908セブンス。いざ!リゾートに!行ってきた!!

避暑地、なんていいながら。
日差しはそれなりだし、でも。
言うほど暑い、というよりも、涼しい。
それは、海際だからだろうか。
リムサ・ロミンサ自体、海際の街なので潮風は充分に優しく、暑さを感じさせない。
ただ・・
「色々と物騒」な街なので、別の避暑地を求める上流階級はいるのだろう。
そのビーチのある「ミスト・ヴィレッジ」という避暑地。が。
開放的なビーチに、白亜の住宅街。「靄の村」とは、粋なネーミングだ。

その一角は(今は。たぶん)貸切で。

「私はお手伝いに行ってきます。」
ララフェルの女性ジェメメ。新進気鋭の・・とある団体に所属し、上級職にある彼女は少し気分がいいのか、鼻歌も・・
「はい。」厳ついルガディンの男が敬礼を。

少女と少年の姉弟の水着の着替えも手伝った「おまけ」に自身も水着に着替え、主人の恋人と4人で浜辺で水遊びに。

「あらまあ。フネラーレさんって意外と子供好きなのね。」ブルーグレイの髪を肩あたりで切りそろえた女性。
「まあ・・彼女が子宝に恵まれないから、かな?」夫の声。
(やはり、異なる種族だと子宝には恵まれないらしい。希にできたりするらしいが・・・他には、秘薬を使う、という手段。か。親友のミコッテはそれで。
そういう意味では、二人の子に恵まれた自分は幸福なのだろう。
ただ、戦闘という前線には夫と共にかなり遠ざかってしまったが。)
こればかりは仕方ないかな、なんて思いながらも(母さん、あたしが産まれた後も好き放題やってるけどね・・)
「ここだけの話、そういう秘薬はあるんだけどねえ・・・」
「それが彼女にとっての幸福なのかは・・俺達にはわからない。相談を受けた時にでも話せばいいんじゃないか?」夫は優しく語りながら、子供達と戯れる女性を見る。
「そうね・・」少し寂しくも、羨ましくもある視線を彼女に向けるマユ。
「よしっ!あたしも参加してくるっ!」ララフェルの給仕長に声をかけ。

「どうよ!」セパレートの水着。クァールをイメージした柄に、パレオというミニスカートっぽい腰巻き。
「健康的」を絵に描いたようなブルグーグレイの髪の妻。
「良く似合ってるよ。」「ほんと!」「もちろん。」「ん。」

子供達に混じりに行く妻を見送り・・

「こういう休暇もいいかな。」パラソルの下、寝そべりながら。
ウルラはトロピカルドリンク、と呼ばれるものに少しアルコールを足してもらって。
楽しげに浜辺で遊ぶ5人を見ながらウトウトとしていた所に不意打ち。
「勝負すルのに、一人足らなイんダ。」
黒髪の美女。
そして、「ボム」の形をしたバルーン?
これで顔面を強打されたのは間違いない。妻が後方で抗議しているようだが、彼女は気にしていないらしい。
確かに彼女達の専用リゾートを借りたのだから、文句の出処もない。
「ああ。どんなルールかな?」立ち上がり、気づく。「その前に水着に着替えさせてくれ。」

「・・・サドン・デス?(生き残り)って。らしいルールだけど、子供に教えていいのかなあ・・」
「中らなけれバいいヨ?」
にこやかな・・葬儀屋。
(当てはまりすぎて、超コワい・・・・)ウルラは・・
「えー。だと。チーム分けは?」
「夫妻と、お子様どッチかだネ。僕はジェメメと組むからネ。」
(ウルラ・・あの呪眼、こんな玩具のボールでも必殺の投球しそうだよ?)(だろうな・・)
(まあ、命に関わらないとは思うけど・・ボールだけに。ここは、ターシャをこっちに・・)(だね。)
「じゃあ、ターシャをこちら側に。いいかな?」ウルラの宣言に。
「いい判断ダ。」にっこり。

ビーチにて、熱闘が繰り広げられる。


後日譚として。
「なんで、あんな玩具のボールの中て合いで、あんな真剣に・・・しかも・・」
「どうしたの?」
「回復術式どころか、蘇生術式まで・・・」
「あはは!そのくらいやってもいいじゃない。子供達には狙ってきてなかったんだし。」
「確かに・・軽く投げる程度、と言ってもいいのかなあ・・俺の弟子でも避けれるかどうか?レベルだぞ?俺達には本気で投げてたからな。」
「あれくらいで本気、てのは彼女じゃない、よねえ。カルヴァランさんと本気でやり合ってるトコは見てみたい!」
「恋人同士の遊びじゃないぞ、それ・・」

この後、ビーチで海鮮料理の炭火焼を全員で堪能して、

二日ほどの滞在の後。

「それでは、お世話になりました。これにて失礼します。」ウルラが頭を下げ。
「ごちそうさまでした!」「でした!」「たぁ。」
「まタ来るトいいヨ。次回はカルヴァランも入れてやろウ。」黒髪の美女が。
「勝てる気がしないわ。」
「よく言ウ。」微笑む。

実は一番の得点者が娘のアナスタシアだったりする・・・弟のアクィラを徹底的に・・・
さらに、それで油断していた「葬儀屋」を3度、沈めている・・・

トータル、一点差でマユ達の勝ち、だった・・のだが。(ゲストに遠慮もあったのだろう)

「楽しかったわね!」「よかったよ。」「ママ、勝負弱い。」「楽しければいいの。ターシャはもうちょっと遠慮しなさい。」
「うん・・・おねえちゃん、ぼくばっかり・・・」「あのお姉さんもしっかり落としておいたから、文句言わないの!」

(我が娘ながら、末恐ろしいな・・)とは、夫婦揃っての・・・

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