887セブンス。戦の前に・・・各自の覚悟とその・・

「コレは少々、派手な事になりそうね。」
グレイの髪の女性。少女を思わせるような容姿。その束ねた髪。だが、明らかに百戦錬磨の「つわもの」の気配がにじみ出る。

「レティ。見た感じ、まずは様子見からだろう。いきなり4人で突っ込んでどうなるとも思えない。」赤いローブのエレゼンが、たしなめる。

「ワシなら楽勝なのじゃよ~」この吹雪の中、なぜだかパンツ一枚でカボチャの被り物のララフェル。

「わたしもまずは様子見から、ですね。恐らくあの兵士の装備、それになんらかのサインが必要かもしれません。」青いローブの術士。

「そのへんは織り込み済み、よ。問題はどうやってそれを手に入れるか?よね。」魔女が不敵な笑みを。
(少しでも情報があればね・・この寒空の中、そうそう待っているにも限度がある・・)



「あのー。すみませーん。よろしいやろか?」
キャンプからほど近い場所にその教会があった。
墓地にはユリの花を添えて祈りを捧げる参拝者が多くいる中を通り抜け。
4人は礼拝堂の中に。

「これはこれは。本日はどのようなご要件で?」神父が尋ねる。
「いや、ちょっとお尋ねしたいだけやねん。この教会で「ミンフィリア」って名前の女性を知ってる人、おらへんか?」
「!?まさか?」
「ああ、うちらは、砂の家にちょっとした縁故があってなあ。」ブロンドの少女。
「か、彼女になにかあったのですか!?」神父がうろたえる。
「あんたか?知り合いってのは?」少し茶色がかった大柄な少女。
「いや。私ではない。修道士に知己がいると聞いているだけだ。が、彼女の活躍もまた聞いていて、な。」
「あの・・・オレ・・・その・・。」
一人の修道士。
「ああ、マルケズ。君は恐らく彼女を知らないだろう。紹介が遅れた。彼はマルケズ。この名も、此処に来てから名付けたのだ。
6年も前から自身の出身も名前すら忘れてしまったらしい。言葉は通じるのだが、それ以外の記憶がスッポリと抜けてしまってな。
この教会で世話をしている。彼も献身的に働いてくれていて・・時折、ちょっとした、では済まないレベルの機器の修理もやってのけるので、
周りからは大変助かる、と評判なのだが・・」

(怪しいオッサンやな)(やね。)(やなあ)(・・・もしかして・・?)
「そうでしたか。実は・・砂の家が、主人ミンフィリアが帝国に襲撃をうけ、攫われた、と。」
リトリーの言葉に、神父は・・
「な!なんですと!そ、それは・・いかがいたしましょう・・?」
「そことでな。実は砂の家に「この教会」の名前が血文字で書いてあったんや。なんかヒントがあるんちゃうか、と思ってな。この話が初耳なら、ハズレか・・」
ユーニが肩をすくめる。
「でもまあ、なんかあるんとちゃうか?お姉ちゃん。」ユーリも肩をすくめながらも期待をみつけようとしている。
そこで・・「みん・・ふぃり・あ?」男性の声。
「あん?マルケズはんやったっけ?どないしたんや?」エレディタが髭面の男性を見る。
彼は、顔に手を当て、何かを探すように苦悩を浮かべている。
「おお、マルケズ。何か思い出したか?」神父の声に「えん・・た・・いず?」
「おっさん、なんや?何言うとる?」ユーニが詰め寄る。「お姉ちゃん!」
「ダメだ・・思い出せない・・」マルケズは諦めるように首を振り、うなだれる。
「・・・」場に沈黙が訪れ・・・
そこに。
「やあ。こんなところに居たのかい。君たち。エーテルを追ってやっと見つけたよ。」
鈴のなるような声は、しかし少年のものだった。
「ん?」全員の視線が。
目の前にいる少年は、変わった衣装を身につけたエレゼン。銀髪を長く伸ばし、後ろでくくっている。
見た目、少女と見間違うほど華奢な体躯だが、その堂々とした態度、威厳は間違いなく男性であることを思わせる。
「あ。そうだ。初対面の方もいるね。僕はアルフィノ。暁の血盟の同志さ。」一礼
「あ。ああ、うちはエレディタ。・・・ひとつ確認やけど、あんた、ウルダハ行きのキャリッジで乗り合わせたんとちゃうか?」
「ああ、覚えておいでだったか。あの時は挨拶もなしで済まなかった。どうしても、隠密とは言わないがあまり他人と関わっちゃいけない作戦をしてたんだ。
だから世間話や、名乗りを上げれなかったんだ。非礼はこの場で詫びるよ。」
「ほうか。うちらはロアー姉妹。うちがユーニ。」「うちは妹のユーリな。」
「アルフィノ様・・・。」白魔道士が泣きそうな表情で・・・
「リトリー、うん。大体の事情は・・・!?シド!シドじゃないか!」
興奮する少年。
「なあ、リトリー。あんた、この子知っとるんか?」
エレディタの問いに「ええ、暁の血盟の中でもミンフィリアと同列、ないしは上かも。」
「どういうことや?こんな子供が。」
「彼は・・いや、彼らは「暁の血盟」結成前から密に連絡を取り合って、エオルゼアの危機に立ち向かうための「組織」を作ろうとしていました。
シャーレアンから賢人を招き・・彼らは「救世詩盟」と呼ばれるのですが。かの霊災でお互いにダメージを。そして暁の血盟に。」
「まどろっこしいな。」
「はい、それでかの霊災で、詩盟の指導者であったルイゾワ師のお孫なのです。」
「ああ、あの爺さんか。」
「はい、シャーレアンの賢人の中にあっても、その知識と指導力、魔力は追随を許さない、まさに「賢人」でした。が、師は霊災のおり、生死がわからなくなって。
もちろん方々探しました、と聞いています。それが・・・依然・・。そこに彼らが来て、ミンフィリアと一緒に血盟を立ち上げたのです。」
「なるほどなあ。どうりで威厳みたいなのがあるわ。(可愛げはないけどな)」
「どうして彼がここまで・・」白魔道士は首をかしげる。

「シド!僕だ!アルフィノだ!シド?おい!」
「ああ、坊主。なんだかそのおっさん、記憶が無いらしいで?」
ユーニの一言に表情が凍りつく少年。「なんてことだ・・・」
「どないしてん?」ユーリが少年の肩を掴む。
「・・・ああ。言わなければならないことがある。君たちを探していたのもまさにその件なんだ。」
「もったいぶらんと、はよ言えや。」
「そうだな。簡潔に言おう、蛮神ガルーダが顕現しそうなんだ。」
「は?」
「お、おまっ!ついこの前、って昨日、タイタンやっつけたトコやぞ?」
「以前、黒衣森で大樹の切り株に剣を突き刺した事があったよね?」
「ああ、あん時は、そこの黒髪と色ボケ騎士が担当しとったな。」
「どうやら、そのあたりから連中、イクサル達はこの計画を始めていたらしい。おかげでかなりのクリスタルを集めた上での「神降ろし」になったようだ。
蛮神ガルーダは「嵐の神」彼女は他の蛮神よりもはるかに獰猛で危険な存在だ。しかも、困った事に常に嵐の中に居るそうだ。
生半可な移動手段では、そもそも討伐することができない。その嵐に飛空挺が耐え切れず、墜落するそうだ。」
「ほんで?」
「僕と一緒に来て欲しい。君達のチカラが要る。」
「うち、子供は好きやないねんけどなあ。」「そんなに歳はかわらないだろ?」

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