855セブンス。とある冒険者の日常・・・・かな

「命統べる者、その・・・ってもうだるいっ!」
白魔道士のミコッテの少女がキレて。
回復術式だけはしっかりと編み上げ、展開してから。

ここは森の中。
「F・A・T・E」と呼ばれる無作為参加作戦。
今回は、たまたまキャンプ・トランキルに訪れて・・・
いきなり参加要請を受けてしまい・・・
リトリー・クィスは、パーティに入る間もなく、戦闘に駆り出されてしまい・・
生理的に許せない、ナマモノ、それも自分の体より大きな、とか、そんなの相手に。
しかも、メンバーもいないから、やっちゃえばこっちにやってくる。誰もかばってはくれない。
自分に回復術式を唱えながら、相手にも攻撃術式を叩き込まないと、蹂躙されてしまう。そんなのはまっぴらゴメン。
「もう!」
「精霊結界」で実力が抑えられる中、実力が出せないのが辛い。
だんだん、尻尾も萎えていくのがわかる。
(今回はムリかも・・・)
その目の前に。
「あら?大丈夫?」
ブルーグレイの髪を短くまとめた少女のような・・
目の前の敵を殴り倒す。
「あの?」
呆然と。ただ見つめるだけ。
「らっくしょおっ!」
クロスカウンターを手に、敵を殴り倒していく。
その合間に「して。」と。一瞬で展開される術式。
あっけにとられて、言葉もない。
とりあえず、回復術式を編むが、到底彼女の速度には追いつかないのが分かってしまい、凹んでしまいそうになるが、そうも言っていられない。
なんだ、あれは?
その疑問符よりも先に術式を編む方に専念する、リトリー。
「回復を!お願い!」
普段と違う呪を繰り出しながら、なんとか急場をしのぐ。
「さんきゅ!」
その女性は走り出して行ってしまった。
「なに?いまの・・・」ぺたん、と座り込んでしまい、さっきまでの自分が「マジックホリック(術式狂)」に陥っていたのに気づく。
リトリーはふらふらと立ち上がり、戦況がもう終わりに近づいていることに気がついて・・・
「誰?いまの・・・」
覚えているのは、ブルーグレイの短い髪。身長は恐らく自分並みの小柄なミッドランダー。
「お礼・・・いわなきゃ・・・」


「お。お一人って珍しいね。」
酒場のマスター。
「そうでもないんだよ。」
白魔道士の少女。

溺れた海豚亭でのやり取り。

少女は何度か来たことはあるが、カウンターというのは初めて、という意味で珍しいかもしれない。
それも一人で。
「で、何か面白い話でも?」とマスターが聞いてくる。
「少女をたぶらかして、どうにかしようとするその方向性を、一度訂正する必要がありますね。」隣にいたエレゼンの女性。手にはめっちゃデカイ、フライパン。

どがっ!

がつがつがつっ!

「あ・・ええと。」リトリーは・・・
「気にしないでください。仕置は必要です。」
硬直しながら・・・
「あ、そのお会いになられた女性なら、かの「魔女の後継」です。」
軽く額の汗をぬぐいながら。
「え?」
「彼女もかなりピーキー(突発的)なので、目立ったりしちゃうんですよね。」にこやかに。
「・・・・ああ、そうなんですか・・・。」(ここ、最近でスゴイ面子にあっちゃったなあ)
ミコッテの少女は
さて、大人しくしていようか、どうか悩みながらも
とりあえずの宿はここに・・・

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