919セブンス。5つめ?とある新社長の・・

ザナラーンでの会合のあと。

「んー、レイってば、わたしの事どう評価してるのかしら?」
ミコッテの女社長、エリス・ローウェルは数枚の送られてきた書類に目を通しながら。
実を言えば、ほとんどどうでもいい、と言えばどうでもいい。
彼女は、少し「天然」と言われるくらいには、オトボケキャラとして、姉や社長から認識されている。
しかしながら、実務に於いてはそれこそ姉ですら恐れ入る程の書類整理、経理能力が高い。

そんな彼女に、秘書を付けていたのだが、その彼女(主にツッコミ)も新規事業の社長として引っこ抜かれたワケで・・・その後任を、
後輩で最年少社長のレイが見繕った、と。
彼女もミコッテ女社長だらけ(のと言ってもCEOとエリスだけだが)トップが女性ばかり、しかも、秘書とは名ばかりの姉、セネリオがほぼ仕切っている・・・
そして、秘書を引っこ抜かれた自分には・・・お見合いもかくや?とばかりに、男性のプロフィールが数枚も。
「むしろ、そっちにやれよ・・・。」と、双子の姉の顔を思い浮かべる。
が。
鏡を見てる気分になって、さらに凹む。
なんせ、その一枚には、社長の実弟である青年も含まれていたからだが。
少し前に本人とは面識を。
そして、散々な目に遭った記憶が蘇る。
もちろんの事ながら、CEOには、姉という立派すぎる秘書がいて、当然の事だが、秘書に秘書はいらない。
「筆頭」を掲げる姉だから、当然とは言わないが助手くらいいても不思議ではない。ハズだ。が・・・・
余りにも完璧すぎて、「自分はいらないんだ・・」と、胃を痛める者が後を絶たず、二の座を継げるものがいなくなった、とはすでに伝説でもある。

だが、問題はそこではない。
引き抜かれたイドゥンは言葉遣いに多少の毒はあったが、気が効き、よく動いてくれた。まあ、だからこその新事業の主に抜擢されたのだろうが。
「ふぁーぁ。誰にしようかな~・・・エレン君だけはイドゥンに押し付けよう。」
あくびを噛み殺しながら、溜まりに溜まった書類に目を向ける。
「イドゥンくらいに使える秘書ねぇ・・」羽ペンをインク壺に差し入れ、まずは一枚目。
人事書類には見向きもせずに、可、不可、のサインをしていく。同時に会計の帳尻が合っているかも目を通し、スタンプも押していく。
傍から見れば、かなり人知を超えた処理能力と言えるが・・・「物足りないなあ・・」などと。
空恐ろしい一言と共に、昼食前にひと仕事を終え、香茶を部下に持ってこさせ、昼食にはサンドウィッチを注文する。
「秘書、か。」
(この「秘」ってなんなの。まるで秘密書類みたいじゃないの。しかも、男ばっか。別に、同性趣味ってわけじゃあないけどさ。
あからさまに男クサイのばっかじゃん。どうせ男ばっかなら、イケメンよこせよレイ。)そこでふと。
「もしかして、レイ・・・独占してる?」邪な考えを巡らしながら。・・・・


「エリス先輩、気に入った方いるかなあ・・・」
レイ・ローウェルは「秘書」とは少し違った観点も含めての人事の選出もしていて。
「はあ。私にはいい殿方がこないかしら・・」なんて。

この先には大仕事も。
それから思えば、現状はかなり安泰だ。
「こうちょうせんせー!」
学舎からの子供が呼んでいる。
にっこり笑って、応じる。「はいはーい!すぐにいくわよー!」
(私にはたくさんの子供がいるからね。まだしばらくは旦那はイラナイ、か)くすり、と笑う。

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