917セブンス。三歩目の・・

「わらわからも、お願い申し上げる。お待ちいただこうかの。」
薄桃色の髪を黄金のティアラで飾ったララフェルの少女。
「陛下!」
褐色の肌のハイランダーの偉丈夫が声を。
「ナナモ女王陛下!」
さすがにここまでは予測できなかったのか、グレイの髪の少女然とした魔女は言葉に詰まる。
振り返り、臣下の礼を。
とはいえ。
彼女はどこにも所属しているワケでもないので・・・あえて言えば、グリダニアか。

「お話を伺っていただけるのですか?」魔女の声は、心なしか楽しそうだ。
「わらわを楽しませる、か?できるのであれば、それは願ってもない話なのじゃがな?」
「陛下・・」局長が困った顔で・・・(またしても悪いクセが・・)パパシャン老にはまた苦労をかけそうだ・・・
碧眼をキラキラさせて、魔女の「次のセリフ」を心待ちにしている女王陛下を前に。二の句が出てこようも無いラウバーンは、とりあえずレティシアの言葉を待つ。
「実は・・・・」
イタズラ心たっぷりの笑顔と共に提出されたプランに二人は唖然としながら。

「あい、わかった。それはあれじゃの?砂蠍衆の牽制をしろ、といいうことじゃな?」
「そういう事になりますね。ああ、敬語を使うのは苦手なので、陛下にはご無礼を。」
「気にするでない。わらわも、たまに市井に出ては庶民と会話を楽しんでおるゆえな。」
「陛下・・」困り顔の局長
「それなら、話は早いですね。」魔女がニッコリと。
「よい。しかも、支援まで要求してくるとはな。それについての、わらわに対する見返りはなんじゃ?」
明らかに・・・
「もちろん。パークができた暁には「永久フリーパス」の発行をアリティアに請求しますよ。リリラちゃん。」待ってましたと、笑顔。
場の3人が笑い転げる。そして、奥に居た老ララフェルが「やれやれ・・」と諦めた溜息を。

「よい。砂蠍衆についての牽制は受け持とう。じゃが、わらわの力が及ぶのは数名。現状では、私腹を肥やすのに腐心する者か、権益をのみ求める者が大半。
中でも、テレジ・アデレジなどは、タカ派でな。今は「フロンティア計画」なるものを準備しておるそうだ。
それにかこつけて、国家予算のいくらかを懐に入れる算段もしておるやもしれぬ。それに・・ロロリトも、何を考えておるやら・・。
かように、この国は火種を多く抱えておる。多少なりとも、力になれるよう、努力はしよう。それでよいかな?天魔の魔女。」
「もったいないお言葉。陛下。あたしも、できる限りの事はしますので、お声をお掛け下さい。」
「魔女殿、貴女の支援は心強い事、この上ない。かの大戦での貴女の采配は目を見張るものが。」
局長は目を閉じ、5年前の災厄の引き金となった大戦での魔女の活躍を思い出す・・・
「あ。ラウバーン局長。あたしさ・・実は、その時の記憶、曖昧なんだよねえ。」微笑。
「(確かに・・そのようには聞いていたが・・)いや、確かに貴女の活躍は間違いなくあった。
記憶にキズができるほどの重傷を負われ、それでも果敢に戦場を駆けた勇姿は間違いなくあったのだ。」
「照れるじゃない。それには素直に賞賛に対してのお礼を、ね。」頭を下げる。
「いや、こちらこそだ。貴女の作戦あっての圧倒的差を埋める事ができたのだ。ただ、メテオ計劃なるもので、戦自体が破綻してしまったからな。
もはやどうにもなる話でもない。」
「よいか?」ララフェルの女王が「わらわは、その戦には参戦しておらぬ。二人で楽しく話されては、楽しくないぞ?」
「申し訳ございません!陛下。しかしながら、陛下をあの場にお連れせずに済んだ事は僥倖にございました。かの惨状、到底、お見せする事は出来ませんでした。」
膝をつき、ハイランダーの偉丈夫が頭を垂れる。
「そうか、其方が言うなら、そうであったのだろう。言いすぎた。許せ。」
「とんでもございません!」さらに頭を垂れる。
「まあまあ。そんなことよりさ。」軽く。「この娯楽施設の名前、考えよーぜ?リリラちゃん?」
「わたしの事をそんな風に呼んでくれる者は少ないんだ!うん!なにかいいのを考えよう!って、アリティアの面々には、お話通さなくっていいのかな?」
年相応の言葉に・・・
「なんとかなんじゃね?異界?っていうの?なんだかそういうのがあるって実証された話もあって、そこには娯楽施設もあったらしいけど。」
「それは、興味深いな。魔女殿。」
「確かに、おもしろいね。なんて名前だったのかしら?」
「わら・・わたしも気になる!調べておいて!おねがい!」
「りょーかーい。こういうのは得意なもんでね。」
「すまん。俺はどうしても街からは離れることが難しいのでな。公式行事でもないと。」
「はいはい、局長はしっかり「陛下」のサポートをよろしく!こっちは・・・裏で話を聞いてる「爺や」を連れて行くわ。」

「げっ!」バレていたのかと、観念して、老ララフェルが出てくる。
「そんなことだろうと・・」「盗み聞きはよろしくありませんな?パパシャン元近衛騎士殿。」
「まあ、いいじゃん。説明する手間省けたし。」
くだけたセリフに皆が笑う。

「じゃ、ひと仕事してくるわ。」魔女は老騎士と一緒に。
「よろしくお願いいたします。」ラウバーン局長。
「いいお話、きかせてねー!」一介の少女に戻ったかのような、女王ナナモ。いや、リリラか。

「どっから攻めるかな?」「わしは、ナナモ様の元に・・・」「だーかーらー、その陛下からのお達しでしょ?」「ううむ・・」

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