874セブンス。進撃!Turn around and count 2 ten!

翌朝。暖かい、どころか、暑い朝。
「ふにゃあ。」女性用に当てられた二人部屋。そこの寝台からはみ出すどころか、テーブル下あたりまで転げ落ちて目が覚めた「剣聖」
「おはよう、か。あいかわらずやな。」黒髪の相棒はテーブルにお茶を用意しながら足元のエレゼンの相棒を眺める。
「うん。エリ、おはよー。」見上げながら。
「ええから準備せえ。昼前にはオ・ゴモロ山からゼルマ峡谷に行かんと、今日中にエーテライトに行けんで?」
「あ!」
「オッサンから攻略のキモも聞かんとな。昨夜はハデにパーティーやるって話やったから、まあ、しょうがないけどな。」
「うん、今、いつ時?」
「明け方、過ぎたあたりやな。」「頭イタイ・・」「飲みすぎや。」「うう・・」
「予定やと、4刻後(8時間)には突撃や。もう、しっかりせえや。」「うん。」

「よし!みな揃ったな。」
ルガディンの偉丈夫の一声。
「俺は悪いが、いや、俺達、か。戦線にはもう復帰できん。」
「なので、君達にこの戦を任せる。その激戦をくぐった俺達に一つの約束を作った。先の食材集めは、まあそのテストだ。ランドゥネルは「度胸」」「おう!」
赤毛のエレゼンが手を上げる。
「ウ・オド・ヌンは「技」」「ああ。」白髪のミコッテの壮年の男性。
「ブレイフロクスは「機転」」「オレ・・ミタ。」頷くゴブリンの女性。
「シャマニ・ローマニは「心」」「あなた方の心、しっかりと受け取りましたよ!」飛び跳ね喜ぶララフェル。
「そして、俺は「力」だ。君達の力、確かに受け取った。しっかりやってくれ!」

「もちろん!」剣聖。「いまさらやな。」拳聖。「聞くまでも、でしょう?」神気の指輪。「はい!」白衣の使者。「まどろっこしいのはやめてもらいたいな。」暴君。
「はい。邪魔だけはしないでくださいね?」無名の腕。「うちらもちゃんと数にはいってるんやろな?」氷結の娘。「あ、お姉ちゃん!イイトコ持ってった!」鋼鉄の嵐。

「俺達が討伐に行った時よりも力が増しているらしい。どうにもエーテルの流れがおかしいらしい。この情報はついさっきシャーレアンの賢者から届いたのだ。
俺達の時の戦術でうまく行くかわからん。まあ、その戦術は魔女と呼ばれた女性が立案して、」
「あら?呼んだ?」
グレイの髪を後ろに束ねた、少女のような華奢な女性。
「な!?」ヴェイスケートが驚いて振り向く。
「呼んだ、でしょ?」
「あ。ああ・・。」その場の全員が凍りつく。(いつのまに?)
「最後の一本いただいたから、その分のお礼はしないとね。」バッカスの酒のボトルを手に。
「いや・・貴女が来ていただければ・・」ヴェイスケートは・・
「若い世代に任せるのも、年寄りの仕事よ?」少女のような女性。
「そんな・・。」
「じゃあ、アドバイス。あの蛮神はクリスタルで力を増しているわ。アイツの舞台で踊る事になるから、それに振り回されないことね。
その舞台は円形の石柱。土の化身の神格化をされたアイツは、その舞台を好きに使えるハズ。ヤバくなってきたら、舞台から放り出すために何か仕掛けてくる。
だから、端っこに立ってると足場ごと削り落とすかも。そうなったらもう死ぬしかないから、後衛は特に気をつけることね。
後は範囲攻撃さえ気を使っていれば、そうそう危険にはならないと思うの。かわいい剣聖さんと、秘書さんに期待ね。前衛が崩れたら終わるわよ?」
「はい!」「承知です。」
「では!行ってきます!」ミーランの一声に。
声援と、気合の返事。
移動術式で・・・淡い光の中に消えていくメンバー。

「もしかして?」
「お久しぶり。ヴェイスケートさん。」当時のままの少女のような表情で。
「失礼なお話ですが、自分は貴女のお名前すら知っていませんでした。」
「いいわよ、どうせロクでもない二つ名がついてるんだし。」
「いえ。お聞かせください。」頭を垂れる。他のメンバーも。
「レティシア・ノース・ヴィルトカッツェ。天魔の魔女(ウィッチ・ケイオス)の方がわかりやすいかな?」
「ご高名、伺っております。」
「今じゃ迷惑来訪者(ナイトノッカー)だの、人災(ハザード)だの、いわれ放題よ。」あはは、と笑う姿も少女のようだ。
「レティシア殿。宴の用意をさせますゆえ、どうぞ武勇伝をお聞かせ願いたい。」
「ロクなもんじゃないけどね。」

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