653外伝。コロセウム 決勝2

「そろそろショウタイムだな。」
漆黒の革鎧。漆黒の髪。漆黒の肌。金色の瞳。
ミコッテの男性。
リロードを済ませ、鉄の塊をレザージャケットの懐に。
「次の悪夢の生贄は誰かな?」
急ぐでもなく。
ガンスリンガーは戦場を適当に歩く。
そう、相手なぞ誰でもいいように。




「おい!フネラーレ!」
合流する前。軽く打ち合わせ。
「あたしが牽制する。その隙を使え。それまではヘッドショットだけだ。合流後は手足や体を狙え。」
「指図すンなよ。」
「お前、落としたいんだろ?」
「!」
「始末はハートショットだ。これで落ちる。」
「アア?」
「できないなら、あたしが落とす。」
「僕の獲物ダっ!」
「なら仕事しろ。」
「何様だヨ、お前!」
「魔女様、いや。人災かな?」
「お前だケは、本当に始末しナいとヤバいな・・・・・。」
グレイの髪の魔女と、葬儀屋のかわす会話。
駆け足で「社長」の元に。




「あ・・・。あ?」
エリスは状況の把握に少し。


さっき。
イヤな予感がして。
とりあえず、憑いてきた亡霊を突き飛ばし。
それは、本当に亡霊氏がイヤとかではなく。
純粋にイヤな予感。
そして。
その予感は的中した。
いきなり、わき腹に鈍痛、というか、衝撃。
「ぐ、はっ!」空気が肺から漏れ出す。
意識が曇る。
だめ、このくらい・・・。
なんとか意識を保ち。
いきなり上から亡霊がかぶさってくる。
(な、なにを・・!?)

ズバン!

聞いた事の無い破裂音と共に、亡霊氏がうめく。
「あっ!」
脛に激痛が。
だが、亡霊はさらに衝撃を受けたようだ。

そして、冷徹な声が。
給仕姿のエレゼンの女性。
「いかがでしょうか?」

なんだ?これ?
銃声は一発だ。
が、自分と亡霊が被弾して・・・・・
「ソコをどいて、ミコッテの始末をさせてください。ご主人様に不快な思いをさせている連中から先に始末したいのです。」冷徹な声が届く。

ひっ!
いくら防御結界術式とはいえ、痛いものは痛い。
先の銃弾ですら、涙が出るくらいには痛い。
こんなものをマトモに食らうなんて・・・・
考えただけで尻尾の毛が逆立つ。

「いやだね。俺はこの娘を守る。」と、さらに抱きしめられ、
頭に突きつけられた銃口に。
亡霊は。
振り向き、引き金を。

ズバン!
ドン。


一瞬意識が落ちるが。まだ戦場に居る。
エリスは、二人が居なくなっている事に数秒の意識を使う。
「あ・・・。あ?」
なんだか。
頭を振る。
ほんの数秒ほどか。
その間に亡霊と悪運は相打ちになったようだ。
「え~っと・・・。」
エリスはまだ少し目眩のする頭を抱えながら。
「そうだ、社長!」
二人が居なくなった今、フリーの自分が遊んでいるわけにも。
「今行きます!」駆け出すが。




「ぐ、正直な話しだ。迷惑来訪者。」
ミコッテの女社長は珍しく弱音を。
「どうかした?」
拳にはめ込んだ長い爪を振るいながら。
「お前の相手だけはしたくなかった。」
「あら、嬉しい。お褒めの言葉ね。」
グレイの髪をまとめ、振り。
煉獄の刃を退け続ける。
だが、逆に言えば防御一辺倒。
その代わり。
一振りの後に、必ず矢が中る。
だが、矢にかまっていれば、全力の魔女が襲いかかってくる。
その威力は観覧席で観ていたので、到底片手間では捌ききれない。
(エリス!なんとかならんのか!)
そこに。
「エリス、参上!」グレーの髪のミコッテが走り寄って来る。
「よし!」社長の声に安堵が。
「今だ、フネラーレ!」魔女の指示。
矢の雨が降りだす。
「な!」「にゃあ!!!」
走り寄って来たミコッテに矢の雨が。
「な、なんだとお!」
おもわずそっちを見てしまった。
そして。
次の瞬間、それが失策だったと気がつく。
「あ。」
目の前に魔女が。
一瞬の隙に間合いを詰めて。
十数撃にも及ぶ連続攻撃。そして心臓の位置に一本の矢。
「ぐあ・・・。」吹き飛ばされ、気を失っていく。
(これ・・・が・・・魔女・・・たる・・・・)
青い光に消えていく。


(ま、想定内、ってところか。)
ウィッチケイオスは、左腕の始末に・・・いや、ダメだ。
警戒を続ける。
「しゃちょーの仇ー!!!」ミコッテの女性が殴りかかってくるが、さらりとかわし。
「風よ。」
右手には杖。
突風が彼女の足を留める。
次いで。矢が降り注ぐ。
「にゃあ!!!」
慌てて距離を離すが。
「暴風よ。」高位の風の術式が彼女を襲い、その後に矢が頭に。
かろうじて矢はかわせたものの・・・・

目の前には長爪をつけた魔女が。
「え?にゃんでー!?」
「戦場で余所見している方が悪い。社長もそうだったな。」
防御もままならないまま、叩き伏せられて、青い光に消えていく。


「フネラーレ!あとはあの黒猫だけだ。また挟撃だ。」
「いちいち指図してンじゃねえヨ。」
「でも勝ってるだろ?」
「っせェな。ああ、あンたの戦術はたいしタもンだよ。」
「それが判ったんなら、次回からあたしにケンカ売るときはちゃんと考えてから売って来な。」
「けっ。」
黒髪を揺らし、黒いチュニックの美女は姿を現わすと、外見とは似つかわしくない台詞と共に走り出す。
彼女の「呪眼」にターゲットされた相手は、彼女からは逃げれない。
もちろん、黒猫もターゲットされている。
魔女もついて走る。
彼女の能力はこういう時には絶大な効果になる。
「見つけタ!」


----------コメント----------

あれこれと言いながらもキッチリ仕事をするあたりは
流石ですね、フネラーレ。

さて、いよいよコロセウム編も大詰めですね。
完結>その後>新生に向けて でいい感じになるかな?
Akatuki Reo (Durandal) 2013年08月01日 12:20

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控え室にて
「うぅ~、いてて・・・。はぁ、負けたか~。魔女とはもう戦いたくないな・・・。」
そこにエリスも転送され。
「エリスも速攻落とされたか・・・。残るは黒猫、あいつなんか応援したくないが、
あいつに頑張ってもらはないと優勝が・・・。」


多分こんな感じw
てか、我が社の上級役員。皆、魔女と葬儀屋のコンビにやられてるなw
社長とか想定内とか言われちゃったしw
Marth Lowell (Durandal) 2013年08月01日 13:19

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>「いやだね。俺はこの娘を守る。」と、さらに抱きしめられ
恐ろしく恥ずかしいなw 誰!誰なの?!

コロセウム編もクライマックスって感じですな
β4もついにPvP実装ですし超楽しみだ。
Fizz Delight (Hyperion) 2013年08月01日 15:18

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優勝すると何があるんですか? と素朴な疑問。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年08月01日 20:03

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>エフィ
もちろん賞金が出ます^^
Marth Lowell (Durandal) 2013年08月01日 20:05

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出資してる方なんですよね? 社長さんって。
もしかして、勝って出費の回収を狙ってらしたんですか?
キャラはジト目。読者はニヤリw
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年08月01日 20:14

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>エフィ
建設の協力はしたけどスポンサーの設定は無かった気がするw
エフィがセリフ風に言ってるからマユリさんにつなげてもらおうw
自分だと設定が分からないからw
Marth Lowell (Durandal) 2013年08月01日 20:33

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> マルスさん
設定の件はうん、マユリさんの回答になるだろうと思っていました。
それでも、それ以外のところで回答をくれるマルスさんに感謝w
読み込んでないとスポンサー設定に回答なんてできません。さすがです!

> 作者さま
雰囲気出す為に先の様な書き方しましたけど、シーンの繋がり的に無理して拾わなくて良いですからね~。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年08月01日 21:05

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実は裏でReoが優勝景品を用意してたり…いや、さらに
ややこしくなりそうだからやめましょうww

優勝者ってボードに名前が掘られたり、初代優勝者とか重要な
人物だと銅像とか出来たりすることもあるのかな(?)

まぁ、マユリさんの設定を楽しみにしておきましょう。
名誉だけっていうのでも変じゃないですし。
Akatuki Reo (Durandal) 2013年08月02日 01:41

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>レオさん、そですねw
なんだかんだ言いながらするあたりはプロですねw
コロセウム編、もう少しだけ続きますが終わりが見えてきましたね。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月02日 05:57

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>マルスCEO、ネタ投下感謝w

社長落としのついでに左腕も落とせたので、かなりの上出来だと。
もともと社長を落とすためにうごいてたので想定内、ですねw
彼女の「相手を自分の舞台に引きずり落とす」戦術に見事乗っちゃたわけですw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月02日 06:01

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>フィズさん、カッコイイでしょ?w

PvP実装なのかー、楽しみだけどw
あたしのキャラ、アカ2なんだけど大丈夫かしら?
ついでにβとか、ほとんどやってないから、コマンドわからんw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月02日 06:03

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>えふぃたん、賞金がありますw

ユーニ、ユーリ姉妹に、ヴォルフが言ったように「金儲け」なわけですね。
出資者はナルディク&ヴィメリー社。
それにプレート(金属製なのはさすがw)がいただけますw
スポンサーとしてはマルス社長は関与していません。
夜会での一言もあるように。
今回は経営側が丸出しの先行投資ですね。
実際の経営が始まれば、掛け金や、入場料で元本回収という事になります。
そして、大手経営者がこの事業のスポンサーとなるためにも、黒猫が動いています。そのための「銃」のお披露目でもあります。
招待された一般客はほとんどが大手の企業ですし。
もちろん、本音はそこで得た資金でマージンの回収ですけどねw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月02日 06:12

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>レオさん、さすがにw

銅像、というかネームプレートを本人に、とは考えていました。
理由は、「公にはできない人材が多すぎる」です。
フネラーレなんかは筆頭ですねw
ここに招待された人達は、それなりに裏にも顔の利く人達で、一般、というわけじゃないのです。開始時に一応それっぽい導入はしていますがw
亡霊氏や、フネラーレなんて、顔や名前を売る、というだけでも参加意義があるくらいには。
まあ、一番顔を売りたかったのは、クォ様ですけどんw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月02日 06:18

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マユリさんの元ページ