946セブンス。プランニング。その2

荒涼というべき荒地だが、魔導兵器を改修して作った作業用機械のおかげで地ならしや、下地のための杭打ちは順調といえる。
「うん、帝国製が元とはいえ、使えるモンだな。」
銀髪のヒゲをしごきながら、偉丈夫は腕を構えながら作業を見ている。
「親方~、こっちおわったッス!」
ゴーグルをつけたララフェルの青年。
彼は、この魔導機の操縦には慣れていて、おそらくは一番の使い手だろう。
「おい!ウェッジ!コッチわすれてねえか!」
ルガディンの青年。彼はこのララフェルと相棒といってもいい。
「あ。ビッグス!ごめんッス。すぐいくッス!」
ツルハシ片手のルガディンの青年は、やれやれ、とばかりに。

「まーったく。あの子達は変わらないわねえ。」紫に髪を染めたミコッテの女性。
大小のカナヅチで、表面の凹凸を平面に均していく。

「おい、カレン?」ヒゲの機工士。
「はあい?」小首をかしげる妙齢の女性。
「このゴンドラ、いつくらいに仕上がりそうだ?」
「そうねえ・・大まかな製造は終わってるけど・・・社長サンの指示でね。細かいところと、強度の確認、あとは塗装、ってところか。4,5日あれば仕上げてみせるわ。」
「わかった。さすがだな。」
「当然よ。あの凸凹コンビより仕事はするわよ。」
「まあ、できれば・・・その後のメリーゴーラウンドにもかかって欲しいんだが・・」
「げ?休みナシ?」
「ああ・・・サプライズで考えていたんだ・・もちろん、ペイは弾む。基本はもう取り掛かっているからな。仕上げだけちょっと見て欲しい、というところか。」
「親方・・・」げんなりとした顔でカレンはシドを見る。
そこで。
「まあ、カレン。そんな顔するな。実は・・臨時雇いでな。連れてきたヤツがいて、な。」
「は?このガーロンドアイアンワークスで使い物になるんです?」
もちろん、一般の鉱夫なども雇ってはいるが、ワークス達程ではない。言ってみれば人手だ。
「まあ、そう言うな。技術は折り紙つきだ。こっち来い。」と手招きを。
「へー。」
ミコッテの女性がおずおずと・・・「シックスです。もう一度よろしくお願いします。」
頭を下げるミコッテに、カレンが抱きつく。
「シックス!もう!今まで・・・もう心配させて!貴女が居れば、仕事がはかどるってのっ!」
「姐さん・・・。」涙がこらえきれず、溢れ出す。
「じゃ、そっちの現場は任せたぜ。カレン、シックス。」シドは二人の邂逅に水を差さないように小声で去っていく。



「あの。」
グリダニアの「家」にて。
「あン?」
ミコッテの女性に、黒髪の女性が応える。
「いや、ホラ?家賃がどうこうとか言ってたじゃない?」ミコッテの女性。名をシックスという。由来は聞いていない。
そんな野暮はしないのが常識となっている世界の住人達だ。
黒髪の美女、フネラーレは薄手の部屋着のまま、リビングの椅子に。
「ンで?」にべもない。
「はぁ。貴女相手に丁寧に言っても仕方がないのはもう理解してたけどさ。とりあえず、働き口を見つけたって事。家賃?くらいはちゃんと払えるくらいにはね。」

そこにノック。
「どうゾ」どうせベッキィだろう。この「家」の監視役にも近い。ただし、クォの、だが。
「少し気になるお話がドア越しから聞こえたのですが?」
「嘘つケ。聞き耳だロ。」
「シックス、どちらに赴かれるのでしょう?」
(無視しやがったナ。てことは、やっぱり盗み聞きしてやがったナ。)
「あー、元の職場だよ。シドの旦那とまた仕事ができるってのは、やっぱ、うれしいからな。」
損得なしの表情を見れば、そこに嘘は見られない。
長年、裏稼業をしているフネラーレからすれば、それはとても良い事だと思える。
「ベッキィ、いいンじゃねぇ?」
「フネラーレ。この「家」としては、外部に知られては色々と問題が・・」
「じゃあ、お前出て行けヨ。諜報してンダろ。」
「・・・・これは、言い訳のしようもありませんね。その通りですから。」
「ま、知ってるとは思ウけど。僕も二重スパイだからナ。仲良くやって行こうじゃないカ?」
「そうですね。しかし、貴女がそんな提案をするとは思っても見ませんでした。」
「だよなあ・・」
「そッカ?」

ノックも無しにリビングのドアが、バンッ!と開けられ、茶色いミコッテが。

「新作スイーツはっけーん!!!!」
飛び込んでくる。

いつもの光景に、ま、いっか。な二人と、「お嬢様!ありがとうございます!」な給仕。

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