899セブンス。戦の始まり・・・潜入4

カボチャ頭、下着一枚のララフェルが剣を片手に飛び降りてくる。
「ワシも行くんじゃよ~」

マップで確認したのは、大きな飛空挺でも着陸できて、かつその近くの施設。それもそれなりの広さ。理由はいくつかあるが、恐らく其処こそが目的地と思われる。
「天魔の魔女」こと、レティシアはそこに狙いをつけ、走り出して。
一応の「目的」としての負傷兵の看護なんてのは二の次で、先ほど医務室に置いてきた。
本命はこちらである。なので、ダミーとしての「毛布で作った負傷兵」を残る二人で担がせて。
「こちらに高度な医務室があると聞きました!是非、通過許可を!私は第二分隊、リカ上等兵であります!」
「なんだと?貴官の所属を確認する。少し待て。」いかつい兵士が待ての合図を。
「そんな!彼が!彼が死んでしまいます!!」グレイの髪の少女が涙ながらに訴える。
「いきなり襲撃にあったんです!お願いします!先の医務室はすでに寝台も一杯で!もう、出血が・・・お願いです!」必死の懇願。
「む・・では・・キーは知っているか?上等兵なら知っているだろう?」
「はい!エンヴィー、です!」
「・・・いいだろう。通過を許可する。門を開けろ。」「は!曹長!」
そこに「剣王」が降り落ちてくる。
「な!」曹長が驚愕する中、3人(とそれっぽい人形)が門をくぐる。「あいつめ!止めを差してくれる!」グレイの髪の少女が追いかけていく。
「なんだったんだ?今のは・・・」呆然とする門番の曹長。

「準備はともかく、上手くいったわね。後はあの女の救助、か。」魔女の言葉に。
「合言葉だか、キーワードだか、確かラース、って言わなかったか?」発火者の非難。
「それがミスワード。言ったら終わり。って事。暗号の基本よね。」どこ吹く風。
「その・・魔女様?意味が・・」ミコッテの術士。諜報員としても活動していた彼女だが・・
「これは七の大罪。エオルゼアと違う宗教概念の罪、ね。まあトリックとしては簡単。教えた「罪」以外を言えば、なんでもいい。かな。
「ラース(怒り)」って言われたから「エンヴィー(嫉妬)」って答えた。このルールを知らなければ、ラースって言って捕まってたわね。」
「ワシ、それ知らなかったんじゃよ~?」
「王様、基本的に不審者なんだし、とりあえず行きたい場所に先行してくんない?あんまりこのまま、何もなし、だと怪しまれるんだけど。」
「あ~行き着いた先が「たまたま、捕まってる人がいる」状況じゃな~?」
「わかってるなら、さっさと行けっ!」蹴る。
「もっとじゃよ~!」「知るかっ!」
時に四足で駆け抜けていく「剣王」を追いかけ(途中で毛布人形は破棄して)
「不審者が侵入した!警備担当は周辺を警戒を厳重にしろ!」
魔女が大声で。
「わたしはレプス少尉だ!現場の指揮はわたしが引き受けた!諸君は不審者を直ちに引きずりだせ!
不審者の容姿はエレゼンの女性らしい!小柄だが、金髪が目立つとの事だ!急げ!」
「はっ!少尉殿!」慌ただしくなる現場。
(よくいうわね・・)ミコッテの諜報員(レティの職業が何か知りたくなくなったよ・・)エレゼンの術士、ついでにカボチャ頭も抱き抱えて走っている。

あれか。
広場の先に建物が。
「開門願おう。わたしはレプス少尉だ。ガイウス14師団長に面会したく、訪れたのだが。」
「師団長殿は先ほど到着されたばかり。しかも不審者騒ぎの最中だろう?不心得だぞ?少尉。」
「その不審者を捕らえたのだ。」
「な、なんだと!?本当か?」
「このカボチャ頭がその不審者だ。見せてやれ。」
「ワシはの~」
「ああ。確かに不審者だ・・・。分かった。開門。」開錠される。「手柄を取ってしまったな。」「なに、俺も手柄をすぐに取るさ。今すぐに。」
「!?」「レプスなんて士官はおらんよ。デタラメ士官殿。」抜刀。
「ああ、そうかい。今度人物名鑑を買うとしようか。1ギルでね。」拳を振るう。
「刃物相手に拳とはな!」「あら?刃物ってどこからでも斬れるんだ?」剣の横をはたく。さらにその反動を活かして回し蹴り。さらにその反発力を利用しての裏拳。
同時に足を引っ掛けてこかすと脇腹に蹴りを一撃。悶絶する兵士の顔面を蹴り飛ばして黙らせる。
後ろからは「エグい」とか聞こえてきたが・・「さあ、行こうっか。」スタスタと半開きの門をくぐる。

暗がりの広間。壁際にいくつかのランプと、奥には・・・
「ミンフィリア・・」白魔道士のミコッテが走り出す。
壁に鎖で繋がれた金髪の女性。その傍らにはララフェルの男女、そしてエレゼンの導師も。
周りの警戒を続けながら、魔女はゆっくりと歩を進める。その後ろに剣王と発火者が続く。

「トリコロール・・?リトリーなの?」金髪の女性。何度も頬をぶたれたのだろう、顔が少し腫れ、衣服も無残に破かれ胸が露になっている。
「なんてことを・・」自身のローブを脱ぎ、着せてやる。
他の3人も恐らくは殴られたのであろう、顔が腫れている。「みんな・・・」
「命があっただけ・・もうけものよ・・・。」ミンフィリアが健気に応える。「ありがとう。」
「トリコロール・・これはワナだ・・・」エレゼンが言う。
その瞬間、広間に明かりが。
「とんだ獲物がかかったな。」ガシャン。黒い機械兵器が一歩を踏み出す。
その数は1台だが、兵士がバラバラと。
「おい!だれでもいい!この戒めを解いてくれ!」ララフェルの術士が。
「ああ。わたしも頼む。術式さえ組めれば・・」

そこにもう1台の機械兵器。
「2台も・・・」ララフェルの女性タタルがガクリと首を落とす・・「もうダメ・・か・・」

ドカン。
兵器が火を噴く。そして、先行していた兵器を吹き飛ばす!
「な!?」兵士達が色めき立つ。
「ガーロンドワークス、ウェッジの登場ッス!」「俺もいるぜ!」ララフェルとルガディン
「あらま。アンタ達、間に合ったわね。てことは艇は?」魔女が呆れ顔。
「親方なら例の場所で待機中ッス!」「俺達はこんなこともあろうかとコイツをかっぱらって来たんですよ!」「修理に手間取ったッスけど!」
「あの銃、破壊力ありすぎでしてね。」
「って、君達。もしかしてシド工房の?」アルフレートの問いに「ッス!」「はい!」
突然の出来事に兵士達が硬直して、その間にカボチャ頭の剣王が兵士達の武器を解除し回っている
「とりあえず・・」トリコロールが鎖を外して回る。「ありがとう・・」「うん。助かる。」防御術式「助かったですぅ・・」「感謝する。」回復術式。
「さて。こんな無体をやらかした連中にはお仕置きがいるわね。」魔女がにやりと笑う。「だな。」発火者の一言で火種がばら撒かれる。「じゃな~。」

ものの数瞬で完全に破壊された兵器と、床でのたうち回る兵士達。

雪原を走る一行。
「おい!お前達!私の留守の間に好き放題暴れてくれたじゃないの!ガイウス様がこられているというのに」白い女性騎士。
「このまま逃げ切れると思うなよ?その先は崖だからな!」
(おい。3・2・1で崖から落ちろ)(了解ッス!)「魔女様、合図するッス!」「ああ。」
「何をこそこそ・・」両手の銃を構え、トリガーを・・・
「今ッス!」兵器の上からララフェルの女性の手を引っ張って崖から飛び降りる!「ひあぁぁ!」
「あたしらも!」魔女が崖に身を躍らせる!

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