これで逃げる確率は大分落としたはず!くくく!)

邪悪な笑みには気がつかない少女。

なんか小声で抗議の悲鳴をあげたようだったが、・・
バスケットを取り出し、脱いだものを入れるように指示をする。
まだなにやら言っているが、そんなものは楽しみに変換されていく。


意を決したように、少女が「ま、まずはソックスから。・・・」
ブーツを脱いで、袋からソックスとかを取り出す。
「何ぢゃこりゃあああっ!・・・・・・・・」

絶叫が聞こえてくる。もう、内容なんて聞かなくてもわかる。アレを目にしたんだろう。
作戦、第4段階にシフト。
もう、笑みを隠すのがムリになりつつ、この押さえ切れない衝動と戦いながら
「まあまあ、とりあえずスカートはいてからどうするか決めたら?」
と、泥沼に引きずり落とす「キーワード」を。

着替えを済ます少女を見ながら。(もうコレで最後の一押しねー)
オドオドと自身を見下ろす少女にトドメの一言を。

「パンツが見えてルー。はきかえたラー?」
つい、声が裏返ってしまった。もう耐えれそうにない。


なにやら叫びつつ、下着を履き替え始める。見せないようにしてるようだが、視点が低いこっちからは丸見えだ。かわいいなあw

さて。
上着ということで、やっと今回の仕込みが実を結ぶ。クライマックスまでもう少し。

着替えた服も順調にバスケットに貯まっていく。

「アッチ向いててください。」いきなりの声に「えー。」と返してしまう。少し上手く行き過ぎて、気が向いてなかった。

「はやくっ!」の声と同時にヘンな音が聞こえた。ごきゅっ!



・・・・・・・自分の首の音だと気がついたのは、直角にヨコ向いた感じで真上が見えたときだった。足元は動いたようではない。意識が。。だんだん。。と・・





意識がもどってきたのは、どれくらいか?なんか揺さぶられてる。くちから何かが漏れてるかもしれない。なにかが垂れている。

「どヴぉぢだどー?」(どうしたのー?)と言いたかったんだけど発音はイマイチ。

「こ、これ。そのサイズがちょっと!」

意識が覚醒する!!
(キターーーーーーーーーーーッッッ!!!!!)
視界を戻すように、首をモトの位置に戻すようにして。
「あら?採寸間違えちゃったかしら?おっかしーなー?」
予定どうりの台詞をはく。

目の前の少女の顔はそのままに、なにやら不穏な空気が漂うのがわかる。
「あ、マユ。なんか眼がコワイことになってるわよー?」

感情が見えないすわった目つきのまま、両手が首に。必死になって助けを請う。
「・・・・ぶっ!」もう何言ったかわからないくらいの猛攻に。

「じゃーん!」と、ポケットから起死回生のグッズを取り出す。
合わない下着にあわせるように作られる、これまた最新式の装備。
「さっさとよこせっ!」と掴みかかりながら叫ぶ少女に、
「いっこ5万でいかがかしら?」の最後まで言う前に。
「いっこ5万でいかぐばらちゅあっ!」
たしか、今幻術で修行してたよね?マユ。意識が薄れる。


薄れいく意識の片隅で、必死にバスケットを探す少女。
(勝った!)

「ふはははー!汚れてたから洗濯にだしちゃったわよー!!!!」
勝ち誇ってみた。

凍りついた顔の少女の口から、なにやらブツブツと聞こえてくる。
呪文!?

いきなり周りの空気が石のように硬くなり、呼吸ができなくなってくる。
げふっ!「マユ!マユ!ちょっとちょっと、街の中では攻撃魔法はダ・・・・」

自分でも自分の声が通っているのかわからない。くた、と倒れてしまう。。このくらいでは死なないとは思うけど・・しんどい・・・・

遠くに「まてー」とか聞こえてくるが、おそらくムダだろう。手はずどうりなら階下には。
「新作ドレスのお披露目しますので、是非お集まりください!」の張り紙がしてある。
ケケケ。

朦朧とする意識の中、階段まで来てみると。大・成・功!!

「・・・!」「・・・!」「・・・!」・・・・・・!!!!!

うろたえまくる少女。振り向いて階段を上がるのに抵抗を覚えたのか、途中で前に向きなおし、後ろ足でおそるおそる階段を上がろうとしてる。

「いったらんかーい!」とタックルを決めて、階下に突き落とす。

なにやらつぶやいてたようだけど、無視して、いえーい!と手を振り上げた。

この後、数日クチを聞いてくれない少女にテージが「今日は何になさいます?」と優しい口調。そして、和やかな空気。

ジロリと睨みつけてくる視線を気にしないように・・・「仕事ってたのしいよねー?テージ?」
「・・・そうですね。お客様から安心を感じていただけるのは、なによりです。」

「・・・・。」


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首思ったより酷いことになってますね。
ところでララ視点が羨ましい限りです。
Bob Dalus (Hyperion) 2011年10月24日 00:59

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>ぼびー、いっらさいw
いや、180度じゃないだけマシかも。立体的にちょっと難しい感じだけど・・
階段で後ろから見られたら、誰でもアウトなスカートじゃないかなあ?
Mayuri Rossana (Hyperion) 2011年10月24日 04:09

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昨日は落ち着いて読める状態じゃなかったので
今日ゆっくり読ませてもらったー!おもしろかったよ~!

モモディさん、いたずらっ娘(娘?)だねーw
身を挺してまでいたずらするとは…(; ・`д・´)南無
Rifeal Ford (Hyperion) 2011年10月25日 11:20

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>りふたん、いらっしゃい♪
ありがとーw
モモディさんは、最近の目下の楽しみがマユいじりw
反撃されても、成長したなーという二つ目の楽しみもあるし、反応がウブすぎてどんどんエスカレートしていってる気がw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2011年10月25日 13:40

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