薄紫の霧。いや、靄。
何であれ、生物にとっていいとは呼べない。
この地方、モードゥナ。
決戦の地として連合軍と帝国が戦っている。
「いててて・・・・。」
一人の青年がその戦場で起き上がり。
周りの惨状を見て「なんだこれは・・・。」と。
近くの地面には両手をひろげた数人分くらいの直径の大穴が作られ、
その爆発に巻き込まれただろう兵士の体の一部が散らばっている。
よく見れば自分も右手に火傷があり、鈍痛がする。
ずきん・・・・
「う・・。」
頭に手をやると、血が。
「どうなってる・・・?」
まず、こんな場所に自分は何故いるのか?
「戦場?」
よく自分の体を見れば、鎖鎧に身を包み、背中には盾。腰には剣がある。
冗談ではない。
まずは逃げなければ。
「なんだってんだ・・・。」
どうしてこんな場所でケガまでしながら居るのかが思い出せない。
待てよ。
おれ、どうしたんだっけ?
思い出そうとするが、それができない。
たしか・・。
そう、何か大事なものを運んでいる最中だった、と思う。
その最中に倒れてしまった、そんな感じだ。
でもそれが思い出せない。
いや、そもそも・・。
「あれ?おれ・・・名前・・・・なんだっけ・・・。」
クラクラする頭を叱りつけ、この戦場から抜け出そうと。
とりあえず、歩き出す。
そして、先の惨状を生み出したであろう、上空に居る龍を見て、歩くだけじゃ間に合わない、と判断し、走り出し。
その背後で爆音が。
「あっぶねー・・・。」
あのまま寝ていたら恐らく直撃とはいわずとも、とんでもないことになっていたかもしれない。
手足の一本は吹き飛ぶくらいには十分な火力だ。
とりあえずは此処を出なければ。
しばらく走ると、目の前に敵?が。
その兵士もさすがに先の火球を見て驚いていたのだろうか?
だが、自分の姿を見て抜刀する。
「おい!アンタも逃げろよ!」
だが。
兵士は無言で斬りかかってきた。
「ちょ!」
左手が勝手に盾を背中から出す。
「おい!」
剣を受けつつ、もう一度。
「こんな場所に居たら、いくつ命があってもたらねえぞ!?」
無言で剣。
「このくそったれがっ!」
盾で相手の顔を殴り飛ばす。
体重と動きの乗った盾の一撃は、兵士をふっとばし。
「なんだってんだ・・・。」
まず・・・。なんで自分がこんな場所にいるのか?
装備からすれば当然かもしれないが・・・。
そもそも・・・・。
「おれ、名前なんだっけ?」
不安に煽られる。
「でもまあ、生き延びないと・・・」安全そうな場所が何処かはわからないが、とりあえず走る。
ズキン。
頭が割れるように痛い。
その都度、なんだか女性の顔が・・・いや、正確にはそのシルエット。
細かいところが出てこない。
髪の色が・・・・グレイ?いや、少し青みがかった・・・。
誰だ?
思い出そうとするが、頭痛が激しい。やはり頭部になんらかの打撃を受けたのは間違いなさそうだ。
しばらく走ると、草原が見えてきた。
「あっちか・・。」
重い鎧は脱ぎ捨てたかったが、これが無いと先のように襲われたら危険だ。
そのくらいはわかる。
しばらくは大丈夫だろうが・・・。
戦場から抜け出し、もう一度自分を省みる。
「おれは・・・だれだ?」
そしてあの女性。
もう一度ゆっくり。
自分の姿を見る。
鎖鎧。盾。剣。
ということは、やはり自分はあの戦場で兵士として参加していたのだろう。
自身の名前が思い出せないが、その他にも思い出せないものがいろいろ。
まず自分はなぜ?そして何処から来た?帰る場所がわからなければ、戦場から出ても仕方が無い。
持っているものといえば・・・。
真珠?なんだこれは。
だが数個ある・・・。なにがなんだかわからないが、ポーチにしまっておく。
アクセサリみたいだから、もしかの時に売ればいいかもしれない。
路銀も多少はある。
そして。まずは腹が減った。戦闘に支障が出ないような小振りの背嚢を背負っていることに気がつき、まずは中を。
固めに焼いたパンと、干し肉があった。
「水がほしいな・・。」
周りを見渡すと、牧歌的な感じの草原だ。
そして、池があった。
「まずはあれだな・・。」
だが。
「おいおい。ったく・・。」
水辺の周辺は魔物でいっぱいだった。
「たまんねえな・・・。ほんと・・。」
「おい。にいちゃん。」と声がかかり。
剣を鞘ばしらせる。
体が勝手に動いた。
「おい!ちょっとまってくれ!俺はこの近くで農場をやってるものだ。その物騒なものを下げてくれ!」
黒ヒゲの男。歳はそれなり?か。
「あ・・。すまない。つい。」
「にいちゃん、見たところ先日からの戦乱にいたんだな?よかったら、うちに来ないか?」
「は?」
「腹が減ってないか?あんな池に行こうとしてたんだ。あそこはこの辺じゃ魔物の水場として有名だ。」
「そうか・・・。で?」
「いや、うちでも今が刈り入れ時なんだが、人手が足らない。
メシと寝場所を提供するかわりに、働かないか?戦場で兵士をしてたんだろう?それなら体力はあるだろう?」
実際のところ、倒れて寝てしまいたい。怪我もある。腹も減った。
「ああ。いいよ。だが、金目のものなんか持ってないぜ。剣も鎧もズタボロだ。売り物にすらならないな。」
「言っただろう?人手が欲しい。だが・・。まずは傷を手当しないとな。その、頭から血がたれているぞ。」
ああ・・。
「わかった。じゃあ、手あてと寝床。そして飯。これと引き換えに仕事をさせてもらおう。いいかな?」
「いいぜ。俺はアルデナードで一番を名乗る気でいるマンサナってもんだ。よろしく。」屈託の無い黒ヒゲの男はそう自己紹介して。
あ・・。おれは・・・。名前が・・・岩を見て・・・とっさに。
「ルーペス(岩)だ。そう呼んでくれ。」
「わかった。ルーペス。まずは怪我の治療をしよう。イシュガルドの医者は世界イチってのを教えてやるよ。」
「ああ、助かる。」
ふと、あの女性のシルエットが・・・・。
「帰らないとな・・。」
「ん?何か言ったか?」
「いや、なんでもない。」
----------コメント----------
業務連絡
マユリさんの作品毎にホームページのリンクを貼っていただけると、
読者の方が過去作品を読みやすいと思うのですが、お願いできないでしょうか?
以下テンプレート
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この小説のまとめサイトはこちら↓
http://aritiaindustrial.sakura.ne.jp/
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一例としてこのようなものを記載していただけないでしょうか?
(誘導文?はマユリさんが考えてもらって大丈夫です)
ご検討のほどよろしくお願いいたします。
Marth Lowell (Durandal) 2013年04月27日 07:44
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>マルスCEO、はい~・・・
てか、この貼り付けかたがイマイチわからない~
どうやるの?(´・ω・`)
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年04月27日 07:47
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>マユリさん
日記の下部にコピペで貼れませんかね?
リンク切れちゃうかな?
Marth Lowell (Durandal) 2013年04月27日 07:49
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追記
レスに元気がない・・・。
無理に貼らなくても良いんですよw
マユリさんが作者様で自分は趣味でまとめてるだけですからw
Marth Lowell (Durandal) 2013年04月27日 07:58
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>マルスCEO、この手の作業はニガテなのれす・・・。
PCオンチゆえ・・・。
あと、様付けされるとこそばゆいのでw>作者様
趣味で好き勝手に描いてるだけですしーw
ただその、その、趣味にお付き合いいただいて、それどころか広げていただいて、大変な感謝と、それに報いる手段が無さ過ぎるのに悶々としています~。
いろいろ描かないとねwそれが報いる唯一の手段!(`・ω・´)キリッ!
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年04月27日 08:26
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>マユリさん
過去作品にまでリンクを貼る必要は無いですよ、大変ですしねw
う~む、コメントにリンクだけ書くのもなんか申し訳ないですね・・・。
それでもよければコメントにリンクを貼っていきますがどうでしょうか?
Marth Lowell (Durandal) 2013年04月27日 08:32
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>マルスCEO、余裕でOKです!
むしろお願いします!
わー・・・なんかスピンオフも描いてもらって、こんなにしてもらえるなんて・・。あたし幸せ者だー!!w
ありがとうございます!
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年04月27日 08:45