932セブンス。少女たちの日常的な・・・。(少し過去、 追憶

「ねー、ウィス?」
「なによ?」
アルダネスの「学院」の卒業生、破格の「天才」と「秀才」
アナスタシアとウィステリアは、家の帰り道に屋台でオヤツを仕入れ、歩きながら。
「ねえ、あのヴィオ先生の昔話って、興味ない?」
「あー・・なんていうか、お固いってイメージばっかだったもんね。ちょっと興味あるかもね。」
「ンでね。この後パーティ組むじゃない?」
「うん。」
もう少し後に冒険というか、クエストの依頼でパーティの約束を元教師のエレゼンの女性としているのだ。
「その時にさ、ちょっとヴィオ先生の過去話で盛り上がってみない?」ニヤついてる。
あからさまに、からかうのが楽しくってしょうがない、といった笑みに。
「ターシャ・・・」少し溜息。「あなたって、本当に意地が悪いわね・・」
呆れ返った表情のウィステリア。
「まあまあ、聞きなって。コレはけっこうレアな情報?」
「どうやって仕入れたの?そんな話。」
「本人から直接。」
「それこそどうやって?」
「パパとママが居ない間に、家に連れ込んで、お酒飲ませて聞き出した。」
「貴女の家には絶対行かない。」
年頃の少女二人は、そろそろ昼下がりになろうかという砂ホコリの舞う路地から酒場に・・・・
(別に、家じゃなくっても、酒場で酔わせれば一緒なのにね~)クスクスと笑う「ウィッチ・ブラッド(魔女の血統)」
「なによ、その笑み。コワいなあ。」と言いつつ、後ろから声をかけてきたヤンチャな青年を裏拳一発で黙らせて。

この時点ですでに「魔女」の術中だ・・・・
もはや、この話題に関心しきりだし、クエストの祝勝会で酔わされて、洗いざらい吐かされるのが決定になった・・・

もちろん、ウィスには彼女の笑みの真意を知ることはできなかった。

「でね・・」買い食いの甘いパンを口にしながら・・ターシャは・・・




「ここが貴女の部屋です。」
どちらかといえば、冷たい印象の女性、教師ではなく、この「寮」の主らしい。
エレゼンの少女は、少し冷たい感じのする廊下の突き当たりにある扉を指さされ、簡単にまとめた「家財道具」・・・有り体に、
衣類のみをカバンに詰め込んだバッグをとりあえず肩から下ろして。
「その・・?」少し疑問を。
「この寮は女子寮です。男子の侵入、及び連れ込みは固く禁じられています。
もし、禁を犯す不遜な輩がいれば、遠慮なしに排除されますのでそのつもりで安心して過ごしてください。」
(それって、もしも連れ込んだら二人の丸焼きができるのね・・)
「あの・・その?」
「なんでしょう?」
「この部屋には、わたし一人なんですか?」
「いえ。貴女の教室での主席、それと次席・・姉妹同列なのですが、3人います。今、空いている一人分に貴女が入居するわけです。」
「それって、ミオと、ミコッテ姉妹?」
「あら?主席が誰か知っていたの?」
「いえ・・なんとなく。」自分の自己紹介の時の対応を見れば、おそらくそうだろうと。
「そう。貴女の「自己紹介」は教師達の間でも話題になっています。間違っても問題を起こさない用に。くれぐれも。では、改めての紹介もなんですので、私はこれで。」

こんこん。

ドアをノックする。
「どうぞ。」つい先程聞いた声がした。
ドアを開け、礼をする。「お邪魔します。今日からこのお部屋でお世話になる」
「ヴァイオレット、よね?」機先を取られる。
少しも動じず「はい。よろしくお願いします。」しおらしくするが、やはりこの少女は油断ならない。
「改めまして。ミオよ。」赤毛の少女はそれこそ、憎たらしいほどに恭しく腰を折る。
そこに。
「「あ、委員長~、もうちょっと和やかにしようよ~」」姉妹が声をハモらせながら。
「貴女たちも挨拶なさい。サラ、ウラ!」
寝台で寝ながらくつろいでいた彼女達も、やれやれ、といった感じで挨拶する。
「ボクがサララ・サークル。で、こっちが」「ウララ・ドット、だよ。」
この二人が次席、か。まずは彼女達をなんとかしなければ「上」には上がれない。
「よろしく。」
髪の色が二人共薄い茶色、同じ髪型、しかも双子なのか、年違いの姉妹なのか、声色もそっくりなので判別ができないが、ホクロの位置が少し違う。
姉の方は右目の下、妹の方は左唇の下に。

とりあえず、自分にあてがわれた寝台とデスク。
荷物のバッグを下ろして、腰も下ろす。一息。
先ほどの少々やりすぎた自己紹介の件もあって、少し疲れた・・・・
瞼が閉じていく・・・・・・・・

ん?
なんだか声が・・・?

「ねこのパンツ、可愛いよね!」ね!」
「ちょっと、あんた達!」

「へ?」
目の前の光景に少し現実感が持てない。

は?
バッグの中から、自分の下着が取り出されて、ミコッテ姉妹がそれを検証し、感想を述べつつ、委員長の少女が「やめなさい!」を連呼している。

なんとなく、その。
怒る気も無くして、なぜ自分がこの部屋に回された理由がわかった気がした。

「問題児」を隔離するための部屋なのだ。
主席、次席に身を置く彼女達が好き勝手にやりだしたら、もう止めることは難しい。単純にチカラだけで封じ込める事も可能だろう。
が、即戦力になりうる人材をアッサリ摘み取ってしまうのは惜しい。なので、問題児と、その監視役を相部屋にしていたのだ。
そして、その「問題児」に自分が認定されたのだと、わかった。

(10年と少し、か。なかなかに自分の境遇がわかって来たつもりだったが、やはり世間はキビシイ。この環境にも慣れなければ。)
「あー、その。パンツ引っ張るのだけはヤメて。その、伸びるから。」
「あ、ゴメーン!これって、尻尾用の穴ないから、どうなってるんだろーって!」って」
「当たり前でしょ!」委員長が叫ぶ。

とりあえずは、次の休みあたりにでも下着を新調するしかない・・・・・
カバンの中身を諦めて、もう一度眠気に誘われる。3人の喧騒を聞きながら・・・・

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