941セブンス。少女たちの日常的な・・・。(少し過去、 追憶 10

気だるい午後。
ここ、ウルダハは、季節という点に置いて、正直乏しい。
夏は暑く、ウザったい。冬も暑く、湿っぽい。
少女は少しのグループで買い食いをしようと街中に。
「サララ、こっちのが美味しそうだよ?」「ウララ、それこの前たべたー。」
「もう!美味しそうなお店見つけたって言ってるでしょっ!」
赤毛のヒューランの少女がミコッテの双子を叱りつけている。なんというか、もういつものことだ。

学院の休日。
12神の暦のうち、ナル・ザル神にあたる日が休日として。

「まーったく。あなた達。明日は試験なのよ?ヴィオに勝てる?」
「えー?」?」
「ちょ!ミオ。ここでそれ言うか。」

前回の実技試験のあと、わたしは順位で言えば5位にランキングされたらしい。
ただ、おおっぴらには、そのランク付けは出ない。
が、次回の対戦相手で、大まかにそのランクが分かる。

次回は、ラプター。そして、サララだ。
ちなみに前回の主席争奪戦は、双子の「入れ替わり」作戦でなんとかしようとしたらしいが、ホクロの位置が違う、と審判の教師が指摘、発覚し、あえ無く不戦敗となった。

そして。まずは。
ラプターから戦う事になるだろう。順位で言えば当然だ。
が。
彼は「第4位」にこだわっている。なので、できれば先に次席とやり合いたい。
そうすれば、彼はやすやすと敗退するだろう。
でも。
まだ幼い、世間は厳しい、お前ごときが。
そんな記憶が迫り来る。
確かに幼いだろう。世間は厳しいだろう。わたしごときが。

だから。

まず、あの「第4位」を砕いてみせる。
それが、わたしの覚悟。

「ミオー。」。」
双子の声。
「なによ?」赤毛の少女は不思議そうに。
「ヴィオちゃん、ブツブツ独り言ー。」ー。」
「あー。たまにはね。思うところがあるんじゃない?」にっこり。
思うところなど、遥か彼方にあるであろう姉妹には理解できなかったかもしれない。
(次回の試験か。残すところあと3日。彼女にとっては最も大事な一件なのだろう。翻ってじぶんは?といえば、実力を示す大一番ながら、もはや慣れてしまった。
主席なんて座についてしまっては、そうそう相手が出てこない。むしろ、双子とじゃれあってる感じ。もし、ヴィオが対戦相手なら、全ての技量を出せるのに。)
「え?あ?わたし、ヘンな事言ってた?」とエレゼンの少女が。
「大丈夫。そろそろ屋台通りよ。あ。いい忘れたけど、ヘンな男が絡んできたら、ぶっぱなしていいからね!」
物騒この上ない台詞に、双子はウンウンと頷き。ああ、ま、いいか。なんて。

屋台の美味しい料理に舌鼓を打ち、帰りがけに案の定、男達が。
「送っていってやるよ。」などと。
その瞬間に、主席ミオが術式を展開、発動させる。「燃えろ。」
一言でいくつもの火種を着火し、数人の男達を火ダルマ寸前にまでする。

(さすがにやりすぎだよねー・・)なんて思ってたら。
「ボワっといこうにゃー!」広範囲火炎術式。
「クールダウンにゃ!」広範囲氷結術式。

双子に遠慮という文字はないのかもしれない。

(ラプターの後にこいつら、か。たまらないわね・・)

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